台風18号:「避難所が分からない」…住民の多く避難せず
毎日新聞 2013年09月17日 12時12分(最終更新 09月17日 13時20分)
京都、滋賀、福井の3府県に初の大雨特別警報が出た台風18号で、避難指示や勧告を受けて実際に避難所に避難した住民の割合が1%未満となる自治体があるなど、低くとどまったことが分かった。「避難所が分からない」「避難勧告・指示の違いが分からない」などの声も目立ち、住民の意識向上に向けた取り組みの必要性も浮き彫りになった。【池田知広、渋江千春、吉田卓矢】
今回、避難指示・勧告は、近畿2府4県だけで約50万世帯、約120万人と異例の規模となった。京都市では約30万人に避難指示・勧告が出たが、実際に避難したのは約0.8%の2498人。大阪市は避難勧告した約30万人のうち0.3%未満の867人だった。
大和川決壊の恐れから避難勧告が出た大阪市南部では「避難所が分からなかった」と話す住民が目立った。同市住之江区の女性(27)は「初めてなのでどこに行けばいいか分からず、4カ所目でやっと避難所にたどり着いた」。住吉区の無職女性(69)は「自治会の班長をやってるけど、避難所がどこか聞いたことない」と話した。
また、避難勧告が出た住吉区の無職男性(82)は「指示と勧告では、勧告の方が強いと思っていた」と勘違いしていた。
避難所への移動が必ずしも安全とは限らず、マンション上層階や住宅2階にとどまった人も多かったとみられる。自治体担当者も対応に苦悩した。
約6万3000人に避難指示・勧告を出した京都府宇治市には、住民から避難に関する問い合わせが数十件あり、同市危機管理課は「問い合わせには、水位の高さや、自宅が一戸建てかマンションかなどを聞き取り、避難所に向かうか、自宅の2階などにとどまるべきかを指導した」と話した。
同府舞鶴市は16日早朝、約8万8000人に避難勧告を発令。しかし、この時点で由良川の氾濫が始まっており、同市危機管理室は「避難中に被害に遭う恐れがあり、避難所への移動ではなく、自宅や近所の2階への避難を求めた」と話す。
同府福知山市は市内の小中学校など57カ所に避難所を開設したが、うち25カ所は一人も訪れないまま、閉鎖した。