ところが、ここ数年、状況は変わった。特に香川選手や、長谷部(誠)選手などが日本代表に選ばれるようになって、その凛々しさとスケール感に「これは(長い目で見て)野球界にも影響があるぞ」と危機感を抱くようになった。
新聞などでインタビュー記事を読むと、自分の言葉でしっかりと答えている選手が多い。野球と違って、サッカーは競技国の幅が広いだけに、「世界」を舞台に堂々と戦っている印象が極めて強い。
また、日本代表の試合になるとチケットは即完売。スタジアムは女性や子供たちで満員になるなど、活況を呈していて、正直うらやましい。
一方、野球はここ数年、どのくらい進化できただろうか。子供たちに夢を抱いてもらえるような目立った活躍はできているのか? 胸をはって「野球も進化しているぞ!」と言えるのか?
日本ハムの大谷翔平選手による二刀流などは話題になっているけれど、先般より、統一球が昨年とは(実は)変わっていたという問題で野球界が大きく揺れるなど、ゴタゴタが目立つ。
スポーツ新聞を見れば、試合があったというのに、コミッショナーの人事のほうが記事の扱いが大きい。選手にとってせつない状況が、ここ最近続いてしまっている。
勘違いしないでいただきたいのは、僕はサッカーが嫌いだというわけではない。野球とサッカーで、いいライバル関係を保ちながら、日本という国をスポーツから盛り上げたいと心から願っている。
そのためには当然、野球界もサッカー界のいいところから、多くを学ぶべきではないだろうか。加えて、競技レベルも当然上げていく。やれることは無限にあるのだ。
1970年大阪府生まれ。PL学園高-同志社大-プリンスホテルを経て、95年ヤクルト入団。球界屈指の守備力を誇り、遊撃手で6回、三塁手で3回、ゴールデングラブ賞を受賞。史上40人目の通算2000本安打達成。座右の銘は「球道即人道」。