この日、昨年は19の機関がハッカー攻撃を受けた。今年6月、そのうちの60%が中国からのものであることが発表された。
いま、中国のインターネットでは、この日に日本の政府系ウェブサイトを攻撃せよとの呼びかけがなされている。攻撃対象として総理大臣官邸や最高裁判所、外務省その他省庁の名が挙げられている。
日本側はこれを深刻に受け止めている。NHKの報道によれば、政府は警察および公案に攻撃撃退措置を講ずるよう指令を出している。
バーチャル空間は陸、海、空、宇宙につぐ「第五の戦場」と位置付けられている。警察の調べでは、昨年一年間だけで、感染したコンピューターからデータを盗むことを目的としたウィルス攻撃など、政府機関へのサイバー攻撃が1000件以上確認されている。
中国ハッカーへの非難はまだ証明を必要とするものではある。しかし、日中間の緊張はサイバー部門にも及んでいると見るべきだろう、とロシア科学アカデミー極東研究所日本研究室のワレリイ・キスタノフ氏は語っている。
「中国は、特にオフィシャルなレベルでは、繰り返し、非難を否定している。しかし、もしも非難が当たっているとすれば、それは、いま見られる中国と日本の緊張関係は次々と新たな領域に及んでいるということを意味する。これまで目立っていたのは両国の軍備拡張競争であった。中国は空母を建設する、日本はそれにヘリコプター搭載艦の建造をもって応ずる。軍事費は両陣営で飛躍的に増大し、好戦的なレトリックもかまびすしくなった」
キスタノフ氏は続けて、今年日本がNATOとの協力についての宣言に調印したこと、そこには、中国のサイバー攻撃への対処という方面での日本・NATO協力が加速される可能性が示されていることを指摘している。
しかし他面では、とキスタノフ氏は語る、インターネット・オペレーションを遂行している国は中国一ヵ国ではない。エドワード・スノーデンの暴露情報を信ずるならば、米国の諜報機関は個人情報の収集を含めサイバー空間を暗躍している。いま、特に「中国からのサイバー攻撃」が恐れられているのは、つまるところ、東京・北京間の政治的相互不信の反映なのである。