水産庁:「禁輸解除」韓国と協議 8県水産物、安全訴え
毎日新聞 2013年09月16日 20時19分(最終更新 09月16日 22時57分)
韓国政府が、東京電力福島第1原発の汚染水漏れを理由に、福島県など8県の水産物の輸入を全面禁止した問題で、水産庁は16日、同庁幹部を韓国に派遣し、韓国政府の食品安全担当者と輸入禁止措置の解除に向けた協議を行った。日本側は、国際的な基準を踏まえた水産物の安全管理を行っていることを説明し、韓国側に全面輸入禁止措置の早期解除を要請。韓国側は、日本側の提供した情報を「よく分析する」とするにとどめ、協議は平行線となった。
韓国政府は9日から8県の水産物の輸入禁止対象を約50種類から全種類に拡充した。この日の協議で、韓国側は今回の措置について「(福島原発の汚染水問題の)情報共有が速やかに行われず、状況が不確実ななかで国民の健康と安全を考慮した」と説明。日本側は「科学的な根拠に乏しい過剰な措置だ」と指摘したが、韓国側は措置を解除する条件などは示さず、今後も当局者間で協議を続けることになった。
水産物の輸入規制では、中国が10都県、台湾が5県の水産物の輸入を全面停止しているが、韓国のように輸入規制を強化するのは異例。日本政府は、韓国の措置を容認すれば、日本の安全管理態勢が不十分との誤解が広がる恐れがあるとして、早期の収拾を目指している。【中井正裕、ソウル大貫智子】