バレンティン５７発の源は故郷キュラソー島の名物・イグアナ料理！

　プロ野球ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手（２９）が１５日、ついに５６号本塁打を放ち、プロ野球新記録を樹立した。フィーバーと並行して注目されるのは、バレ砲の故郷であるオランダ領キュラソー島。第２打席でも５７号を打つなど、アーチを量産し続ける圧倒的パワーの原点は、名物イグアナ料理にあった。

　カリビアンブルーのビーチにパステル色の街並みが映える―。球史に新たな一ページを刻んだバレンティンの故郷は、美しくキュートなリゾート地だ。

　在日オランダ大使館のアリエン・ファンデンベルグ全権公使（４７）は「何度か足を運んでいますが、とってもカラフルでかわいらしい島です。ビーチは美しく、シュノーケリングなどを楽しむとワイキキを思わせます」と明かす。まさに「カリブ海のハワイ」といったところか。

　主都ウィレムスタットの港沿いに立ち並ぶ１７～１８世紀の建造物は１９９７年、世界文化遺産に登録された。「ピンク、イエロー、ブルー…。すごく印象的な光景なんです」

　公使は「小さな島ですが、大きな野球場があるんです」とも話す。ベースボール文化は、米国からキューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコをへて伝来した。９４～９６年にロッテ、ヤクルトで活躍し、今春のＷＢＣで監督としてオランダ代表をベスト４に導いたヘンスリー・ミューレンは島出身。さらに、米メジャーで２冠王に輝いた現楽天のアンドリュー・ジョーンズは「島民的英雄」として知られる。９６年、弱冠１９歳のジョーンズがブレーブスでメジャーデビューし、直後のワールドシリーズで２打席連続本塁打の大活躍を見せると、島の少年の間で野球が爆発的に普及。バレ砲がプロを夢見る契機にもなった。

　さらに公使は衝撃の事実を告白。「名物はイグアナ料理でして、これがおいしいんです」。島では食用のイグアナが養殖され、滋養強壮にいいと珍重されている。味と食感は鶏肉に似ており、香辛料を利かせたスープが有名だという。

　公使の証言をもとに、本紙は新記録達成直前のバレ砲を直撃。「キュラソーではイグアナ料理が名物みたいですね」。すると「Ｉ　ＬＯＶＥ！！」と笑顔の即答が返ってきた。「どのくらい、ＬＯＶＥ？」と畳み掛けると「スッゴイダイスキ！！」と日本語でシャウト。さらに「マイパワー！！」と自らの破壊力の源であると明言した。

　日本にイグアナ料理を出す店がなく、別の好物であるフライドチキンで我慢しているバレ砲は「特にイグアナスープが好きなんだ。とってもおいしいんだよ」と恋しそうな表情を浮かべた。大使館は祝福プランを検討中。バレ砲にとって何よりうれしいプレゼントはイグアナ料理のフルコースかも！？

　◆イグアナ　有鱗（りん）目（は虫類）イグアナ科。主に中南米の熱帯雨林に生息。体長は２メートルにも及ぶ。木の上や水辺を好む。草食性。日本ではペットとして飼育されるケースも多いが、要注意外来生物に指定されている。タレントのタモリはデビュー当時、深夜番組で形態模写を披露し人気を呼んだ。

　◆オランダ領キュラソー島　ベネズエラ北部約６０キロのカリブ海に浮かぶ面積約４５０平方キロメートル（鹿児島県種子島ほど）、人口約１４万人の島。オランダ領アンティルの一部だったが、２０１０年に解体され、単独でオランダの構成国に。パピアメント語という独自の言語を持つ。米マイアミやオランダ・アムステルダムから直行便があり、年間約４０万人の観光客が訪れている。日本からは最短で約２２時間。リキュールの「キュラソー」は島特産のオレンジから造られたことで命名された。

（2013年9月16日06時05分スポーツ報知）