9月16日の米国マーケットサマリー:株高ドル安
9月16日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3337 1.3294 ドル/円 99.14 99.38 ユーロ/円 132.21 132.10 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 15,494.90 +118.80 +.8% S&P500種 1,697.60 +9.61 +.6% ナスダック総合指数 3,717.85 -4.34 -.1% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .40% -.04 米国債10年物 2.88% -.01 米国債30年物 3.88% +.04 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金 (ドル/オンス) 1,317.80 +9.20 +.70% 原油先物 (ドル/バレル) 106.20 -2.01 -1.86%◎NY外為市場
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが1カ月ぶり安値に下落。ローレンス・サマーズ氏が米連邦準備制理事会(FRB)の次期議長の候補を降りると表明したことで、金融緩和策が早期に終了するとの見方が後退した。
サマーズ氏の候補辞退を受け、金融当局は緩和策の引き揚げに一層慎重になるとの観測が強まり、ドルは売られた。連邦公開市場委員会(FOMC)は今週開催する政策決定会合で、緩和策の縮小について検討する。この日はまたオーストラリア・ドルが3カ月ぶり高値に上昇したほか、南アフリカ・ランドも5週間ぶり高値となった。
みずほフィナンシャルグループの米為替セールス責任者、ファビアン・エリアソン氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で、「サマーズ氏のFRB議長候補辞退が大きなドル売りにつながったと考えている」とし、「FOMC会合に関しては、緩和縮小の幅が100億ドル超であればかなり積極的と捉えられるだろう」と述べた。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は午後2時16分現在、前週末比0.4%下げて1020.09。一時8月12日以来の低水準を付けた。
ドルは対ユーロでは0.4%安の1ユーロ=1.3348ドル。対円では0.4%値下がりし、1ドル=99円02銭。一時98円46銭まで下げた。ユ ーロは対円でほぼ変わらずの1ユーロ=132円17銭。
◎米国株式市場米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は5週間ぶりの高値を付けた。量的緩和の効果を疑問視するローレンス・サマーズ氏が連邦準備制度理事会(FRB)次期議長の候補を辞退したことから買い進まれた。シリアの化学兵器をめぐる緊張が緩和したことも支援材料。
S&P500種株価指数は前日比0.6%高の1697.60で終了。一時は1%上昇した。9月に入ってからは10営業日のうち9営業日で上げている。ダウ工業株30種平均はこの日118.72ドル(0.8%)上げて15494.78ドルで終えた。
ビンガム・オズボーン・アンド・スカーボローのプリンシパル、コリーン・サプラン氏は電話インタビューで、「18日に予想されている緩和規模縮小の発表は市場に容認されているようにみえる。縮小規模は恐らく小幅にとどまるだろう」と話した。
◎米国債市場米国債相場は続伸。量的緩和の効果を疑問視するローレンス・サマーズ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)議長候補を辞退したことから、ポスト・バーナンキの連邦公開市場委員会(FOMC)は緩和策縮小にさほど積極的ではなくなるとの観測が広がった。
来年1月にバーナンキ議長が退任した後、ジャネット・イエレン氏(現FRB副議長)が後任となれば、短期金利はより長期にわたって低く抑えられるとの見方から、この日は5年債を中心に買いが入った。30年債利回りは約1週間ぶり低水準を付けた後、上昇に転じた。FOMCは17-18日の定例会合で、債券購入プログラムの規模縮小を発表すると見られている。
ED&Fマン・キャピタル・マーケッツの債券トレーディング部門シニアバイスプレジデントのトーマス・ディガロマ氏は「安心感から買いが入っている」と指摘。「サマーズ氏はイエレン氏よりずっとタカ派的になるだろうとの心配があった」と説明した。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後2時16分現在、10年債利回り は3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.86%。10年債(表面利率2.5%、償還期限2023年8月)価格は8/32上昇して96 30/32。同利回りは一時2.78%に下げ、8月30日以来の低水準を付けた。
5年債利回りは8bp下げて1.61%。14bp下げる場面もあった。30年債利回りは3bp上昇の3.86%。一時は3.78%を付けていた。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場は反発。サマーズ元米財務長官が米連邦準備制理事会(FRB)の次期議長候補を降りたことを背景に、緩和策の早期打ち切り観測が後退した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比0.7%高の1オンス=1317.80ドルで終了。一時は2.1%上昇する場面もあった。
一方、ロンドンの金相場は下落。ロシアと米国がシリアに化学兵器を放棄させる計画の枠組みで合意したことを受け、逃避資産としての需要が減退した。
エバーバンク・ウェルス・マネジメントのシニアマーケットストラテジスト、クリス・ギャフニー氏は電話インタビューで「空爆に関する不安は急速に和らいでいる」と述べた。
ロンドン時間午後6時54分現在、金直物相場は0.6%安の1オンス=1318.49ドル。
◎NY原油先物ニューヨーク原油先物相場は3週間ぶり安値に下落。シリアの化学兵器放棄を目指す取り組みが進展したことで、中東産原油の供給不安が和らいだ。
14日にジュネーブで行われた米ロ外相会談は、シリアの化学兵器放棄に向けた枠組みで合意。ケリー米国務長官はこの日、フランスと英国の閣僚と会談し、厳しい内容の国連決議を求めていく方針で一致した。リビア国営通信によると、同国のエルフィール、およびエルシャララ油田では原油生産が再開された。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「米ロ合意で短期的にはシリア攻撃と、それに伴う悪影響への不安が解消された格好だ」と指摘。「これにリビアの産油再開が重なり、価格を押し下げている」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前週末比1.62ドル(1.50%)安の1バレル=106.59ドルで終了した。終値としては8月26日以来の安値。
更新日時: 2013/09/17 05:42 JST