「Listening――あなたの声を聞きたい」は、記事をもとに読者の皆さんと議論を深める場所です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。利用規約はこちら



Listening:<家族と司法>多様性を求めて/中 別姓は「わがまま」か

2013年09月06日

「ずっと『小国』で生きてきたから、その名前を大切にしたいだけ」。小国香織さんの願いは素朴だ=東京都新宿区で2013年9月2日、武市公孝撮影
「ずっと『小国』で生きてきたから、その名前を大切にしたいだけ」。小国香織さんの願いは素朴だ=東京都新宿区で2013年9月2日、武市公孝撮影

◇「国は少数の声にも耳を」

 婚外子の相続格差規定を違憲とした最高裁決定から一夜明けた5日。NPO法人「mネット・民法改正情報ネットワーク」は主要政党に早期の民法改正を要望した。坂本洋子理事長は「相続差別以外にも国際的な人権基準に当てはまらないことはある」と話し、夫婦が同姓か別姓かを選べる選択的夫婦別姓の導入なども求めた。

   ◇   ◇

 「別姓にしたいと言っても、『女性のわがまま』で片付けられてしまう」。2006年に結婚した行政書士の小国香織さん(39)=東京都中野区=は戸籍上は夫の姓を選んだ。

 結婚直後に訪れた病院の待合室。「○○さん」。健康保険証に記された夫の姓で呼ばれた。「架空の人物として扱われたようだった」。病で苦しい体に、強い違和感が走った。

 普段は旧姓で通すが、口座開設や運転免許証取得など日常生活で戸籍姓が必要な場面は多く、二つの姓の使い分けを迫られる。「別姓を認めないのは違憲だ」と仲間と東京地裁に提訴したが、今年5月の判決は敗訴。今は、最高裁判断が別姓論議にも波及することを期待している。「少数の声を聞くのも政治の責任。国会は誠実に取り組んでほしい」

 選択的夫婦別姓の導入は、相続格差撤廃などと併せて法制審議会が1996年に答申した。だが国会は動かなかった。「家族の一体感が壊れる」との反対論は保守系議員に根強い。政府内には、別姓とセットの法案を出せば、相続格差の撤廃すら危うくなるとの懸念も広がる。

   ◇   ◇

 東京都に住む元自治体職員の女性(60)は「役所に書類を出して国から『お墨付き』をもらう結婚はしたくなかった」と、事実婚を選んだ。婚外子として生まれ育った自身の差別体験が背景にある。

 就職の面接では「寂しい家庭に育ったんですね」と言われた。かつて結婚を考えた交際相手も、自身の境遇を知ると態度を変えた。「家族の多様性を受け入れる社会になってほしい」。そう願っている。【川名壮志、和田武士】

利用規約

投稿は利用規約に同意したものとみなします。
不適切な投稿の管理者への通報はコメント下のから行ってください。

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

週刊エコノミスト

週刊エコノミスト

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

日報連

日報連