東日本大震災:「やっと報われた」 勝訴の遺族、涙で握手
毎日新聞 2013年09月17日 11時42分(最終更新 09月17日 11時48分)
園側の数度にわたる説明会では、地震から津波までの間に何が起きたのかは分からないまま。一番知りたい情報だった。「提訴に踏み切るしかなかった」。しかし、提訴後は娘の死をすべて津波のせいにしようとする園側の証言や、ネット上での「子供の死を金に換えようとしている」などの心ない中傷などに苦しんだ。
それでも、提訴したことで新たにわかったことがあった。防災マニュアル周知や防災訓練の不十分さだ。「『人災』という側面に迫ることができた。提訴の意義を実感できた」と振り返る。春音ちゃんが使うはずだったランドセルは現在、小学校5年生の姉楓音さん(10)が背負って学校に通う。
夫婦には今年7月、新たな家族が生まれた。春音ちゃんの「春」の字を受け継いだ次男の春汰(しゅんた)ちゃん。大きくなったら、名前の由来となった姉のことや震災、そして裁判について話すつもりだ。「ハル姉ちゃんの死を無駄にしないため、お父さんは正面から向き合ったんだよ」【竹田直人金森崇之】