「セーブに興味ない。興味があるのは勝つこと」
この試合後、上原は思い切って監督室のドアをノックした。「4点差だろうと5点差だろうと構わない。(イニングの)頭から投げさせてほしい。ボク自身はセーブを挙げることに興味がない。興味があるのは勝つことって伝えたんです」
これ以降、上原の起用法が変わった。起用の幅が広がり、勝利の方程式がバージョンアップしたのだ。上原にとってもチームにとってもターニングポイントになった。もちろん、ベンチは上原への気遣いを欠かさない。「4点差、5点差の時は『行けるか?』って、(ブルペンに確認の内線)電話がかかってくるようになった」という。
両翼(左翼94・5メートル、右翼92メートル)が狭く、打者有利といわれる本拠地フェンウェイ・パークでは、セーフティーリードの基準を変えて、考える必要がある。セーブが付く3点は安全な点差ではない。7月23日のレイズ戦、上原は6―2と4点リードの9回に登板。8月4日のダイヤモンドバックス戦も4―0の9回に、同17日のヤンキース戦は6―1の9回から救援した。7月29日のレイズ戦では1―2とリードされている9回にマウンドに上がり、チームの逆転を待った(試合はそのまま終了)。敵地でも点差に関係なく登板している。
上原が、セーブにこだわらない理由は2つある。一つは、上原が考える、自身の立場であり役割だ。上原は「ボクは、クローザーという立場であると思っていない」と話すと、こう続けた。「(ヤンキースの)リベラとか、セーブ機会じゃないと投げないのが本当のクローザーだと思う。自分の場合は、そういう機会どうこうじゃなくて、勝てるチャンスがあれば投げる」
2つ目は、レンジャーズに在籍していた2012年シーズンに味わった苦い経験、教訓だ。ア・リーグ西地区首位を独走していたレンジャーズは9月に急失速。特に公式戦最後の3連戦で同地区2位だったアスレチックスとの直接対決に3連敗し、最終162試合目で地区優勝を逃した。そして、レンジャーズはオリオールズとのワイルドカードゲームに敗れ、プレーオフ進出を逃した。わずか1勝の重み、たった1敗の怖さを思い知らされたのだ。
それにしても監督室を訪ねて“直談判”とは思い切った行動だが、米国でプレーし、生活しているという環境が、上原を後押しした。「言いたいことは言わないと。ためておいても何も変わらないので。こっちではどれだけすごい選手であろうと、そうでない選手であろうと、みんな言いたいことを言うから。それはいいことやと思う」
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