名古屋グランパスは16日までに、同U−18所属のMF森勇人(18)の来季トップチーム昇格を決定した。森はU−12からグランパス下部組織で育った生え抜き中の生え抜きで、U−18の主将で10番。一方、U−18のエースストライカーでトップ昇格が有力視されていたU−18日本代表FW北川柊斗(18)は見送られ、筑波大に進学することが濃厚となった。
グランパスの未来の主将候補のトップ昇格がようやく決定した。愛知県安城市出身の森はU−12からグランパス下部組織入り。U−15では主将として高円宮杯U−15で全国優勝の立役者となった。ただ、U−18でも主将となった今季は昨年10月の右足、今年5月の左足と、両足の第五中足骨を骨折する不運に見舞われ、ほとんど試合に出場できていない。それでも現在はトップ昇格を見据えてじっくりと行ってきたリハビリの最終段階。10月にも満を持してチームに合流する予定だ。
昇格の決め手は、高い向上心、物おじしない気持ちの強さ、そしてリーダーシップという精神面だ。久米GMは「布団の中までボールを持っていくようなサッカー小僧。ずっと見てきたが、非常に頑張り屋」と、サッカーに真摯(しんし)に打ち込む姿勢を高評価。U−18の高田監督も「彼の存在感を超える選手はいない。今は声を掛けてもらうのを待つおとなしい子が多いが、森は年上にもどんどん自分から行ける」と説明した。
ポジションは多くの試合でトップ下を務めてきた。「プレッシャーのかかるところでボールを受けてゲームをつくれ、フィニッシュにも絡める」と高田監督。一方の久米GMは「中盤の中央もボランチもサイドもできる」と複数ポジションを兼ねられる器用さも評価ポイントに挙げた。
リハビリ中にはプロ入り後を見据えた体づくりを行い、小柄だった体格も一回り大きくなった。成功も逆境も経験しながら自分を成長させてきた生粋のサッカー小僧が、世代交代を図るグランパスに新風を吹き込む。 (宮崎厚志)
森とともにトップ昇格が有力視されていた北川は、まさかの見送りとなった。現在のトップチームで高原、チアゴら高卒選手がデビューできていないように、センターFWタイプは試合出場が厳しいことから、将来性のあるFWが成長できる環境を検討。久米GMは「現状では試合に絡めない。4年間厳しいところで経験を積んで帰ってきてほしい。そう本人にも話してある」と、4年後の再獲得を約束したことを明かした。関東一部リーグの強豪・筑波大への進学が濃厚となっている。
【森勇人(もり・ゆうと)】 1995(平成7)年4月21日、愛知県安城市生まれの18歳。173センチ、68キロ。名古屋グランパスU−12、U−15、U−18と下部組織で着実に成長した攻撃的MF。U−16、U−17日本代表。2つ下の弟の晃太もU−18所属。
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