共に生きる・トブロサルダ:大阪コリアンの目/123 /大阪
毎日新聞 2013年09月13日 地方版
十五代沈先生は、こうも語られた。沈家の発祥地である韓国慶尚北道青松を訪れた際、えも言われぬ居心地のよさを感じ住んでみたくなったと。日本に渡来し十五代。歳月は415年を経ている。にも関わらず、「朝鮮」を慮(おもんばか)る。薩摩は陶器を代表する。ちなみに磁器を代表する有田焼もまた朝鮮人陶工が開いた窯だ。透き通る白薩摩に、緻密繊細なる技法「透し」。深い歴史を背景としても、作品は現代人の心をつかむ。日本の伝統工芸薩摩焼、ぜひ苗代川の沈壽官窯を訪ねたい。<文と写真 金光敏>
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■人物略歴
1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、現在、特定非営利活動法人・コリアNGOセンター事務局長。教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。