受験生の皆様

Global News −南山大生の海外見聞録

約束の「コーラム」

アジア

谷口 美登里さん (人文学部人類文化学科)南インドでフィールドワーク [ 2009年8月15日〜8月30日 ]


マドラス大学交流会


Vadipatti村調査


コーラム


ロヨラカッレッジ交流会

入学してあっという間に半年が過ぎた。自分で何か行動を起こさなければ、4年間はすぐ終わってしまう…。焦りを感じ始めた頃、授業で海外フィールドワークがあるのを知った。

行き先は、南インド。インドでフィールドワークなんて、想像もつかない。けれど、未知へのチャレンジに日増しに興味がふくらみ、同じくらい不安を感じた。背中を押してくれたのは、「コーラム」という床絵だ。ヒンドゥー教の女性が、毎朝欠かさずに家の床に描くという美しい文様。コーラムにはどんな役割があるんだろう。その意味を知りたい、彼女たちに会いたい!と思った。

インドで過ごした2週間は、はじめての体験ばかりだった。ヒンドゥー教や独特の文化、食習慣…。一番驚いたのは、時間の感覚の違いだ。日本では約束の時間は守るのが当たり前。でも、インドでは時間を過ぎても平気。調査を手伝ってくれるロヨラカレッジの学生と約束した時のこと。約束の9時を過ぎてもちっとも来ないので部屋に行ってみると「まだ支度ができていない」と言われ、そのまま1時間くらい待たされた。怒るより、あきれて笑ってしまうほどだった。

フィールドワークでは村を訪ね、いろんなコーラムを見せてもらい、話を聞いた。コーラムは何百年もの間、その家で祖母から母、そして娘へと受け継がれてきたもので、神様をお迎えする印であり、魔除けの意味もあるという。私は、ますます魅せられた。

「コーラムを描いてみたいなあ」インドの学生に何気なく話しながら、でも正直、無理だろうとあきらめていた。ところが、彼女はちゃんと覚えていて、村の女の子に頼んでくれたのだ。言葉の通じない私たちに、7歳の女の子が身振り手振りで一生懸命教えてくれた。そうした学生たちや村の人はもちろん、先生の親戚の方まで、「よそ者」の私たちを温かく迎え入れ、自分の時間を削ってまで相談にのってくれた。

たくさんの温かな約束に支えられて、出来上がったフィールドワークの報告書。自分の足で歩き、感じた、人々の生活や風景、匂いや時間の流れ。そこには、私の貴重な経験のすべてが詰まっている。

見聞録メモ

一日のスケジュール

07:00 起床、朝ごはん準備

07:30 朝食

09:00〜18:00 村での調査、グループ内で打合せ

18:00 ミーティング

19:00 夕食

20:00 1日の調査結果をグループでノート合わせ

21:00 ミーティング

22:00 入浴、次の日の調査の打ち合わせ

00:00 就寝

フィールドワーク・おすすめのポイント

ポイントは調査地を「自分の足で歩く」こと。歩くことで現地の人々の生活や土地の風景、匂いや時間の流れを全身で感じることが出来る。特に海外のフィールドワークでは、日本の生活とは全く異なる生活がそこにはあり、たくさんの人々との出会いがある。
調査後には報告書を作成するので、自分と調査地の人々との記録が形となって残る。報告書が出来上がったときには、一生に一度しか味わえない達成感がある。

おすすめスポット

南インドのタミルナードゥ州マドゥライにある
「ミーナクシーアンマン寺院」

大きな建物の外観には、ヒンドゥー教の神様の色鮮やかな彫刻がびっしりと並び、独特の雰囲気を間近で感じることができる。

おすすめの食べ物

グリーンカレーとドーサ

本場インドのグリーンカレーは、見た目はどろどろしているが、甘みがあり美味しい。ドーサは、ナンをもっと薄くして、丸い形にしたパンの耳のような触感。カレーにつけて食べる。

(2012年11月掲載)