２６年前との違いは何が有るのだろう、相変わらず海外からの送金を
当てにしている人、海外へ出稼ぎに行く人で溢れる、人材派遣会社の
前を通る度に考える。ある面で海外へ働きに行けるだけ良いのかも
知れない、日本の様に国内で探すより。この国の体質は、誰が大統領
に成っても変わらないと思う国民が多いのも現実だ。
「2009年08月25日にツカサネット新聞で配信」
２１日夜、リサール公園ではニノイ・アキノを追悼する若者が、夜遅く
まで曲を奏で歌っていた。
２６年前に何が起きたか知らない世代がニノイを慕うのは、故アキノ
元大統領（夫人）の功績が大きい。
マニラ国際空港からニノイ・アキノ国際空港へ名前を変え、空港内
で射殺されニノイが倒れていた場所を再現したモニュメントをマカティ市
中心街のアイアラ・アベニューに作り上げた。
それは秘密結社カティプナンを結成しフィリピン独立運動の英雄に
なった、ホセ・リサールの死とニノイの死が、同じ殉死と考えたからだ。
ホセ・リサールの銃殺刑が執行された跡地は、現在リサール（ルネータ）
公園としてモニュメントが建てられ神聖化されている。
夫人が大統領の間に作り上げたモニュメントは、殉死者ニノイを神聖
化してしまった。
１９世紀の英雄ホセ・リーサルに対して、２０世紀の英雄ニノイ・アキノ
にしたかった様だ。
当日何が起きたのか、マルコス政権内で疑われた当事者は、今では
殆どの人が亡くなったか表面に出ていない。
実行者として刑務所に入れられた警察官も、つい最近釈放されてい
るが、どのような取引があったのか何も語らない。
当時、空港警備責任者だったオニバス少将の奥さんは、マカティで
歯科医を経営していて、私も何度かお会いした事があるが、今は消息
を聞かない。
もちろんオニバス少将にもお会いした。空港近くのパラニアケ・ＢＭ
ホームに自宅がある。
彼は自宅の周りに子供用の家を建てていて、老後は周りに子供を住
ませたかったようだ。
それを借りないかと誘われた事があった。 借りようと思っていたが
、この件が起きた事で何かが起きる気がして、丁重にお断りした。
エドゥサ革命後失脚し、その後死亡したと聞いている。 ベル大将
は、マルコスとハワイへ亡命して、そのままハワイで余生を終えた。
２６年の歳月が流れ、５６才定年のフィリピン軍規定で当時のマルコス
派は殆ど定年で引退している。
ただ一人元気なのはイメルダ・マルコス、マルコス死後フィリピンに
戻り、逮捕されそうになると、故郷のレイテ州タクロバンから立候補し
て不逮捕特権のある下院議員になった。
現在もマルコス資産の差し押さえや返還で国と争っている。
数年前、タクロバン市へ行った事がある。マルコス政権時代に作られ
た建物やホテル、隣の州をつなぐ大橋は日本でもなかなか見られな
い立派な橋だった。
そのときはレイテプラザに宿泊した。これまでマルコスが作ったホテル、
フィリピンプラザ・レイテプラザ・プエルトアズールに泊まったが、プエルト
アズールと建物の作りが似ていて、奇抜なデザインがメンテナンスを
難しくしていると現在の経営者（華僑系）が話してくれた。
あれだけ華僑系フィリピン人を嫌っていたマルコスだったが、イメルダ
の故郷タクロバン市を見ると商店やレストラン、ビルのオナーや工場等
の全てを華僑が経営している。
店に入ると華僑だと間違われ、奥からオナーが出てきて福建語で
話しかけて来た。
イメルダとの関係を疑われるのを嫌い、大手の会社は工場やショッ
ピングモール等を作らないから、華僑系が特に多くなったと話してくれた。
２６年前の建物だけが目立つ町、その時から時間が止まってしまった様だ。
マルコスの故郷も同じで、豪華に作られただけその後がむなしく
見える。
アキノ暗殺から地域経済は傾き、フィリピン有数の海外出稼ぎ地域に
なってしまった様だ。
タクロバンからの帰りに航空会社の営業所へ行く事になり、場所を
聞くとイメルダ・アベニューだと言われ、ここにマルコス政権の名残を見た。