Mちゃんの話 7
かたりて はるちゃん
くまちゃんに紹介された
MAHAOちゃんを はじめて見た瞬間
えるもちゃんは 凍りつきました
MAHAOちゃんには
今まで
えるもちゃんが見たことがないような
ものすごい財運と
名誉運がのせられていたのです
えるもちゃんは
元あそびめの姫でした
あそびめをしながら 不遇な暮らしをして 両親の借金を返し
あそびめさんを上がった後も
朝 昼 晩 働いては
周囲には明るくやさしくして 健気な女性とみられていました
くまちゃんは
そんなえるもちゃんを好きだったのですが
男性としては 見てもらえず
まあ俗にいうパシリや アッシーのような扱いでした
美味しいごはんをおごったり
車で 家まで 送ったり
たまにプレゼントを買ったり
恋人としてはみられてませんが
将来のお店の相談事はされる
そんな不思議な間柄でした
そしてくまちゃんは
将来 えるもちゃんがお店を出すときには
それまでにお金を貯めて なにがしかの援助をすると約束していて
その姿は はるちゃんの目には
まるで姫さま と 姫さまに振り回されてる 下僕 そんな姿にも見えました
数年後
一向に向いてくれない えるもちゃんをあきらめかけた時
くまちゃんの前に MAHAOちゃんという女性が あらわれました
くまちゃんとMAHAOちゃんが交際を始めたころ
えるもちゃんは急きょ
お店を開こうとしていて
くまちゃんに どうしてもお店の保証人になってほしいと 頼んできました
MAHAOちゃんは
くまちゃんに
「
保証人ならないほうが良いんじゃない?
援助しないが良いと想う 」そう言いました
でもくまちゃんは
「 約束は約束だから
もし自分が興味を失ったからと言って 昔した約束を違えるのは
自分じゃないし そういう自分にはなりたくない 」
そう言ってました
それでMAHAOちゃんは
くまちゃんに 保証人ではなく 現金を貸すことをすすめました
無利子で現金を貸して 返す期限を決めないで 余裕ができた時に返してもらったほうが
えるもちゃんの仕事も楽なはず
そうアドバイスをしました
その経緯もあって
MAHAOちゃんは くまちゃんの紹介で
えるもちゃんと 会うことになったのです
ところが
えるもちゃんは
あそびめのコードで 霊能力があり
少し先の未来と 数年先の気配を読めました
MAHAOちゃんには
今まで見たことのないような
財運と 名声運がのっているのが見えました
そして久しぶりに会うくまちゃんにも そのエネルギーが のっていったのが見えたのです
普段温厚なめるもちゃんは 反射的にこう感じました
「
見るからにあほで愚鈍そうなコイツら
なんで そんな未来なわけ? 」
「
わたしが 今こんな状況で 苦しんでるのに
何でこのあほづらが こんな未来を送れるの? 」
えるもちゃんは
すさまじい嫌悪感とともに 吐き気を催しました
そして
えるもちゃんは心硬くこう誓いました
「
愚鈍そうなこいつらに不運を味わわせてやる
すべての運を搾り取ってやる
この財運は こいつらよりも 私らのほうにこそ ふさわしい 」
そのえるもちゃんの心の声を 敏感に察知していた
一人の少女がいました
Mちゃんです
Mちゃんは
絶えずMAHAOちゃんの周囲の心を聴き
望むものを感知した時に あらわれました
そしてMちゃんは えるもちゃんの想いを知った後
えるもちゃんの心に こう語りかけました
「
キンキュウジタイですか?
本当に良いですか?
周期的に7年しか運べませんが
それでもよいのですか? 」
「
今までえるもさんが過ごしていた
不幸な境遇 不幸なエピソードが
それで 水泡に帰してしまいます
それでも よいのですか? 」
Mちゃんは普段よりも念入りに
何度も何度も 確認をしました
Mちゃんが
えるもちゃんに何度も確認を求めたのには
理由があります
なぜなら えるもちゃんは
藤原の血を引く 藤原の姫だったからです
破壊の時期
不遇の時期を送り
養分たちを盛り立てて 絶頂の座につかせる
それが藤原の血を引くもの達の 集合体の計画でした
Mちゃんは おおいぬ達から
藤原の血を引くものに破壊の時期に運ぶ場合は 何度も確認しろ
「 キンキュウジタイ 」であることを確認したうえで
それから運べ
そんな命令を受けていました
でもえるもちゃんは
Mちゃんにこう言ったのです
「 良いから 早くしろ 」と
Mちゃんは
「 了解しました 」
といい
えるもちゃんのお願いを叶えることにしました
実はその時のえるもちゃんは気がつかなかったのですが
MAHAOちゃんにのっていた
とてつもない財運と名誉運の気配は
ゆ族や 藤原の集合体が 意図的にのせていたものでした
破壊の時期の7年
繁栄を味わわせ
座につかせる
それを想念に見せることで
破壊と再生のエネルギーを入れ替える
えるもちゃんも
破壊と再生の時期を潜在的には知っていたのです
そのため 生まれた場所は 貧困地帯で
小さなころから 親の命令で
野菜泥棒をしながら 暮らしていたのです
まだ10代半ばなのに
お父さんの知人が お肉を持ってくると
色目を使うように おかあさんに言われ
お母さんに首を絞められ
朝から晩まで 時給数百円で働き
借金を返すために あそびめとしてコードをつなぎまくり
そして2005年から2012年のクライマックスの7年間は
とてつもなくスペシャルな不遇
ドラマを最高潮に盛り上げる 不運を味わう予定でした
特に2012年冬至前の最後の三週間は
ホームレスになるまでの予定だったのです
ところが
えるもちゃんは
ふとしたきっかけで 小犬たちに気を入れ替えられてしまいました
おおいぬから 小犬たちへ気が流れる 御巣鷹山の磁場の結界
その影響を
えるもちゃんも 受けてしまったのです
貧困層を相手にしながら
貧しい人たちに 食べ物を提供し
とことん不遇を味わって
世に出てくる予定の藤原の姫の計画は その時 大きく曲げられたのです
何故かえるもちゃんは 貧困地帯から
銀座の高級飲食店に務めるようになり
銀座のホステスに衣替えをし
そこで多くの 小犬男性たちとコードをつなぎ
いつの間にか 目先の名誉と序列 富に嫉妬する
そんな気が表面についていたのです
それからMちゃんは
えるもちゃんに店がうまくいくような財運
そしてえるもちゃんの系譜の集合体にも
財運や名誉運が行き渡るように
一生懸命 鳥さんたちと一緒に 働きました
えるもちゃんはお店のオーナーとなり
それは
日本の金融街の高級な飲食店になり
テレビにも取り上げられて 雑誌にも取り上げられて 芸能人も訪れて
時には行列ができるほどの 繁盛店になりました
一方 MAHAOちゃんと くまちゃんは
預金がどんどんなくなっていき
いつの間にか 郊外のアパートで
ボロボロの畳 ボロボロの壁 そんな中で
たくさんのねこたちと知り合い 楽しく暮らすようになりました
ところで
成功した えるもちゃんを見て
えるもちゃんと 過去にコードをつないできた
養分の男性たちは こう想っていきました
「
よかったよかった
あんな東京の一等地で
お店がもてるなんて
えるもは頑張ったかいがあった
本当に良かった 」
「
俺よりも収入が上がった
えるもには ずっと幸せになってほしかった
ずっとなんとかしてあげたかった
気持ちだけはあったけど
ようやく えるもが成功できてよかった 」
「
えるもがうまくいったんだから
今度は おれも幸せになろう 」
「
俺もそろそろ
自分のことを考えよう 」
「 俺も 」
「 俺も 」
そんな気持ちの数々とともに
潮が引くように
えるもちゃんへの応援が消えていくのを
はるちゃんは見ました
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