“完全版”でも、“廉価版”でも、“体験版”でもない、『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』インタビュー完全版 - ファミ通.com
――いわゆる“完全版”とも違う、続編の新システムも先駆けて導入した本作を作ることになった経緯は、どういう意図で始まったのでしょうか?
浅野 もともと、完全版を作ろうという意図はありませんでした。それこそ、タイトルの通りなのですが、続編を作るために必要なものとして、今回の『フォーザ・シークウェル』を作ろうということになり、続編の新システムを入れているわけです。ですので、意図としては続編の触り心地をいち早く体験していただこう、という意味合いが強い。でも、体験版と言ってしまうと、一部しか遊べないイメージになりますが、そんなことはなく、前作が丸ごと遊べるのです。
このあたりのインタビューの流れは「これは完全版商法じゃないですよ」というアピールのためですかね。ご存じのように「完全版商法」はゲームファンから嫌われていますから、メディアを通じてこのようなエクスキューズを試みているのでしょう。
しかし「完全版でなければいいのか?」という点が疑問に残りました。
要するにスクエニ側としても「完全版じゃないよ、だから買ってね」という流れに結びつけようとしているのは判りますが、結局8割9割は同じ内容のゲームでフルプライスを要求している事に違いはありません。前作を購入した30万人からすると「結局、表現を変えても完全版商法じゃん」という印象が変わるほどのものでは無いでしょう。
パッケージゲームのビジネスはどんどん難しくなっています。安価なスマホのゲームや基本無料のゲームが勢力を伸ばしていますし、購入する側も「このゲームに対してフルプライスを支払う価値があるのか?」という点を考えるようになっています。これは数年前には無かった傾向です。
今回発表された「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」はオリジナルの「ブレイブリーデフォルト」から価格が1000円下がっていますがフルプライスの値付けを維持しています。オリジナルからの変更点は「一部イベントの作り直し」「続編に向けた新システムの導入」「システムの改良」といったところで、オリジナル購入者はその為に定価5000円を支払う価値があるのか?と考えているところでしょう。
フルプライスのタイトルを購入するゲームファンは意識無意識のうちに「ゲーム開発にかけたコスト」と販売価格を天秤に掛けるようになります。大切なのは「完全版かどうか?」ではなく、フルプライスに値するだけのコストを掛けて「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」が開発されているのか?でしょうし、フルプライスを支払うだけの新しい要素が楽しめるのか?でしょう。
ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェルposted with amazlet at 13.09.07スクウェア・エニックス (2013-12-05)
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