◇秋場所初日
横綱、大関陣は2場所ぶりの初日安泰だった。4場所連続27度目の優勝を狙う横綱白鵬(28)=宮城野=は新小結高安を寄り切りで難なく退け、横綱日馬富士も小結栃煌山を危なげなく寄り切った。昭和以降最速の初土俵から所要3場所で新入幕を果たした遠藤(22)=追手風=は、豊真将に寄り倒された。
「(高安が)平成生まれと言われたら(倒すのは)昭和の私ですから。昭和でしょ!」
立ち合いで鋭く踏み込むと、その瞬間にもろ差し。そのまま、平成生まれ初の三役を一気の寄りで圧倒した。
昭和生まれと平成生まれの違いは何か、と問われると「いろいろ違うでしょうね。食べ物も違うし、環境も違うし、考え方も違う」と白鵬。モンゴル生まれとなれば、さらに違いがあるだろう。
初日で白鵬と対戦する高安は「チャンスがあるかも」と狙いにいったが、そんな隙はどこにもなかった。
「力士たる者、初日の相撲は硬さがある」と白鵬。その条件は高安も同じ。だが、場所前に「横綱、大関になる前は相撲を取ることが楽しみだったけど、今はもう(場所が)来たかと思う」と話していたが、それは横綱という負けられない地位のプレッシャー。
「その中で、前に出るいい相撲を取った。気持ちがいい」と晴れやかな表情を浮かべた。
7年後の東京五輪まで現役を続け、横綱土俵入りを披露することを夢みる。その五輪に本場所の迎え方を例えた。「100%で初日を迎えると、15日間はもたない。オリンピック選手も4年間頑張って、ピークを合わせるのが難しいのと同じ。この2、3年は8割で(初日に)臨んでますね」
白鵬にとって、ピークは上位と対戦する終盤戦だ。そこで100%に持っていく自信がある。
今場所から締め込みのさがりを13本から15本に増やした。「15日間取り切るということ。その結果、全勝できたら最高だけど」。幸先の良いスタートから、その実現を目指す。 (岸本隆)
この記事を印刷する