アンチコンピュータ戦略(72)

157図は▲飯島栄治五段-△山崎隆之六段(段位はいずれも2005年6月当時、C級1組1回戦)。昇級候補同士が開幕戦で当たった。最終盤を迎えて、残り時間は▲飯島4分、△山崎2時間29分。形勢は先手勝勢だが、残り時間が少なくて勝ちきれるかどうか、というところ。
いまGPSに検討させると、(1)▲2八玉で+1000前後と判定した。(A)△4七金ならば▲5六香、(B)△4七銀成ならば▲4五桂でよく、後手は指しようがない。

実戦では、飯島五段は2分考えて(2)▲5七香。以下△同桂成▲4一銀△3三玉▲2一龍△1一銀(これで先手玉が詰めろになるのをうっかり)▲3一龍△4四玉▲4二馬△4七銀成▲2八玉△2六香(158図)と進んで大逆転。見れば見るほど、先手玉はきれいに捕まっている。実戦は▲2七歩△3七成銀▲同玉△2五桂▲2六玉△3七角(159図)までで後手の勝ち。

掲示板(名人戦棋譜速報)に掲載されている終局後の写真をよく覚えている。
自分が撮った記憶がないので大阪での対局だったか、と推測したら、やはりそうだった。なぜこの一局をよく覚えているのか、ということを書きたかったのだが、それはまたいつか。


アンチコンピュータ戦略(71)

稲庭をやってみた。1手5秒で飛ばして、156図は401手目。自分の環境では、GPS側からの打開はなかった。試しに思考時間を変えてみたり、500手目まで指してみたりしたが、やはり打開はなし。というわけで、GPS相手に稲庭で勝った棋譜があったら、見てみたい。

※追記。1手5秒でさらに指し続けたら、562手で千日手になった。

stockfishとの差分をなるべく小さくする方針で作成したため、稲庭将棋対策や高速に詰みを発見する機能(df-pn) 等はありません。
GPSFish


アンチコンピュータ戦略(70)

「どうぶつしょうぎ」の完全解析(2009年、田中哲朗)

「どうぶつしょうぎは後手必勝」という結論は、既によく知られている。
では終局までの具体的な手順は、と聞かれると、自分はよく知らない。

ひよこ換わりからの定跡手順を見てみる。
詳しくは上記論文を参照。
途中、△B2ひよこと据える手が好手で、▲同ぞう△同ライオンで後手が駒得をしている。

図は採譜の便宜上ひっくり返して空が下になっているが、手前を先手と見る。
持ち駒は▲ひよこ△ぞう。△A2きりんと王手をされて、▲B4ライオンを引いたところだ。
どうぶつしょうぎウォーズでPona系のbotや人間の強豪と指しても、あっという間に頻出のこの局面になる。

ここで後手は(1)△A3ぞうと王手をする、(2)△A1きりんと引く、(3)△C1ライオンと寄る、のいずれでも勝ちだそうだ。
自分が指すとどちらを持っても、先手ならばライオンの左右往復かきりんの上下前後、後手ならばライオンの左右往復で、だいたい千日手になる。
Pona系のbotも手加減をしてくれるのか、後手を持って必勝でもない。

(1)△A3ぞう▲C1ライオンには△B2ぞう▲同ひよこ△同ライオンで打開するんですかね。
以下は常識かもしれないし、調べればわかることなのだろうけれど、とりあえずここまでメモ。


アンチコンピュータ戦略(69)

▲中原誠永世十段-△桐谷広人六段戦(1999年10月、王位戦予選)より。
まだ何もなさそうな序盤戦。
GPSの読みは(1)▲8六歩(△同飛ならば▲8五歩)△9四歩▲8七銀と銀冠を組んで、形勢ほぼ互角。
中原永世十段は(2)▲8三歩(154図)と打ってリードを奪いに出た。

154図以下は△8三同飛▲6一角(△8二飛ならば▲8三歩△9二飛▲5二角成△同玉▲8二金)△8四飛▲7二角成△9四角▲8五歩(155図)と進む。

この局面でGPSに再度問うと、「なるほど、そっちの方がいいね」という判定。
155図以下は△7二角▲8四歩△8二歩と進んで、形勢が傾いているわけではないが、飛を手にした先手の方が勝ちやすい展開か。


アンチコンピュータ戦略(67)

▲島井咲緒里女流二段-△大庭美樹女流初段戦(第6回けやきカップ1回戦)

149図は後手が△3六歩と打ったところ。どちらが勝っているかという終盤戦だ。先手玉が詰まなければ(1)▲6三成桂でよい。うちのGPSに60秒で検討させると、最初は▲6三成桂で+1500前後(先手よし)という判断。しかしそれは△3七桂成▲同桂△2七歩成▲同銀△3七歩成▲同玉△2六銀(参考150図)という順で詰まされる。

コンピュータソフトは詰みは一瞬、と言われているけれど、うちのノートPCレベルでは、実はそんなにすぐ読めず、短い時間での対局では頓死することもよくある。

激指にも同様に149図を検討させてみたが、やはり最初しばらくは▲6三成桂でよしと判断していた。
実戦は(2)▲3六同歩と応じた。GPSの評価値は+725に減る。対して△3七歩(151図)が的確な追撃。

この△3七歩に対してもGPSは最初、「▲6三成桂でよくね?」と+1000以上(先手よし)という判断をする。そのうち先手玉は△2七銀以下の詰めろということに気づいて、▲3七同桂で+257と、次第に楽観気分が消えていく。以下は△3七同桂成▲同玉(参考152図)と進んで。

GPSの読みは(A)△4八銀▲同金△2七歩成▲同銀△4八歩成で+4(形勢互角)。しかし(B)△2七歩成を示すと、-29972(後手勝ち)に。以下▲同銀△2六銀で、やはり先手玉は寄っている。

これって、自分のノートPCが低スペックで、探索局面数が少ないからなんですかね。1秒に2億局面読む本番GPSなら瞬殺なんだろうか。GPSを強くしたいという一点で、ドスパラのページを見たりなんかして、高スペックなPCが欲しくなってきた。って、2005年頃、Bonanzaが登場した頃にも同じことを言っていたな。


アンチコンピュータ戦略(66)

今日、1dayトーナメントの会場に、習甦作者の竹内章さんが来られていたので、登壇してもらった。
ありがとうございました。

写真を一通りアップしたところで、GPS氏と一局。

対四間飛車で、その気になれば▲角銀△飛の二枚換えを選べる。後手陣の形の違いで成否もまた変わってくるが、ソフトは割と無造作にこの仕掛けを与えている印象はある。▲2四歩△同歩▲同角△同角▲2二飛△3三角成▲2八飛成△4三馬(148図)で、さてどうか。

実際の形勢はよくわからないが、GPSの評価は先手よし。してみると、別に誘いのスキというわけでもないようだ。
148図のような進行では、個人的には△1九龍が一番いやなのだけれど、実戦だと△2九龍が多いですかね。GPSは△5二金左▲4四馬の後で、△2九龍▲3九金△1九龍▲2八銀△1八龍▲3六角△2七歩▲同角△同龍▲同銀と進めてくる。よくある。


アンチコンピュータ戦略(63)

第2回 将棋電王戦 第1局 ?阿部光瑠四段 vs 習甦

△6五桂は、ソフトならやってきますね。
▲6六歩を突いていても、△6五歩▲同歩△同桂のタイミングが早い。
うちのGPSの選択も、やはり△6五桂。
素人的には、だいたい攻めつぶされます。

実戦はあまり時間を使わずに▲6八銀と引いて。
このあたり、阿部四段の研究なのですかね。
対してうちのGPSは(1)△4四角と打ってくる。
習甦は(2)△8六歩▲同歩△同飛(144図)。

阿久津七段が▲8八歩を解説していたので、そう指してみる。
以下は△7六飛▲7三角△3五歩▲2五桂△3六歩▲4七金△7五角(145図)。

これで受けきれればよし、か。

  


アンチコンピュータ戦略(62)

第2回 将棋電王戦 第1局 ​阿部光瑠四段 vs 習甦(ニコニコ生放送)

途中までの棋譜がよくわからないので、適当に並べてみるも、現局面と一致しない。
なるほど、先手の阿部四段の方が一手損で角を換えたのですね。

端の突き越しがいきるかどうか、ですか。
ここからGPS氏と30秒で指してみた。

攻撃の理想形を作られて、あとはひたすら受ける展開。

最後、▲9六玉と逃げ越せる形がいきて、一手勝ち。

今日はけやきカップの前日設営があるので、一日中見ていられない。
棋譜を楽しみにしています。