第1回 カット打法の練習方法〜佐藤涼平(花巻東)に学ぶ〜2010年02月16日
松田優作コーチのコメント
何故、これをやったかと言うとですね。涼平は2年秋の時点(地区予選から東北大会準決勝まで)で打率1割台でした。前に柏葉がいて、クリーンナップにつなぐバッターがいなきゃいけないという監督さんの考えから、打率が1割ですと、どんなに守備が良くてももうちょっと出塁率がいい子となってしまうんです。何とか打率や出塁率を上げなきゃいけないって考えたときに、ヘッドが走らなかったんです、涼平は。ヘッドがボールを捉えるところで走るんじゃなくて、体と腰が逃げるような状態でバットが回っていました。元々、体も力なかったのでどうやったらヘッドをポイントで走らせることができるかな、と考えたときに、下半身を回転させないで振ると逆運動してヘッドが走るので、ヘッドが走るということを覚えさせたかったんです。体の前でヘッドが走るんだよっていうことを覚えさせたかった。「このままで打て」とは言っていなくて、『最終的には腰を回すよ』と言っていたんですけど、結果的にはアウトコースのボール球をカットするときに練習の時の感じをできるようになったんだと思うんですよね。予想外だったんですけど。
スライダーも来ますし、フォークボールも来ますし、逆にいったらシュートボールで逃げるボールもあると思うんですけど、いろんな体の形になると思うんですよ。きれいな形でファウルは打てないと思うんです。体を使うスポーツなので一概にこの練習をしたからということはないと思うんです。一応、理屈は教えましたけど、あとは涼平が練習で何本も何本も打って、試合で三振して怒られたりしながら体で覚えたっていうのが一番大事だと思います。ただ、きっかけを与えただけ。あとは、1割になって、ずっと言っていましたんで。『1割バッター、1割バッター』って。悔しがって練習するタイプだと性格もわかっていたので。
何故、ファウルを打つようにしたかというと、出塁率を上げたい、ピッチャーに球数を投げさせたい、ピッチャーに一番嫌がられるバッターになってほしいっていうのが監督さんの考えだったんです。ですから、振れるバッターが2番打っているからって涼平を目指されても困ります。涼平はこの体で、身長で見つけた技術なので、全部が全部目指されても、(可能性を)潰してしまいかねない。中学生でもいたんですよ。中学生はまだ未来があるので振った方がいいかなと思う部分もあります。100人越える部員の中でゲームに出るためには、自分を生きていく中での手段だったんですよね、涼平は。クリーンナップは川村、猿川で決まっていた。この体でクリーンナップはいけるわけもないですし、かといって1番バッターも柏葉とかも足が速くて出塁率のあるバッターもいたので、それを考えた時、つなぎ役がチームにいなかったので、監督、部長と考えた中で誰につなぎ役をさせるか。バントは元々うまかったので、そういった部分で、チームで生きる手段として習得しただけです。ただ、涼平みたいに体のちっちゃい子が、体が小さいからレギュラーになれないとか決めつけているんだとしたら、こういう方法もあるんだよ、ということだったらいいと思います。メインは出塁することだと思うんですよね。出塁をする上で打てないボールをカットする。
監督さんがそういう生きる道があるんだって言わなかったら涼平もやらなかったと思いますし、違う指導者だったら『筋肉を付けろ』と言ってパワーを付けさせたかもしれない。監督さんはこの小さな体で生き抜くためにはこういうバッターになった方がいいよということを教えてくれた。その中で考えたときにどうしていいかわからなくなっていたので、ヘッド走らせることしようかなったので。内野だったので。内野、固まりつつあったので。でもですね、野球の感覚すごく持っている子で、この身長で県選抜にも入っていますし、この負けず嫌いな性格がゲームに必要になるなと思っていて、それで監督さんが『外野やってみろ』って言ったらなかなかなセンスを持っていた。それで真ん中のセンターをやらせていました。本当に努力をしたんだと思います。どんどんファウル打てるようになってきて、自信も付いたと思うんですよ。教えたのはきっかけだけ。涼平には下半身を回さないでヘッドを走らせることが合っていたんだと思います。最後は本人の努力です。今度は大学でヒットゾーンにもっていけるようにしてほしいですね。木製は軽いバットを選べばいいから。
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自分自身体格が良くないのでこういったタイプの選手がいると応援したくなります。
カット打法(表現に問題があるかもしれませんが)も十分に作戦や練習の賜物であって、認められるべきだと思います。
今年の花巻東の千葉くんには3年間自分やチームの為に頑張ってきたことは決して間違っていないと思います。
高野連の「ものいい」を物ともせず、今後も頑張って欲しいと感じました。
こんな事で彼の今後の人生に大きな陰りを落としてはいけないと、ここにコメントを残させて頂きます。
勉強になりました!!
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