イプシロン:15分遅らせ打ち上げ
毎日新聞 2013年09月14日 14時03分(最終更新 09月14日 14時43分)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から新型固体燃料ロケット「イプシロン」を打ち上げる時刻を午後1時45分から午後2時に変更し、打ち上げた。打ち上げ時刻の変更は警戒海域に船舶が入る可能性が出たため、としている。2度の延期を経てイプシロンは太平洋上空へ飛び立った。
イプシロンは当初8月22日の打ち上げ予定だったが、装置の一部に配線ミスが見つかり5日後に延期した。同月27日は、打ち上げ19秒前に地上管制設備が機体姿勢に異常を検知し、自動停止し打ち上げは再度延期された。
JAXAは27日の延期後、原因究明と再点検に2週間以上を費やしてきた。点検のために、イプシロン担当者以外の職員らによる特別点検チームを編成。延期の原因となった機体姿勢の計測開始のずれについては、ロケット側の信号を受け、地上側が計測を始めるよう変更。異常検知時に打ち上げを停止する19項目について、正常値の範囲などを見直すなど総点検を進め、再挑戦に備えてきた。
国産の固体燃料ロケットは7年ぶりの打ち上げで、改良型でない新型国産機としては2001年のH2A以来12年ぶりとなる。
イプシロンは、06年に運用を終えた固体燃料ロケット「M5」の後継機。全長24.4メートル、重さ91トンの3段式ロケットで、機体に搭載した人工知能がロケット自身を点検する機能を初装備。打ち上げ時にパソコン2台で対応する「モバイル管制」を導入した。今回は太陽系の惑星を専門に観測する小型人工衛星を搭載している。【津島史人、斎藤有香】