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「明治日本の産業革命遺産」を推薦へ
9月14日 15時25分

「明治日本の産業革命遺産」を推薦へ
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政府は、ユネスコの世界文化遺産への登録を目指して、福岡県の八幡製鐵所など九州や山口県を中心とした「明治日本の産業革命遺産」を推薦する方針を固めました。

ユネスコの世界文化遺産への登録を巡っては、文化庁の委員会が「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦を決める一方、政府の有識者会議は、山口県と九州を中心とした「明治日本の産業革命遺産」を推薦することを決めました。
しかし、世界文化遺産として各国が推薦できるのは、年1件に限られていることから、菅官房長官の下で、それぞれの推薦理由を聞くなど、一本化に向けた調整を進めてきました。
その結果、政府は、「明治維新から続く日本固有のものづくり文化を世界にアピールする意義がある」として、福岡県の八幡製鐵所や長崎県の長崎造船所など、九州や山口県を中心とした8つの県の28の資産で構成される「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に推薦する方針を固めました。
政府は、来週17日に「明治日本の産業革命遺産」を推薦することを発表する予定で、今月中にユネスコに暫定版の推薦書を提出し、再来年の世界遺産委員会で登録するかどうか審査される見通しです。

「明治日本の産業革命遺産」とは

世界文化遺産への推薦が決まった「明治日本の産業革命遺産」は、福岡県の八幡製鐵所など九州や山口県のほか岩手県や静岡県など8つの県の28の資産で構成されています。
平成21年に世界遺産への登録を目指す国の暫定リストに記載されました。
政府の有識者会議は先月、「幕末から明治後期にかけて西欧の技術が伝わり、日本が極めて短い期間に産業発展を遂げたことを証明するものだ」と評価し、推薦を決めていました。
この遺産には、八幡製鐵所や三菱重工業長崎造船所の大型クレーンなど、現在も稼働している民間企業の施設が含まれているのが特徴で、世界遺産に登録されれば非常に珍しいということです。

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」とは

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、長崎市の国宝・大浦天主堂や熊本県天草市の崎津集落など長崎県と熊本県の13の資産で構成されています。
平成19年に世界遺産への登録を目指す国の暫定リストに記載され、地元の自治体は専門の部署を設けて資産の保全や市民への啓発を行ってきました。
文化庁の委員会は先月、「日本にキリスト教が伝わり広まった経緯が分かる代表的な事例で、禁教と弾圧の時代にひそかに信仰が続けられた集落が形をとどめており、宗教的、文化的な価値が認められる」として、推薦を決めていました。
再来年、平成27年は、禁教のなか、250年にわたってひそかに信仰を守り続けてきた信徒たちが、幕末、長崎に来た神父に再び見いだされた「信徒発見」から150年に当たります。
ことし、国の推薦を受ければ、再来年の記念の年に世界遺産に登録される可能性があったため地元の期待は高まっていました。

候補が2つで戸惑いの声も

世界文化遺産に推薦する候補は、これまで文化庁の委員会が決めてきました。
候補となるのは、古い神社や遺跡など現在は使われていないものや文化的な要素の強いものがほとんどで、「暫定リスト」に記載したものの中から文化財保護法などで保全する準備が整ったものを推薦してきました。
しかし、「明治日本の産業革命遺産」には、現在も稼働中の工場などが含まれているため、従来の方法では企業活動に影響が出ると懸念する声が上がり、文化庁の委員会とは別に、政府の有識者会議で検討することが、去年、閣議決定されました。
先月、文化庁の委員会は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を、政府の有識者会議は「明治日本の産業革命遺産」を推薦することを決め、候補が2つ示されたことで、両方に構成資産のある長崎県からは、戸惑いの声が上がっていました。
下村文部科学大臣は、「政府の中で競い合い、国民から混乱していると見られないような整理のしかたをしていく必要がある」と述べ、将来的に、担当の機関を一本化することが望ましいという考えを示していました。
去年から候補の推薦は、年に1件に限られるなどユネスコの審査は厳しくなっていて、国内の選考過程の透明性をどう確保するかが課題となっています。

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