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Listening:<家族と司法>多様性を求めて/下 「無戸籍児、解消を」

2013年09月07日

 ◇再婚禁止期間短縮も期待

 「どんな状況で生まれても子供は平等」。京都市の柴田ゆかりさん(44)は、婚外子の相続格差を違憲とした4日の最高裁決定に意を強くした。次男(9)は5年前まで「無戸籍児」だった。

 借金が原因で前夫と別居。話し合って離婚届を託した後、現夫との子を妊娠した。しかし、前夫は離婚届を放置していた。その後、離婚は成立したものの、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」とした民法772条で、生まれてくる子は前夫の子とされてしまう。出生届は出せなかった。

 「この子は存在しない子なの? 私に何かあったら誰が守るの?」。2008年4月、仲間と「無戸籍児家族の会」をつくり、国に「300日規定」の是正を申し入れた。最高裁は同年6月、妊娠時に前婚の破綻が明らかな場合は、前夫の関与なしに調停で現夫の子と認められると周知。やっと戸籍を得た。

 だが、民法の規定自体は残り、今も同じ境遇の母親から悩みを聞く。「もう犠牲になる子供を出さないで」と柴田さんは訴える。

   ◇   ◇

 岡山県総社市の20代女性は、暴力を振るう前夫と別居し、1年以上の裁判を経て離婚した。離婚成立前に知り合った現夫との婚姻届はなかなか出せなかった。民法が女性の再婚禁止期間を6カ月と定めているためだ。

 「幸せを早く形にしたかった。暴力に耐えた被害者が法律にも苦しめられないといけないの?」。再婚禁止期間の規定は違憲だとして11年に提訴した。1、2審は敗訴したが、代理人の作花(さっか)知志弁護士は「全員一致で相続格差を違憲とした最高裁が審理するのは追い風」と上告審に期待する。

   ◇   ◇

 戦前の家制度の尾を引きずってきた民法。法制審議会は1996年、婚外子の相続格差の撤廃▽選択的夫婦別姓の導入▽女性の再婚禁止期間の短縮−−などの改正を答申したが、実現していない。結婚や家族の形は多様化し、国民の意識も時代とともに変わる。家族を巡る法律も見直しを迫られている。【石川淳一】

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