ピンボール初心者・究極Q&A!


■お金を入れても始まらない?■仕込んだ磁石で吸い寄せて落とさせてる?
■ピンボールはゲームソフト?■揺らすとブザーが鳴るって?
■入ったら減点される所はあるの?■ピンボールの種類を言え?
■どこを狙えばいいの?■すぐに上手くなる裏技あったらおしえて!?
■ピンボールはメダルか景品が出る?■ピンボールは'70年代オールディーズ!?
■リプレイは何点?■ボールが引っ掛かったらどうするの?
■1ゲーム何球?■この台、ずっと直らないまま……
■最後に出てくる謎の2けた数字は何?■従業員から嫌がらせを受けて困っています。
■2人用は左右で同時プレイ?
■わざと真ん中に来るようにしてある?

お金を入れても始まらない?

【Question】………ピンボールってさあ、むかつくよね。だって金入れても始まらんもん。もう100円入れても音がするだけでボールとか何も出てこん。金も戻ってこねえし。

【Answer】………君はコイン投入した後、スタートボタンは押せたかな?ピンボールだってビデオゲームだって何だって、スタートボタンを押さないとゲームはスタートしないんだ。けど、プランジャーとかに気を取られて、スタートボタンを押せないお友達も多いみたいだね。
 スタートボタンはコイン投入口のすぐ左上にあるよ。右の図を見てごらん。ほらね、ここにあるんだ。コインを投入してクレジットが入ったら、ここを押せばスタートするよ!もし君の周りでピンボールをやろうとしてスタートボタンがどこか分からずに困っているお友達をみつけたら、スタートボタンのことを教えてあげてネ。

ピンボールはゲームソフトなの?

【Question】………ピンボールってあれでしょ!ほら、プレステ用とかウィンドウズ用とかのソフトのヤツ!僕も何本かやったことあります!

【Answer】………おおっいいねえ。デジタルピンボールとか、ビデオピンボールとか、そういったコンシューマー用ソフトのビデオゲーム方面からピンボールに興味を持ってくれる人も大歓迎!
 ただ、君のピンボール体験をダウンロードソフトやご家庭用テレビゲームだけで終わらせないで、是非、ゲームセンターなどにある本物のピンボールをプレイしてみよう。
 ピンボールっていうのはね、本当のコイルやモーターやセンサーで動く機械仕掛けのフィールドの中で、台が振動する程の迫力を全身で感じながら、現実のボールを操作することに、ピンボールの醍醐味があると言えるんだ。デジタルピンボールしかやっていない君にとって、その迫力の違いに雲泥の差があることに、やればやる程気付いてゆくはずだよ。
 最近ちっともみかけなくなってしまったけど、稀に新規オープンのお店やバーなどでピンボールをみかけることもあるので、その節には必ずプレイしてみよう。
 それと、飽くまでその手のゲームソフトはただのテレビゲームに過ぎないものであって、ピンボールとは完全に別物、ということも一応認識してくれておいたほうがいいな。

入ったら減点?

【Question】………ピンボールで、当たったらいけない所はどこ? 入ったら減点される所はあるの?

【Answer】………ピンボールは、はっきり言ってボールを下側アウトホールに落とさなければ良い、という単純明快なゲームなんだ。だから、せっかくシュートが決まったのに減点されてしまうターゲットとかホールやレーンとかは先ず無いから安心してね。
 ただ、あのターゲットを直接思い切り狙い打ちするとスゴい勢いでガンガン斜めに跳ね返ってアウトレーンに落ちることが多いとか、あの急坂ランプレーンをのぼりきらずに逆走してくるボールがど真ん中にくることがある、と言う様な危険なコースは確かにあるんだけどね。でもそれさえ気をつければ、狙って当てた、入ったことが直接不利になるようなポイントは存在しないから、光ってる所や面白そうな所、何かが起きそうな所、いかにも狙ってみたくなるアヤしい所にどんどんシュートして、ルールやフィーチャーを覚えてゆくべし!

どこを狙うべきか教えろ?

【Question】………ピンボールって、やってみようと思っても、一体どこを狙っていいのか、こんなの全然わかんないよ。先ず最初に何をすればいいの?どこに当てるの?

【Answer】………それでは、全てのピンボール共通の狙い目を教えてあげよう。それは、『自分がその時狙ってみたくなった場所』が狙うべきところなんだ。
 ピンボールっていうのはね、先ずどこを狙えばいいのか説明を求めたりするような、理屈から入るゲームではないんだ。まず、どのピンボールでもいいから、とにかく盤面プレイフィールドを見てみよう。いかにも何かが起きそうなミニチュアの中とか、立体的な作りがかっちょイイ急坂立体通路ランプレーンとか、いかにも意味ありげにライトが点滅している所などなど、初めてやる時点でもすでに魅力的に見えるポイントが1つ2つあるよね。この時、「ここにボールが通ったら、一体何が起こるんだろう?」……そんな気持ちになった時点で、もうそこが君の狙うべきポイントなんだ。そこへシュートが決まった時、何かの段階が進んだり、ミニゲームが始まったり等々変化があれば、またさらに新たな狙い目が現れ、自分なりの作戦が見えてくるし、何よりも自分で入れると決めたポイントにシュートがスパンと決まった時の嬉しさ!この爽快感こそ、ピンボールの面白さの根底にあるものなんだ。
 でもどうしても分からないという人のためにプレイングマニュアルとか、ルールシートのような解説文の配付もある(※現在国内ディストリのアトラスでは非実施)。けれどそれは飽くまでプレイし始める為の補助的なきっかけにしてもらいたいもの。自分の意思で狙って作戦を組立て、打つ爽快感を楽しむゲーム。それがピンボールの一番基本にある面白味なんだよん。
 それにしても、ゲームソフトの発売よりも先にその攻略本が出たり、全国へのゲームセンターへの出荷と同時にアーケードゲーム雑誌に攻略記事がびっしり掲載されるような日本のゲーム攻略文化の背景を考えると、プレイする前から「どこを狙えばいいのか」と先に理屈を求めたがる子が多いのは仕方がないことかもしれないな。でもこれをきっかけに、マニュアルに頼らずに自らゲーム展開を築き上げてゆく楽しさや、臨機応変でフリッパー操作やボールコントロールを行う面白さを知ってみるのも、いい機会なんじゃないかな?

ピンボールはメダルか景品が出る?

【Question】………ピンボールって、勝つと何かもらえたり、出てきたりするの?

【Answer】………大抵の台の場合、規定の点数を越えると“REPLAY”とか、“FREE GAME”の表示と共に1クレジット獲得!『パンッ!』という独特のノッカー音が合図だ。現在のビデオゲームでは先ず考えられない景気の良い大サービス!
 でも、景品やメダルが出てくるような機能は、改造でもしないかぎり標準装備されていないよ。

リプレイは何点?

【Question】………ピンボールって、やってて一度もリプレイ取れたことないんだけど、一体何点取ったらリプレイになるの?

【Answer】………それはね、機種によって内容も点数配分もフィーチャーも全然違うし、お店の設定によっても変わってくるから、「どのピンボールでも必ず○○点取ればリプレイだ!」とは、先ず言うことはできないんだよ。
 別のものに例えると、マジカル頭脳パワーとパネルクイズアタック25となるほどザワールドとクイズヒントでピントと三枝の国取りゲームとアップダウンクイズとクイズ地球どんぶりと巨泉のクイズダービーとクイズ100人に聞きましたとお買い物クイズ目方でドンと世界一周すごろくゲームとスーパーダイスQと三角クイズピタゴラスとずばり当てましょうとクイズグランプリとベルトクイズQ&Qとかのクイズ番組では、何点取れば賞品がもらえますかって言われても、番組によって点数配分や内容も全然違うから、必ずしも何点取ればいいってことは言えないよね。スポーツにしたって、テニスで15点取った時と野球で15点取った時は全然違うよね。それと同じ事だよ。
 因みに「アポロ13」というピンボールの標準リプレイ点数は60億と天文学的な数だけど、数千万、数億というボーナスポイントがたくさんあるので、リプレイを取ることは可能なんだ。逆に「NBAファーストブレイク」というピンボールのリプレイはたったの100点だけど、スコアは1点〜3点単位でしか入らないので、すぐにリプレイが取れるという訳でもないんだよ。

1ゲーム何球?

【Question】………ピンボールって1ゲーム3球だよね。なのに、4球も5球も打てたことがあったんだけど、どうして?

【Answer】………なるほど、5ボール設定でもないのに4回以上ボールが出て来たりするのを不思議がっているんだね。それでは、1ボール打ち終わる度に、ディスプレイの方をよ〜っく見てみよう(下図)。
 ピンボールはビデオゲームの様に残り2基とか、残り4ライフとか、残り3人とかの残基制の表示はせず、ゲームスタート BALL1 BALL2 BALL3 ゲーム終了、といったボール数表示制度となっている。自分が2ボール目、3ボール目を打っているつもりでも、ディスプレイの表示を見ると、まだ1ボール目だったりすることがあるんだ。  例えばEXTRA BALLエキストラボール。ビデオゲームで言う1基増えるとか1UPに値するもので、それを獲得した時は1回落としてもBALL数は進まないまま続けてボールを打てる。他にも、ボールセーブの様に落としてもボールが即復活、落としたことをチャラにしてくれることだってよくあるんだ。だから自分の目で見て打った分だけ数えて3回だからって、それで終わりとは限らないんだ。
 また、1つのボールが本当に終了した時は、そのボールの成績結果アウトホールボーナスがディスプレイでカウントされ、ボーナス点として加算される。これが行われて、はじめてそのボールの終了となるんだ。今が何ボール目なのかは常にディスプレイで表示されているし、エキストラボール(シュートアゲイン)もボールセーブも、それぞれちゃんとディスプレイの表示やサウンドで知らせがあるから、今度プレイした時はディスプレイの方も確認しながらやってみよう。3回落としたからってディスプレイもシューターも何も見ずにさっさと台から立ち去っちゃうと、実は残りボールがあって大損しちゃうかもしんないよん。

最後に出てくる謎の数字の正体は?

【Question】………ピンボールのゲームオーバー間際に、いつも何か数字が出てくるんだけど、あれは一体何?

【Answer】………それはマッチナンバーといって、自分の出したスコアの下2ケタとそのナンバーが一致すると、その場で1クレジットもらえて再ゲーム、というピンボールならではの大サービス!当たった時は「パンッ!」という独特のノッカー音の合図もあるよ。

2人用は左右で同時プレイ?

【Question】………ピンボールって、あれ2人用のモードとかならないの? やっぱり左側ボタンと右側ボタン1人ずつ分かれて同時にやるの?

【Answer】………ピンボールは2人で左と右に分かれて同時にプレイするようにはできておらず、先ずまともにスコアをあげることはできないんだよ(右図)。でも複数人数プレイのモードもちゃんとあって、人数分のクレジットを投入し、ゲームスタート時(BALL1中)に、2人用ならスタートボタンを2回プッシュ、3人用なら3回、4人用なら4回押せばOK!1ボール毎に次のプレイヤーと交代、但しエキストラボール獲得時やボールセーヴ判定が出た時は同じプレイヤーが続けて打てる。スタートボタンは実はプレイ人数決定ボタンでもあるんだ。
 中には、スタートボタンを「ボールが出てくるボタン」とカン違いして、みだりにギザギザと押し続け、知らぬ間に2人用、3人用モードになってしまい、ひとりで混乱している人もよくいるから、気をつけようね。

わざと真ん中に来るようにしてある?

【Question】………ピンボールって、やり始めてすぐボールが必ず真ん中に来るようにわざとしてあるだろう!ずるいよねあんなの。

【Answer】………確かに、ボールが落ちやすくて難易度の高い機種とか、悪いクセのついてる台のような、初心者にとっては厳しいピンボールもあるよね。でもちょっと待って。もしビデオゲームやってて「このゲームずるい!だって敵キャラがすぐ攻撃してきてやられるもん!」なんてのたまうファニーなヤツって脳みそあったか過ぎだよね。ピンボールだってそれと同じ事が言えるんだ。
▲例1:プランジャーを思いっきし引っ張って打つと球はド真ん中に来るけど、ちょっとユルめに打ったらボーナスホールに! ▲例2:ボールがサイドフリッパーに流れてきた時にシュートを決めればランプレーンでボーナスゲット!しかしボーッとして打ち損ねると球はド真ん中へ……
 例えば左図例1のように、プランジャーを思いっきり引っぱって打ったら奥でUターンして猛スピードでど真ん中にきて落としてしまうなら、次からはプランジャーを弱めに打ってみればいいだけのこと。すると意外な所に流れてスキルショットボーナスがもらえたりすることもあるんだ。
 右図例2はフィールド中部端にサイドフリッパーが付いてる場合。ど真ん中に向かって降りてくる前に、そのサイドフリッパーで打てば、センターの危険なコースは回避できる上、サイドランプレーンへの狙い打ちだってできる。
 また、一見ど真ん中に来ているように見えるボールでも、左右フリッパーの瞬間的な上げ下げによる先端と先端のヒットで拾えてしまうものがほとんどなんだ。
 だから、ビデオゲームで敵の攻撃から逃れたり、やられる前に攻撃したりするのと同じ様に、ピンボールでもボールを落とさないようにする手立てを自ら実践して防御するのは当然なんだ。分かったかな?

仕込んだ磁石で吸い寄せて落とさせてる?

【Question】………ピンボールってさあ、ある時なんか僕が一生懸命ボールを打ち返してうまくいってたのに、なんかボールが吸い寄せられるように下に落ちていったんだよね。アレ、絶対磁石がどっかにあって球落とさせてるんだよね。だからピンボールってずるいんだよ!

【Answer】………多分君は激しくスピンしたボールがスピンの回転の方向へ引き込まれるようにしてアウトレーンやアウトホールに落ちてゆくのを見てそう思い込んだだけなんじゃないのかな?ピンボールの仕掛けのひとつにマグネットがあるけど、直接下側やアウトレーンに落とさせる為のマグネットのギミックなんてそんな、ゲーム性は台無しだわ、デザイナーにとってもオペレーターにとっても面倒な仕掛けだわで、現実には一切有り得ないということを断定しておこう
 それどころかボールが落ちそうになった時に磁力が働いて盤面にボールを引き戻して助けてくれるマグナセーブっていう仕掛けもあるくらいなんだからね。磁石で吸い寄せて直接下に落とさせるような理不尽な仕掛けは一切無いから安心してね。
 それにしても、君のように「あれ絶対磁石で落とさせてるに違いないんだ!!」と言い出して聞かない愉快な子が何年かにいっぺんぐらいの割合で現れるんだけど、ピンボールの作り手側に立って考えてみれば、そんな訳ないんだよね。落ちそうになったボールを磁力の作動で引き戻してあっと言わせる劇的なボールセーブ演出ならともかく、落とさせる為にわざわざ磁石を使う必要性なんて全くないんだ。ボールの落ち易さの調節をするなら、プレイフィールドの設計段階で左右フリッパーの微妙な位置やアウトレーン付近の作りで、見た目は変わらなくとも、思い通りに決められる。さらにオペレーター側はレグレベラー調節や、アウトレーンに3段階あるポストの固定位置の調節を行えば、落ち易くも落ちにくくも手軽に変えられる。しかも各フィーチャー内容の細かな難易度設定なんかも山のようあるし。
 今はとりあえず心を落ち着けて猜疑心を自分自身の問題として解決して、それからピンボールに挑んでみようね。

揺らすとブザーが鳴るって?

【Question】………ピンボールって揺らしちゃいけないんだよね。もし揺らしたらブザーとか鳴るんだよね?

【Answer】………実はどのメーカーのピンボールも、わざと揺れの起きやすいよう付け根に弾力性のあるレグを用いている上に、盤面が揺れの影響をよく受けるようにしてあって、わざわざ揺らしやすいように作ってあるんだ。つまり、本物のボールを本物の振動で操作できる揺らしのテクニックこそ、ビデオゲームには無い面白さということで、揺らしのプレイを存分に楽しめるようピンボールはできているんだよ。
 ただ、台を持ち上げたり、他の筐体にぶつかる程ひきずったりする様な、台の破損につながりかねない、揺らしの常識をはるかに逸脱した行動をとる、ほんの一部の心無い人がごくまれにいて、そんな台の破損を心配するお店側の方の為に「プラムティルト」という振り子の装置による設定があるんだ。この振り子が振動で揺れることによって、機械側が過度な揺れを感知するとDANGERデインジャーと表示、さらに激しい揺れが続くとTILTと表示した後、無茶な揺らしをやり過ぎた罰としてゲームは一旦ストップ、1ボール分無効になるんだ。このティルトというルールによって非常識なプレイを防止している訳なんだけど、その代わり1ゲームにつき100円払ってプレイしているプレイヤーは、ティルトを起こさない範囲での揺らしのプレイを存分に楽しむ権利があるんだ。つまり、揺らしを楽しむ分の料金も100円の中に含まれているんだよん。
 因みに、ある条件で揺らしのテクでボールを救うとNICE!と表示されて、なんと揺らし成功のボーナス点が入るルールのある台もあるんだゾ。

ピンボールの種類を言え?

【Question】………ピンボールって、どんな種類があるの? もっと他に色々あってもいいんじゃない?

【Answer】………種類?ピンボールのどういった点の種類のことかな?バリーやゴットリーブ、シカゴコイン、ウィリアムス、データイースト、セガピンボール、スターン、アタリ、ゲームプランなどのブランド名や会社のこと?ワイドサイズやカクテルやトークンやペイアウトなどのキャビネット仕様のこと? 19世紀末のノンコインバガテルや1930年代前半以降のカウンター台やテーブル台、エレクトロメカニカル台、'70年代後半からのソリッドステイト台などの時代ごとのマシンの機構の様変わりのこと? それとも、ドットマトリクスやデジタルディスプレイやリールドラムとかのディスプレイの発展形態のこと? はたまた、マルチボールとジャックポット中心とか、ミニゲームと最終ゲーム中心とか、ドロップターゲットバンクの完成中心とか、トップレーン完成によるアウトホールボーナス倍率UP中心とか、スペル完成やライト点灯・消灯による役物完成によるスペシャルリット狙い中心とか、そういった技術の進歩や流行によって変化していった細かなフィーチャー内容のトレンドの移り変わりや発展のこと? でなければ、映画ネタやTVネタやキャラクターものを扱ったライセンスものとか、オリジナルコミックによるストーリーものとか、車やバイクものとか、ビリヤードものとか、ボウリングものとか、スポーツものとか、宇宙ものとかSFものとか、トランプのカードものとか、剣と魔術と冒険のファンタジーものとか、そういった各マシンのテーマ性のことなのかな……?
 まあ、かなり強引に「種類」分けするとそういった区分が出来ないことはないのだけれど、君は『ピンボールはAという種類、Bという種類、Cという種類。これで全部です!』というような分かりやすい説明を求めているんだよね。けれど、ピンボールはそんな簡単に分類できるものではないんだ。
 例えばここに最近出たばかりのピンボールが10機種あったとする。それぞれフィーチャー内容だけを見ても、ある程度のトレンドや流行はあっても、全く同じものはどれ1つとしてないんだ。ソフト面やハード面などの機構から見ても、共通の部分もたくさんあるけれど、それぞれ全く違う方向に発展・研究が施された部分も非常に多くあって、それらが複雑に組み込まれているんだ。だから、よほど限定した一部分だけにテーマを絞らない限り、19世紀末頃に始まったアメリカのコインマシン産業において約70年以上の歴史のある全てのピンボールを『種類』といった漠然とした区分けで分類することは不可能なんだ。分かったかな?
 でも種類がどうこうなんてことより、とりあえずピンボールを実際にプレイして、自分に合う台を見つけて存分にやりこんで、ピンボールの基本的な面白さを体で覚えて身につけた方が、よっぽどピンボールを理解することの近道になるはずだよ。

すぐに上手くなる裏技あったらおしえて!?

【Question】………ねえねえ、誰でもすぐにピンボールで高得点出せたり急にうまくなったりできる、意外な裏技あったら教えて!おしえておしえて!!

【Answer】………ではお答えしよう。君は永遠にピンボールをうまく打てるようにはならいよ。少なくとも、短絡的な裏技ばかり刹那に求めている今の姿勢を改めない限りはね。
 例えば、囲碁や将棋の世界的頂点に立つ有段者の先生に、『裏技あったらおしえて!』なんて新米がはしゃいで尋ねたりなんかしたら、次の瞬間殴られる程度ですめば幸運だよね。
 もっと分かり易く例えると、運動も食生活の摂生もなにも努力してないくせに『あ゛〜〜もっと簡単に痩せられる裏技みたいな方法な゛〜い゛〜が〜じ〜ら゛〜ブヒー』とケーキやスナックの間食を日々むさぼる上に就寝前にピザとビールかっ喰らっては、TVや通販で“運動しないで食べながら1週間で簡単にやせられる方法があった!”という惹句に安易に飛びついては減量に失敗してる見苦しい肥満者と同じ次元の思考だよ。借金苦の男がまじめに働こうとせず、『楽して返済する方法はコレしかない!』とサラ金やギャンブルに手を出してますます蟻地獄に陥るケースとも同じ構造。努力無く、楽して物事が向上することなんて、世の中にはないんだ。
 でもひとつだけ、ピンボールの鍛錬において何よりも金科玉条とすべき座右の銘があるから教えるね。それは《球がすぐ下に落ちなくなるにはどうすれば良いか、一生懸命自分で考える》というものなんだ。
 例えば、もし君がすぐにセンターからボールを落としてしまうことに悩んでいるなら、『もしかして左右フリッパーの先端と先端の瞬間的上げ下げでギリギリど真ん中ボールの多くを拾うことはできないだろうか?』とか『あの急坂スロープランプレーンを登り切らずに逆走してくるボールがいつも怖いど真ん中に来るんだよな…じゃあ逆走球がスロープ入口あたりを過ぎる瞬間に軽い揺らし突きナッジングを台に加えれば、ちょっとだけ方角が変わってど真ん中コース防げるよな!そうだそれだ!!』とか。
 やたらアウトレーンに落ち易い台で苦戦しているなら、『なぜすぐアウトに落ちるんだろう…そういえばあの中央のターゲットに思いきり当たるといつも横斜めにガンガン暴れてアウトレーンに飛び込むよな……そうか、アレを狙っちゃいけないんだ。闇雲にひたすら打ち返しまくるのも危ないよな…じゃあ上げたままのフリッパーの根元でボールを止めて、ワンショットワンショットを確実にして安全なボールリターンにつなげていけばいいんだ!』と、自分で実践して試行錯誤しながら身に付けていけばいいんだよ。
 ピンボールというゲームは、ビデオゲームのパターン攻略とは異なり、フリッパーテクニックのひとつひとつの修練やボールの習性の熟知、瞬間的判断力などひとつひとつの積み重ねで上達してゆくもの。だから、“ピンボーラー”と呼ばれている人や1コインで何時間もプレイできてしまう達人、国内大会や世界大会で優勝のキャリアを重ねている豪腕っていうのは、皆そうやって経験と試行錯誤を積み重ねながら5年・10年・20年とかかって腕を磨き続けてきた人たちなんだ。どんな分野のものでもそうだけど、裏技や付け焼き刃で上手くなろうと思ってはいけないよ。  

ナイスな'70年代オールディーズ・ピンボールマシンが
俺も欲しいぜ!イェア!!

【Question】………ピンボールはクールでビューティなアメリカンアートォ!イェア!イッツ'70年代オールディーズ!フォーッ
 ところでミーの経営するグルーヴィなバーあーんどクラブにもピンボールを置きたいぜウォーウ♪ナイスなピンボールをいいプライスで手に入れるにはどうすればいいのか教えてプリーズ!アォ!!

【Answer】………帰れおまえ。あっいけないつい本音が!ゴメンゴメンなんでもない、今の忘れて忘れて。
 えとなんだっけ、あっそうそう、'70年代ピンボールとか、ドラム式ピンボールとかをお店に置きたいんだったね。残念ながらウチではそういうことは一切タッチしていない。販売も取り扱いも、そういった業者の紹介もしていないし、対応できるようなタイプの情報発信は行っていないんだ。気持ちはとっても嬉しいんだけど、どうか他をあたって下さいね。
 それと、ピンボールはアメリカンアートだとかファッションだとか骨董品だとか、そんな間口で嗜んでいる人も世の中にはいるにはいるんだけど、いわゆる生粋のピンボーラー、真のピンボールプレイヤーとは、あまり水が合わないことも少なくないんだ。
 例えば、初代ファミリーコンピューターのような8ビットゲームが大好きで、生産終了でもまだまだ現役で面白いんだぞ!とゲームソフトを集めて攻略してる人たちのファンサイトのようなところに、ゲームなんかほとんどしてないのに、古いハードをガラスケースに入れて芸術骨董品扱いなんかしてる人が突然BBSへ闖入して、『ふふっノスタルジックな昔のゲーム機には滅んだ恐竜のようなロマンを感じるぜ、ん〜〜〜』としたり顔で悦に浸ってみせたら、皆イラッときたり完全シカトされたりするのは、至極当然のことだよね? それとかなり近いことを貴方はしてるのかも知れないよ。
 いや別に、ピンボールという文化をどんなヴェクトルでたしなもうと人それぞれの自由ではあるので別に構わないけど、本来のピンボーラーとは嗜好の回路も根幹もまるで違う、ということを一応胸にたたんでおいてね。

ボールが引っ掛かったらどうするの?

【Question】………プレイ中、ボールが変なところで引っ掛かったままになって、それきりゲームが止まっちゃった。どうしたらいいの?

【Answer】………よくマルチボールの前段階でボールがフィールド上のどこかに蓄えられ、新たなボールを打ち出せる「ボールロック」というフィーチャーはあるけど、そういった意図的なものでなく、不本意的にヘンな所にボールが引っ掛かったり、乗り上がったり、食い込んだりしてゲームが中断することがたまにあるんだ。しかしこの時落ち着いてしばらく手を放して待っていると、機械側は10数秒以上待ってもボールの反応がどこのスイッチにも起きないことから、ボールが異常な止まり方していることを察知、動かせるトコ全部一斉に作動させて何とかボールを降ろそうとしてくれる(ボールサーチルーチン)。これで大抵の場合、引っ掛かったボールは降りてきてくれるけど、それを何度繰り返して待ってみても引っ掛かったままの場合、必ず(ピンボールに理解のある)従業員の人を呼んで、ガラスを開けてボールを取って処置をしてもらうこと
 ここでお願いしたいのだけど、ボールスタックが起きたまま、そのままにして立ち去ったりしないでね。ボールがどこに、どういう状況で止まったかを知っているのは、その時プレイしていた君だけなのだから、お店の人に明確に説明出来るのも君だけということになるんだ。もし引っ掛かったままにしてプレイヤーが立ち去ったりすれば、次にやる人が一番迷惑するし、そのお店の人達も必ずしもピンボールの管理に長けているとは限らないので、下手をするとそのまま放置されたままになることもある。機械側は即ボールの紛失を察知、BALL MISSINGの信号を出したり、ゲームを中断したりするけれど、その状態がしばらく続くと、正しいボール個数での稼働を諦めてしまい、ゲームルールをやむを得ず狂わせて稼働するようになる。お店側もそれに気づかずに何週間も、何か月もそのままになったりすることだってあるんだ。だから、ボールが引っ掛かってゲームが中断してしまった時にお店側に申し出ることは、プレイヤーの義務でもあるんだ。

この台、ずっと直らないまま……

【Question】………僕がよくいくA店で、ある日ピンボールをプレイしてみたら、役を完成したら開くゲートの様なものが全然動かなくなっていたんだ。その後何週間かして、もう直ってるだろうと思って、またA店の同じ台をやってみたら、そのまま全く直ってなかったんだ。どうすればいいの?

【Answer】………それなら答えは簡単、お店の人に相談して、事情を説明して調整してもらうようお願いする、つまり、お店の人を呼べばいいんだよ。例え部分的な故障でも、きちっと申し出れば、大抵直してくれるはずだよ。
 ただ、今までピンボールなんて一度もプレイしたこともない、全く知らない従業員がたまたま対応にでてきたりすることもあって、そんな人の場合、どこが、どんな風に異常なのか、どんなに詳しく説明してあげてもさっぱり理解できず、調整の人への伝言すらまともにできない、という事態も少なくない。相手の店員さんと少し話してみて、どうも分かっていないようであることを感じ取ったら、あらかじめ用意しておいた適度な大きさのメモ用紙に、できれば図入りで異常箇所を書き込んで、分かり易く説明した文章も記入、それをお店の人に渡しておこう。決してなめられず、時には厳格に毅然とした態度で、店側へ調整を啓蒙すると良い。
 尚、もしも台の状態の悪さや異常個所を何度通達しても店側が調整せず放置したり、ぶっすりふてくされた従業員が対応に来て貴方に噛み付いた場合、本部・本社を調べて実名入りで事実を知らせ、改善を要求すると良いだろう。
 楽することしか頭に無いバイトのくそガキ相手に腰低くへりくだる必要はないよ。従業員の無知・怠慢・不勉強や不埒な言動挙動が目立った場合、一喝して心を入れ替えさせるべし。

従業員から嫌がらせを受けて困ってます。

【Question】………ピンボールの置いてある行きつけのゲームセンターで、特定の従業員がら嫌がらせを受けるようになってしまいました。おそらく、以前フリッパーの打力が極端に弱くなってその店員に調整をお願いした時に、『は?はじめからこんなんじゃないの!』と面倒臭そうにとぼけられた為、ランプレーンなどに通せないことによるゲーム性の破綻、コイルスリーブ交換の必要性、トランスの調整、等々きちんと反論して原因と修理方法を指南したのが、よっぽど気に食わなかったようです。以来、プレイ中私を横からにらみつける、台のトラブルで声をかけても無視、私のやるマシンだけ設定を極端に変える、コミュニケーションノートに私への誹謗中傷まで。もう傲岸不遜のやりたい放題です。

【Answer】………誠に大変でしたね。全くお気の毒です。その最悪の店、最悪の従業員の方が明らかに異常ですし、決してあなたは間違ったことはなさってません―――と言いたいところだけど、哀しいことに、貴方も店への判断と対応を大いに誤っていた、ということも言えなくもないんだ。
 とりあえずは前述のAnswerのように本部を調べ上げ、該当の従業員を名指しして抗議すればひとまず問題は解決するのだけど、「ゲーセンの店員」などという常識の通用しない相手に“きちんとお話すれば分かってくれるはず”などという青い性善説や求めた、そちらの思惑もかなり甘かったと言わざるを得ないんだ。

 例をひとつ挙げてみよう。2006年の初め頃の、当時オープンして間もない《ジョイプラザ熱田店》でのこと。新品だったスターンの「グランプリ」に初期故障があり、ロックポケットのセンサーが稼動しないためにボールロックもマルチボールも一切進まない、という困った事態が発生。即、呼びつけた従業員に丁寧にひとつひとつ説明して調整するよう進言。
 ところが2週間経っても一切直されることはなく、店側は完全に無視を決め込む、という対応をみせたんだ。
 そこで、再び店員を呼びだし、
 おい!この前センサーいかれててロックもマルチもできねぇって言ったよな。わざわざバカでも分かるようにひとつひとつ丁寧に説明してやったよなぁ!
 ……直ってねえじゃねーか!!!何やってんだ馬鹿野郎!てめぇふざけてんのかクソアホ!!!!!

 と、周りの客がドン引きする程大声を荒げて店員のクソガキをなじりつけたところ、即、センサー異常は修理されたんだ。
 わざわざここまで怒ってやらないと、店員はきちんと調整することも、まじめに働くこともしないんだよ。

 それはいくらなんでも酷いのではないか、と思う人もいるかもしれないね。じゃあ正反対の紳士的で礼儀正しい温然な申し出や対応が、どんなに悲惨な結末を招いたか。残念な実例をいくつかあげてみよう。

 1995年5月上旬頃、愛知県一宮市、名岐ボウル内のタイトー直営店《サンサーカス名岐》に筆者が赴いた時の事(その後ザ・メイギ内、名岐サンサーカスに改名後、現在閉店)。
 当時同店にピンボールはちょうど10台並べられていたものの、状態が悪いというよりもはや論外。「ロード・ショー」をはじめ各台のフリッパーが弱いというかボールの重みに負けて垂れ下がるほど脆弱。「リヴァーボート・ギャンブラー」のルーレットも回らなければセレクトボタンも不良、中にはフリッパーが上がったまま戻らないという視覚的に明らかな異常も放置されていたりとか。「ギリガンズ・アイランド」に到っては目を覆うほどで、上下稼動のスロープがコイル稼動停止で開かなくなり、当然裏でボールがいちいち止まるトラブルが頻発する訳だが、しかしきちんと修理するのを面倒くさがった店員が、スロープを手でバッキリ割って引っこ抜き、ポイっと捨てて知らんふりしてそれで客にやらせる、という暴虐的な扱いまであったほど!
 当時は冷静に、尚且つ懇切丁寧に従業員に状態を説明、頭を下げて調整を懇願。パーツのスロープを手で折って捨てたり、キックアウトホールに異物を詰め込んでガムテープで塞ぐような行為はやめてもらうようお願いしたものの、終始ぶすっ!としたままろくに返事もしない男の従業員が、しぶしぶ別の台にサービスクレジットを投げやりに入れるばかり(その別の台も状態悪いのに)。
 その後、同年11月25日(土)昼の2時ごろのこと。半年振りに同店へ訪れたところ、ピンボール各台の状態は全く変わっていない、というか全く調整に手をつけた跡すらなく、全体的に悪化すらしていたくらいだったんだ。
 やむをえず従業員を呼んでみたところ、ふくれっつら対応のくだんの従業員ダダダダッ!と駆け寄ってきたかと思ったら、頭ごなしに開口一番、
 『あなた一体何しに来てるんですか!前にも一度来たでしょう!そんな事言ってこられてもウチには直せる人がいないんだから言ってこられても困るじゃないですか!直せないんですから困るんです!(単に私が手に持ってた手帳とシャーペンをみつけ、さらに激昂して指差しながら)何を書いてるんですか!勝手に店のことを書いたら無許可取材です!勝手にそんなことをしてもらっては困ります!!』
 こう矢継ぎ早に、その従業員は声を荒げ、こちらに対し、一気呵成に延々罵倒と誹りを続けてきたんだよ。

 その後、タイトー本社にことのあらましを洗いざらい全てをクレームとして報告したところ、今度は店側から手の平返したようなお詫びの電話と、謝罪の手紙、贖罪の品としてピンボールのバックグラスまで送られてきたんだ(笑)。尚、その従業員は解雇処分になったとか。


 もうひとつ例を挙げてみようか。今度は1999年の8月ごろ。名古屋は栄の繁華街ゲームセンター《サーカス・サーカス》でのことだ(前述の店とまた似たような名前なのは偶然)。
 当時ピンボールが4台あったこちらの店でも、「ダーティー・ハリー」の右フリッパーが全く稼動せず、「ジャッジ・ドレッド」アウトホールセンサーのうちのひとつがイカレたせいでマルチボールの個数認識が1コずれる、「トワイライト・ゾーン」のバイ・イン・プレイボタンが無反応、等の多くのトラブルが起きていた。
 指摘すべき箇所が多かったため、ピンボールの知識があるかどうかも分からぬ店員さんに矢継ぎ早に説明すると混乱するだろうから、メモ帳とペンを取り出し、図入りで丁寧に異常個所を記してみたんだ。礼儀として、住所氏名のきちんと記した誠実な署名入りでね。
 必死こいて手間をかけて分かり易く書き上げ、一番近くに居た店員さんに声をかけ、事情を説明してそのメモを渡し、頭を下げて調整をお願いしてみた。

 その1週間くらい後のことなんだけどね。そのお店のピンボールコーナーに赴いてみたら、台と台の間にある太めの柱に、こんな貼り紙がしてあったんだ。

○○ 様 へ(名指し)

勝手に機械の状態を
チェックしないで下さい。
あなたのことは
挙動不審者とみなしています。

従業員に声をかける時は、
いきなり機械の調整の話を
切り出したりしないように。
あれはかなりまずいです。

 百貨店やショッピングモールのような接客業では絶対に有り得ない、常識を大いに逸脱した店員のこの貼り紙行為、またその文面内容の異常性についてはここでは一旦置いとくとして、その場で即従業員にこの貼り紙がどなたの指針によるものなのか問いたところ、奥の厨房(このゲーセンには軽食コーナーがある)の洗い場で皿洗いをしていた、[店長]の名札をつけている男のところへ連れてかれたんだ。
 この男に『この度は色々と…』こちらから礼儀正しく声をかけたところ、この男は厨房内から出てきてくれるどころか、作業をやめようともせずに皿洗いを片手間にしながら“んー? おっ!”“あ〜〜っ!”と、横柄にふんぞるような返事しか、返してこないんだ。
 結局筆者は相手のナワバリ内で他の従業員にも囲まれる中、フンッ!と威容且つ傲然に高圧する相手方の“店長”に、頭を下げて平謝りさせられる憂き目に遭ったんだよ。
 プレイしたゲームのトラブルで自分に迷惑をかけられても決して怒鳴り込まず、丁寧に分かり易く伝わるよう相手に気を回したはずが、【閉ざされた封建空間で上層に立つ店長様に対して客のクセして調整に口を挟んでタテついた罪】により、理不尽な叱責や辱めの面罵になじられる人権侵害とも言うべき人災にみまわれてしまったんだ!

 もちろん後日、この件に関して運営元の本社に抗議したところ、今度はその店長から戸板返しの全面謝罪の手紙が、貼り紙の文面や、厨房での態度や口ぶりとは裏腹の平身低頭の文章筆致により、侘びの無料チケットの大量同梱と共に、その人の署名入りで自宅に送られてきた。でもあまりに後味が悪くて、二度とその店には行かなかったな。

 もっと時代を遡ってみると、'80年代の名古屋駅西のナムコ直営店《ゲームプラザイエローハット》(現在閉店)でアルバイトの従業員たちが【ナムコの店の店員】という響きに酔いしれて夜郎自大と化したのか、(今で言うと)たかだか就職浪人のフリーターのクセに随分と尊大ぶっていて、子どものお客さんである中高生を手下扱いして外まであごで使ったり、コミュニケーションノートを使って脅迫や中傷を働いて金品を搾取したりすることまで起こっていた。

 更に酷いケースになると、気に入らないことがあると小中学生の子どもを殴る、という愛知県名古屋市守山区四軒家の《RIO》というゲームセンターの暴力店主のケースがある(現在閉店)。
 この店の男が、お客様のお子さんを、何かと理由につけ、暴行していたんだ。
 '80年代当時小中学生で、同店に入ったこともあった筆者は、幸いにもRIO店主に乱暴を受けたことはなかったけど、たまたまデパート帰りに一緒に遊んでくれていた母が男の威圧的な態度に怖い思いをしたそうだ。
 実際のところ、同級生の間では“あの親父はこぶしで頬を殴ってくる。怖い”という恐怖の伝播で持ちきりだったんだ。

 どちらのケースでも、従業員から暴行・傷害・脅迫を受けた子どもたちは、誰にも相談できなかったことは想像に難くないよね。大人に言おうものなら“お前ゲームセンターなんかに行ったのか!お前が悪いに決まっとる!”と、有無を言わさずまた張り倒されてしまう。多くのPTAが子どものゲームセンターの入場を禁止し、教育現場で苛烈な体罰も横行していた'80年代。ゲーセン文化が社会的拒絶と迫害を、今とは比べ物にならないほど峻烈に受けていた時でもあるこの時代のゲーム少年に、人権は無いも同然だったんだ。

 じゃあ、なぜこうまで“ゲームセンターの従業員”の人間性が横暴で下卑なのだろう?

 まず第一に、コインオペレートのアーケードゲーム自体、“ラクして何もせず機械にお金が入ってくるおめでたい商売はないか”という自営業者の需要に応えた隙間産業だからだ。元来は接客業・サービス業精神に基づいたものではない
 例えば、屋外の自販機やコインランドリーでトラブった時、裏にある責任者とおぼしき家屋の扉を叩いても、にべもなく不愉快そうな顔の老人しか出てこないだろう?

 ふたつめは、ゲームセンターの客層自体社会的地位が低く、他のサービス業と比べて低年齢が多いから。ぞんざいに扱ったり、人権を犯したとしても無抵抗同然で反撃が乏しく、立証もされにくいんだ。
 もし有名百貨店の店員が、名士の奥さんに不良品を売りつけ、しかもクレームに対して馬鹿にした対応なんぞしたら、たちまち総本部に怒鳴り込まれ、法的対応まで迫られて責任問題になる。でもゲーム少年には、そんな知恵も行動力も財力も人脈も、何もない。

 こういった極めて弛緩した夜郎自大的環境に漬かる従業員たちは、やがて店の中というとても狭い権勢グループ空間で、自分は好き勝手に振舞える地位を得たと思い込み、エゴと横暴が日々エスカレート。調整の不備を指摘したプレイヤーを罵倒・脅迫したり、お客さんの子どもを殴ったり、中傷を働いたりするのも、まるで厭わなくなってゆくんだ。

 また近年、ショッピングセンターやシネコンの一施設として市民権を得たとように見えるゲームセンターだけど、『客なんてだまってお金をキャッシュボックスに落としていくのがあたりまえ』『調整担当がやってる業務以外に文句をつける客は仕事を増やす邪魔者だ』という、相手を見下ろした運営姿勢が未だにこの業種の根幹に強く根付いている

 「だいたいの店員は常連を嫌ってるからね。店員同士の話題はほとんど痛い常連の話。勘違いして会釈なんかしてくる馬鹿がよくいるけど、藁いのネタにされるだけだからやめた方がいいよ。」という従業員の本音が明かされたこちらの2ちゃん掲示板の声や、冗談ネタ交じりとはいえこのゲーセン店員のあつかましい発言内容、大々的にメディアに取り上げられたこのニュースなどは、どれも甚だしく象徴的だろう。
 日々同じ店に通うならマナー良く礼儀正しく従業員に接しようとか親睦的に交流しよう、という考えは完全に誤り!人間的に正しいどころか、やけどする危険すらあるのだ。

 中には前向きな調整且つ優良なサービス対応に日々専心する店舗もあるね(非常に少ないけど)。でも、例えピンボールに明るくなくともテストモードで最低限のチェックができるはずなのにそれすらさぼってたり、台の状態が薄々ガタガタなのを知っててわざと放置していた店のスタッフなんかに、もう“前向きな対応”なんて期待できるはずはなく、こちらが誠実に調整を申し出たところで逆上の上噛み付いてくるのは、当然のなりゆきだったんだ。

 だから、“ピンボールに多数の稼動不良を永らく放置しているゲーセンの店員”と対峙する時は、相手を人間と思っちゃダメだよ。
 怒鳴られないと動かない。甘い顔するとどこまでもつけあがる。つまり、犬と同じなんだ。
 分かったかな。ゲームセンターの従業員なんて、犬や豚として扱わなくちゃダメだ。さもないと、貴方はまた噛み付かれて大怪我してしまうよ

 飽くまでこちらが上で、こちらが貴様を遣う立場である!ということを、店員に最初に声をかける時点から身構え、常に威厳と高圧感を保ち、相手側に己の立場を身をもって分からせ、操ることができるよう、努めて心がけて欲しい。
(2008/1/28)