「究極のサービス」

個室で食べる「オーダーメード・ラーメン」

とんこつラーメン「一蘭」(上)

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2011年2月8日(火)

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寒さ厳しい下北沢駅の商店街に、午前中から長蛇の列が

 12月の平日、午前11時。寒さが厳しい中で、すでに長蛇の列ができていた。

 近隣の店舗の入り口を回避するように列が伸びるため、最後尾からは、その店の姿はほとんど見えない。それでも、多くの人々が、じっとグランドオープンの瞬間を待っていた。

ラーメンの産業革命

 そして、長い時間を辛抱すると、目の前に赤い看板が見えてくる。

 天然とんこつラーメン専門店「一蘭」。

行列の先に、オープンを迎えたラーメン店「一蘭」の下北沢駅前店があった

 博多とんこつラーメンを国内でチェーン展開する一蘭だ。すでに他店が評判を呼んでいることから、関東地方で14番目の店となる下北沢駅前店は、オープン初日から人が人を呼ぶ状態になった。

 人気の理由は、店に入るとすぐに分かる。18席という小さな店内だが、その座席は「個室」のようになっている。カウンターの座席が、一人ずつ隣との間に仕切りが作られていて、他の客を一切気にすることがない。

 しかも、ラーメンを持ってくるスタッフとの間にも、目隠し用の暖簾がかかっている。

店内に入ると、1人ずつ仕切られた「味集中カウンター」が目に飛び込んでくる
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暖簾が上がり、注文したとんこつラーメンが現れる!
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 まるで飛行機のコックピットのようである。彼らはこれを、「味集中カウンター」と呼ぶ。

 確かに、目の前に置かれたラーメンに集中できる。

 そのラーメンも、一蘭は魅力的に仕上げている。

 メニューは「とんこつラーメン」だけ。東京ではポピュラーと言えない独特の臭みなどのクセのあるとんこつラーメンだが、一蘭は、その弱点を克服することで、東京人を魅了した。

 まずは味。発祥の地は、とんこつラーメンのメッカ、福岡だが、その伝統を残しつつ、臭みを和らげた絶妙な味に仕上げている。さらに、広い客層にアプローチするため、「オーダー用紙」というシステムを導入した。「味の濃さ」や「ネギの種類」、「麺のかたさ」などを、客が好みや体調に合わせて、細かく調整できるのだ。

 しかも、個人カウンター方式だから、男性ばかりか、女性でも1人で来店しやすい。つまり、これまでラーメン屋が逃がしてきた女性層にもターゲットを広げたわけだ。だからだろう。オープンの日も、若い女性の姿が多く見られた。

 一蘭は、すでに全国29店を展開する。そして、「チェーン展開が難しい」と言われたラーメン業界に、新しい「産業革命」を起こそうとしている。

 この強烈な集客力を誇るラーメン店は、どのようにして生まれたのか。その舞台裏の秘話を見ていこう。そこに、産業革命の真実が見えてくる。

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