生活保護:どこ削れば…北海道に引き下げ撤回審査請求へ

毎日新聞 2013年09月15日 10時57分(最終更新 09月15日 11時13分)

 生活保護費の引き下げは不当だとして、北海道内の受給者計1100人が17、20日、道に撤回を申し立てる審査請求を行う。小学3年の長女(8)と幼稚園児の長男(3)を抱えるシングルマザー、須藤英未(えみ)さん(32)=札幌市北区=もその一人。8月の給付分から5890円が減額された。「これ以上どこを削ればいいのか。子育てに関するお金は削りたくない。引き下げは不安だ」と訴える。

 須藤さんは長男を妊娠して仕事を続けられなくなってから、生活保護を受給するようになった。出産後間もなくコンビニエンスストアのレジの仕事を始めたが、長女の急病などで早退や遅刻が多く、十分な収入が得られなかった。現在はNPO職員としての賃金と同居の実母(66)の年金、児童手当などを合わせた額と、生活保護基準(約28万円)の差額を生活保護費として毎月受け取る。

 減額された5890円は1カ月のお米代にあたる金額だ。家計が苦しいことを子どもに知られたくないから、自分と母だけ食費や日用品代を切り詰めて生活してきた。だが最近、長女が経済事情を感じ取ってか、スーパーでお菓子やおもちゃをねだらなくなった。小学校高学年になったら学習塾に行かせたいが、その余裕はない。

 須藤さんの世帯は、2015年度には減額前と比べて月1万8250円減る見込みだ。それに加えて、年末に給付される期末一時扶助や母子加算が年約5万円減る。「貧困のため子どもに進学を遠慮させたくないが、進路の選択肢を狭めるのが一番心配。貧困を子どもに引き継いでしまうのではないか」

 NPO職員のかたわら、審査請求の先頭に立つ須藤さん。「私たちは働きたくなくて受給するのではなく、自立に向け努力している。(引き下げで)最低限の生活を国が保障する理念を壊していいのか。当事者が声をあげ、問いかけたい」

 審査請求に関する問い合わせは、支援団体や弁護士などでつくる「生活保護制度を良くする会」(011・736・1722)。【山下智恵】

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