米国株(16日):上昇、サマーズ氏のFRB議長候補辞退で
9月16日(ブルームバーグ):米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は5週間ぶりの高値を付けた。量的緩和の効果を疑問視するローレンス・サマーズ氏が連邦準備制度理事会(FRB)次期議長の候補を辞退したことから買い進まれた。シリアの化学兵器をめぐる緊張が緩和したことも支援材料。
スターン・アジー・アンド・リーチが目標株価を引き上げたボーイング は大幅高となり、工業株をけん引した。レナーやD.R.ホートンなど住宅建設株も高い。ブリストル・マイヤーズ・スクイブはJPモルガン・チェースの買い推奨を受けて上昇した。
段ボール箱製造で米4位のパッケージング・コーポレーション・オブ・アメリカは急伸。同業のボイジーを約12億7000万ドル(約1260億円)で買収することで合意した。一方、アップルは下落。先週、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の新型機種を発表して以来、軟調な地合いが続いている。
S&P500種株価指数は前日比0.6%高の1697.60で終了。一時は1%上昇した。9月に入ってからは10営業日のうち9営業日で上げている。ダウ工業株30種平均はこの日118.72ドル(0.8%)上げて15494.78ドルで終えた。
ビンガム・オズボーン・アンド・スカーボローのプリンシパル、コリーン・サプラン氏は電話インタビューで、「18日に予想されている緩和規模縮小の発表は市場に容認されているようにみえる。縮小規模は恐らく小幅にとどまるだろう」と話した。
FOMC17-18日に連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催される。ブルームバーグの先週の世界調査によれば、バーナンキFRB議長の有力な後任候補の中ではサマーズ氏がイエレン現副議長よりも速いペースで緩和策縮小に動くとみられていた。
次期FRB議長候補としてはサマーズ氏(58)とイエレン現FRB副議長(67)が最有力とされてきた。オバマ大統領はコーン前FRB副議長(70)にも言及していた。
S&P500種は先週2%上昇し、この日は8月2日に付けた最高値1709.67にあと5ポイント未満に迫った。8月は2012年5月以来の大幅安となったが、9月に入ってからは4%戻している。中国の景気回復を示す指標に加え、米国がシリアを攻撃する可能性が弱まったことが背景にある。
米国とロシアは14日、シリアの化学兵器を2014年半ばまでに廃棄させることで合意した。米国は合意履行を確実にするため、軍事攻撃の選択肢を維持すると表明した。
月100億ドルの縮小予想ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査の予想中央値では、月間の資産購入額は100億ドル縮小されると見込まれている。金融緩和はS&P500種が2009年3月の安値から150%強上昇する一助になっている。
投資家は緩和の時期と縮小ペースを判断する上で、経済指標に注目している。ニューヨーク連銀が発表した9月の同地区の製造業景況指数は市場予想を下回った。8月の鉱工業生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値)は0.4%上昇した。
クーツのアジア・中東地域の投資責任者(CIO)、ゲーリー・デュガン氏(シンガポール在勤)は電話インタビューで、「サマーズ氏は引き締めに積極的とみられているだけに、FRB議長に就任すれば市場のボラティリティを高める人物とみられていた」と発言。「今回の辞退でイエレン氏が最有力候補となり、同氏はバーナンキ議長の政策を継続するだろう」と語った。
S&P500種は午後1時40分ごろ、伸び悩む場面もあった。データの異常で米国のオプション取引が約1時間にわたって停止したことが背景。
S&P500種の業種別10指数は9業種が上昇。特に工業株や素材、金融の上げが目立った。
ボーイングは3.9%高の115.67ドルと最高値を更新。ダウ平均の構成銘柄では上昇率トップとなった。
ブリストルは3.6%上昇。パッケージング・コーポレーションは11%上げた。アップルは3.2%安。
原題:U.S. Stocks Rise on Summers’ Exit, Syria Chemical WeaponsPact(抜粋)
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更新日時: 2013/09/17 06:55 JST