- [PR]
ライフ
【主張】稼働原発ゼロ 長期化回避へ国は決意を
またもや「原発ゼロ」である。国内の50基中、唯一稼働していた関西電力の大飯原発4号機が、発電を停止して定期検査に入った。
稼働原発ゼロ状態は、昨年5月に北海道電力の泊原発3号機が定期検査で止まった後、7月に大飯原発3号機が再稼働するまでの2カ月間に続く再来である。国家レベルの異常事態としての認識が必要だ。
2年半前の東日本大震災で、定期検査を終えても再稼働ができない原発が増え続け、政権が民主党から変わった後も、その流れを改めることができないまま現在の状況に立ち至った。
福島事故を受けて原発全廃を宣言したドイツでさえ約半数の9基が稼働している。日本は、近隣国からの電力供給を受けられない。ドイツに比べてエネルギー資源も極めて乏しい。原発ゼロ状態はエネルギー安全保障上も非常に危うい状態だ。
今回の原発ゼロは前回より長引くだろう。7月に施行された原発の新規制基準に照らしての安全審査が、四国電力の伊方原発3号機や九州電力の川内原発1、2号機などで始まっているが、原子力規制委員会の承認が得られても、再稼働には地元の同意が必要だ。
原発の長期停止は、さまざまな問題を引き起こす。その一例が、海外に支払われている火力発電の燃料代だ。年間約4兆円は、消費税率1・5%引き上げに相当する巨費である。国富の流出は、日本の成長戦略を脅かす。
原発停止に対する国民の感覚まひもまた危うい。社会の機能を損なう大停電が起きていないのは、各電力会社が懸命に火力発電を続けている結果だが、設備の耐久力も限界に近い。火力に依存した電力供給の綱渡りだ。その綱もいつ切れるか分からない。
火力依存で、二酸化炭素の排出量も増えている。原発事故から3年目に入ってもこのありさまでは、世界の同情も薄れ、批判の声も起き始めよう。
稼働原発ゼロ状態に、一日も早く終止符を打たねばならない。そのためには原子力規制委の意識改革が必要だ。運転しながらの安全確認も可能なはずだ。
それにもまして国の決意が重要だ。安倍晋三首相は、日本における原発の必要性を国民に丁寧に説明すべきである。エネルギーに事欠く国に発展はあり得ない。
- [PR]
- [PR]