ponanza in 将棋倶楽部24

ponanza開発者の山本一成さんの家から配信しています。

【予定とゲスト】
5/07(火)20:00~ 銀杏記者
5/08(水)20:00~ みなみん(将棋ウォーズ広報)、林隆弘さん(Heroz社長)
5/09(木)20:00〜 伊藤英紀電王(Puella α)、棚瀬寧さん(東大将棋)
5/10(金)20:00~ 細川大市郎さん(GPS100万円チャレンジ勝者)、笠井友貴さん(元女流アマ名人)、文記者
5/11(土)15:00〜 加藤貞顕さん(編集者) 島井咲緒里女流二段、矢吹隆朗さん(東大将棋部)、入江明さん(東大将棋部)
5/12(日)15:00〜 飯島栄治七段、佐藤紳哉六段、aki.さん(Blunder)

5/17(金)20:00〜 渡辺明竜王、保木邦仁さん(Bonanza)
※座席が最大1000と限りがありますので、お早めに。


米長邦雄永世棋聖(16)

駒込のステキ文具店、螢窓舎さんに教えていただきました。
雑司が谷の旅猫雑貨店さん、要チェックですね。
細かいことを言うと、先手の6四歩は6六歩が正しいですかね・・・(細かくてすみません)。

図は1979年名人戦七番勝負第4局▲中原誠名人(1勝)-△米長邦雄挑戦者(2勝)戦。
中原名人の次の一手は、史上屈指の名手とされる▲5七銀。

いまうちのGPSに問うてみると、しばらく考えた後、この▲5七銀を最善と判断した。
ただし評価は後手よし。
実戦は△5七同馬▲5四角と進む。

うちのGPSはこの局面で最初、1000前後ほど、後手よしと判断した。
しばらく考えているうちに評価は逆転し、わずかに先手よしと変わった。


アンチコンピュータ戦略(96)

立ち直り早いな。
ponaの対局なんて、将棋ウォーズで死ぬほど見てるから・・・と思いながらも、見ずにはいられない。
どうしてくれるんだ。

将棋倶楽部24のponaの対局を見ながら、感想をつぶやき続ける放送とかやってみたいですね。
ゲストに誰か呼んで、どうですか、銀杏さん。

入玉すれば勝ちのところ、ponaは穴熊を組み始めた。
あるある。
ボンクラーズの最高Rが3364点でしたっけ。
それを更新しそうになったら、また見にいきます。


コンピュータ将棋選手権終了

確かに、昨年のBonanzaは不運だった。
それが今年の感動のフィナーレにつながったのだろうか。

そして今年のponanzaも・・・。
来年はどうだろうか。

Bonanzaが初優勝したのは2006年(1日目2日目3日目)。
当時カナダ在住の保木さんに代わって操作をされていたのが、マグノリアの広沢さんでした。
いまは愛知県会議員で、減税日本の幹事長をされているんですね。


だめの皮

したがって「メルツェルの将棋差し」とバベェジ氏の計算器との間にはどんな類推(アナロジイ)も成立しないのであって、もし前者を本物の機械と呼ぶ以上、これこそ人類の生んだもっともすばらしい、他の追随を許さぬ発明であるというほかはないのである。ところがその「将棋差し」の考案者、ケムプレン男爵は平気で次のように言明しているのである。

「実に平凡な機械で、まことにたあいない代物です。ただ思いつきの大胆さと、幻覚を生み出す手のうまい結合が見つかったので、みなさんがびっくりなさるような効果が出ているんです」

だがこんなことをいくら強調してもだめの皮である。この自動人形の動作を規制しているのが人智であり、それ以外ではありえぬことは確実である。これは数学的に、先験的(アプリオリ)な証明可能な問題にすぎない。したがって唯一の問題は、いかにして人の手を引き入れているのかということである。

1836年、エドガー・アラン・ポオ
小林秀雄・大岡昇平訳『メルツェルの将棋差し』
(創元推理文庫『ポオ小説全集』(1)

「だめの皮」って、面白い言い回しですね。

だめの革(かわ)
無益であるということをあざけっていう語。

*歌舞伎・今文覚助命刺繍(不動文次)[1883]序幕「べらぼうめ、後でいくら威張っても駄目(ダメ)の革(カハ)だ」
*門三味線[1895]〈斎藤緑雨〉二二「又ちと遊びに入来(いらしっ)てと言へば、其ことづては駄目(ダメ)の皮(カハ)」

[方言]
だめのかあ 静岡県520
だめなかあ 静岡県榛原郡541
だめのがん 栃木県上都賀郡198
だめのかすっちょ 静岡県榛原郡541

(小学館『日本国語大辞典』第二版(8)1132p)

語源についても調べてみたが、そちらはよくわからなかった。
へちまが何の役にも立たないことから、という説をネットで読んだが、本当かどうかはわからない。
へちまの皮ならば、体をこするぐらいはできるような。


アンチコンピュータ戦略(95)

「もし、相手がGPSだとわかっていたら、断っていたと思います」

「ほかのソフトよりも、明らかに頭抜けています。強いとは聞いていましたが、これほど強いとは・・・。実は、タイトルも狙えるある若手有望棋士が、GPSに18連敗しているんです」

(「人間対コンピュータ将棋」頂上決戦の真実 【前編】 対局3日前、「棋界の武蔵」三浦八段が漏らした本音 文/山岸浩史)

GPSはじめソフトが非公式の場でプロにどういう成績を残しているのか。
「ソフトは名人を超えた」説の傍証となりそうな話は、これからも次々と出てくるのだろう。
GPSが頭抜けているかどうかは、素人目には既にわからない。
今回電王戦に出場していないソフト、たとえば激指やBonanzaなども、恐ろしく強いようにしか見えない。


アンチコンピュータ戦略(94)

そんなもんですか。
まあ、100万円チャレンジの4日目、5日目などは、明らかにそんな感じでしたが。
NHK「情報まるごと」でGPSの性能紹介のあと、女性アナウンサーが、「いまその説明を聞いていても、そんなのもう、勝てるわけないのにな、と思っちゃいますけれどね」と言っていた。
一般の人の認識は、そういうものなのか、と思った。

ところでPona1に対して、再現性のある終局までの勝ち手順をいくつか見つけた。
下は終盤で楽観していて、評価値が急変する一例。

持ち時間:10分切れ負け
場所:将棋ウォーズ
先手:人間
後手:Pona1Jan

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲2六歩 △5四歩 ▲5六歩 △3二銀 ▲7八金 △5二金右
▲2五歩 △3三銀 ▲3八銀 △3一角 ▲2七銀 △4四歩
▲2六銀 △4三金 ▲7七銀 △4二玉 ▲1五銀 △3二玉
▲7九角
*棒銀にすればよくある進行。
△4二角
*代わりに△2二銀と引かれる方が攻めづらい気がするのだが。
▲6九玉
*一手待つ。
*ここですぐに▲2四歩は、角銀交換の後、△4二金上でうまくいかない。
△1四歩
*端を突かせる。
▲2四歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 歩 ▲同 角 △同 角
▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △5一金
*やや奇妙な動き。
*▲6一角を防いでいるが。
▲1六歩
*端をねらう。
△4二金上
*△5一金との一貫性が感じられない。
▲1五歩
*攻める。人間同士であれば、成否は微妙か。
△同 歩 ▲1三歩 △同 香 ▲1二銀 △2四銀 ▲1五香
*これで攻めきれるかどうか。
△同 香 ▲2四飛 △同 歩 ▲1四角 △3一玉 ▲2二歩
△4一金 ▲2一歩成 △4二玉
*ここでは後手優勢。
▲2二と △2七角 ▲3九金 △1八香成 ▲2一銀不成△2九成香
▲3二銀不成△3九成香
*△5一金の方が優るか。
▲4三銀成 △同 玉 ▲4一角成 △4九飛 ▲5九桂 △4五歩
*GPSも最初、この手で後手よしと判断。しかし読み進めているうちに、そうでもないとわかってくる。
▲5二銀
*ここで評価が急変。
△4四玉 ▲2六金 △3三金 ▲2七金 △5七桂 ▲7九玉
△5九飛成 ▲8八玉 △8五桂 ▲4三金
*以下は即詰み。
まで81手で先手の勝ち


アンチコンピュータ戦略(93)

最後に、将棋を指す時にもっとも心がけなければいけないことをあげよう。それは、
「将棋を指す時は、将棋以外のことを考えてはいけない」
ということだ。当り前じゃないか、といわれるかもしれない。しかし、意外とこれが、煩悩多きヒトという動物にとっては難しいのである。
(先崎学『小博打のススメ』)

その人間には無理なことをできるのがコンピュータソフト、ですかね。

電王戦でプロを破ったソフトでも、次回入賞できるかどうかはわからない、というレベルの世界コンピュータ将棋選手権。
開催されるのは、もう今週なんですね。

図は将棋ウォーズのPona1Janの対局より。
上手の指導対局風に、▲7八金とゆるめていた。
Pona1だけは接待モードなしのガチかと思っていたら、あれでも意外と手加減してくれていたのかもしれない。