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最終更新:2013年9月17日(火) 23時46分

集団的自衛権、3つの日程案示した政府の内部資料

 「集団的自衛権」。これは同盟国などが武力攻撃を受けた場合に、それを自分の国への攻撃とみなして反撃できる権利です。日本の歴代内閣は、憲法9条との関係から「日本も集団的自衛権は持っているが、その権利を行使することはできない」と解釈してきました。この集団的自衛権の問題について17日、安倍総理の私的諮問機関である有識者懇談会が、行使容認に向けて議論を再開しました。

 政府は、どんなスケジュールで憲法解釈を変えようと想定しているのか。JNNでは3つの案が記された内部文書を入手しました。

 沖縄県・東シナ海上空を飛ぶP3C。連日、警戒監視活動を行っている自衛隊の哨戒機です。領海警備の「目」とも言えるP3Cは、ソナーなどを使って不審な船がいないか監視を続け、その情報の精度はアメリカ軍からも高い評価を得ています。

 「船籍、名前・・・いろんなところで不審な船か判断して撮影している」(隊員)

 1年前の尖閣諸島の国有化以降、中国の公船による領海侵犯が相次ぐようになり、この海域の安全保障環境は大きく変わりました。

 「わずかな兆候も見逃さずに察知するということで、緊張感を持って勤務するよう指示している」(海上自衛隊第五航空群・大瀬戸功海将補)

 こうした中、自衛隊の活動を根本から変える可能性を持った議論が本格化してきています。安倍総理の私的な諮問機関である有識者懇談会は、17日、集団的自衛権の行使容認に向け7か月ぶりに議論を再開しました。

 「憲法制定以来の変化を直視し、新しい時代にふさわしい憲法解釈のあり方をさらに検討していくうえでの基礎となることを期待しております」(安倍晋三首相)

 集団的自衛権とは、同盟国などが武力攻撃を受けた場合、それを自分の国への攻撃とみなして反撃できる権利のことをいいます。国連憲章で定められている権利ですが、日本の歴代内閣は憲法9条との関係から「日本もその権利は持つが、行使することはできない」と解釈してきました。

 しかし、「取扱厳重注意」と書かれた政府の内部資料。そこには、「安保法制懇の報告を受け、新たな憲法解釈の閣議決定を行う」。つまり、従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めるというゴールが明記され、3つの日程案が記されているのです。

 安倍政権は、歴代内閣の方針を180度転換する憲法解釈の変更に突き進むのでしょうか。かつて、海上自衛隊のトップを務めた古庄幸一氏は、集団的自衛権をめぐる議論についてこう述べます。

 「集団的自衛権は非常に大事。日米同盟そのものがあるべき姿になる」(元海上幕僚長・古庄幸一氏)

 現在の憲法解釈では、アメリカ軍の艦船が公海上で攻撃された場合、自衛隊は共同の軍事作戦をとることはできず、後方支援しかできないとされています。

 「万一、有事の場合に、集団的自衛権が駄目ですと言い続けたら、それはあり得ない。お互いに同盟国としての在り方のイロハのイ」(古庄幸一氏)

 ですが、小泉内閣から麻生内閣まで官房副長官補として安全保障政策に関わってきた柳澤協二氏は・・・。
 「(集団的自衛権の行使容認は)何のためにするのか分からない。一体どういう国益につながっていくのか見えてこない。私は今の現行法制で基本的には間に合っていると思う」(元内閣官房副長官補・柳澤協二氏)

 柳澤氏は仮に尖閣諸島周辺で他国の攻撃があれば、まさに日本に対する攻撃と判断して憲法上も認められている個別的自衛権の行使で対応できるといいます。

 「(尖閣をめぐる問題は)日本有事であるということ。そういう状況はまさに典型的な個別的自衛権の範囲。なぜそこで集団的自衛権が出てこないと日本を守れない、という議論になるのかよく分からない。(集団的自衛権の議論は)アジア地域の緊張を和らげるよりは、高める方向に作用しかねない」(柳澤協二氏)

 また、集団的自衛権の行使容認は必要だと話す古庄氏ですが、現場の自衛隊員にとっては個別的自衛権の範囲で何ができて何ができないのか明確に整理されることも重要だと話します。

 「集団的自衛権をやる一方で、現場で困っている法整備が必要。集団的自衛権とは別に、海上自衛隊を平時にいかに使うかが(議論の中に)入ってくれれば私は本当に現場は助かると思う」(古庄幸一氏)

 政府の内部資料では、集団的自衛権の行使を認める新たな憲法解釈の閣議決定は、もっとも早い場合、来月召集予定の臨時国会の会期中と想定されています。ただ実際は、年明け以降に先送りされるという見方が強くなっています。

 「臨時国会では重要法案がめじろ押しだ。菅官房長官は慎重になっている」(政府関係者)

 「安倍首相は年内にも表明したいと意欲を持っているが、現実的には来年の通常国会になるだろう」(首相官邸関係者)

 日々、現場で警戒監視活動にあたっている自衛隊員は、どんな思いでこうした議論を見ているのでしょうか。

 「我が国の周辺海域の防衛警備というところで何をするかというところは、現場レベルではやることは変わらない」(大瀬戸功海将補)

 日本が世界で果たすべき役割は何なのか。国民的な議論が置き去りにされてはなりません。(17日21:39)

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