慶尚南道昌寧から届いたヤギ汁の肉はDNA鑑定の結果、イヌの肉だった。ヤギの肉もイヌの肉も柔らかいため、これを悪用して質の低いイヌ肉をヤギ汁に入れたのだ。
ブタ肉で作った「ビーフジャーキー」も摘発された。今年5月に食肉専門業者が製造したビーフジャーキー数十袋が証拠物として国立科学捜査研究所に送られてきたケースでは、すべてからブタ肉の成分が検出された。輸入ブタ肉をビーフジャーキーにしたのだ。
最も多く依頼があったのはガンギエイだった。「全羅南道・黒山島沖で獲れたガンギエイだということで高い値段で買ったが、本物の黒山島ガンギエイか確認してほしい」という依頼から、「チリ産ガンギエイを買って食べたが、ガンギエイではなくただのエイのようだ」と警察に通報したケースなど、さまざまな分析依頼があった。全国から証拠物として送られてきたガンギエイのせいで、国立科学捜査研究所にはしばらくの間、発酵したガンギエイのにおいが充満していたという。しかし、DNA鑑定を行った国立科学捜査研究所の回答は「確認不可能」だった。ガンギエイの切り身から採取したDNAと照合する「ガンギエイのサンプルとなるDNA」がなかったからだ。
国立科学捜査研究所は、米国国立生物情報センターがオンラインで提供している種別サンプルDNAを種の確認に使用している。同センターのデータベースにエイのDNAはあるが、ガンギエイのDNAはなかった。チリ産ガンギエイも黒山島沖で獲れるガンギエイもDNA鑑定の結果はすべてよく似たDNAを持つ普通のエイとして判定されてしまうのだ。
このため、国立科学捜査研究所は国立水産科学院から国産ガンギエイのサンプル30点を入手、「国産ガンギエイのサンプルDNA」を確認する作業を進めている。国産ガンギエイと外国産エイのDNAの違いが確認されれば、米国国立生物情報センターに登録することができ、ガンギエイの原産地確認も可能となる。