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【社会】

晴海新交通 五輪で追い風 バス専用レーンで渋滞知らず

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 二〇二〇年東京五輪の選手村が建設される東京・晴海に、地元の中央区が都内初のバス高速輸送システム(BRT)の導入を計画している。五輪大会中は最大一万七千人の選手やコーチが暮らすが、閉会後は民間の分譲・賃貸住宅となり、一帯の人口が急増する見通し。五輪開催決定で計画に拍車がかかりそうだ。 (松村裕子)

 区が想定するのは、二台を連結したバスが専用レーンを走るBRT。渋滞に巻き込まれず、定刻で運行でき、鉄道ほど大掛かりな設備投資も必要ない。

 区は、国や都、学識経験者、地元町会などと計画を検討。有楽町−晴海トリトンスクエア間で、一六年四月の運行開始を目指している。区が国の補助金を受けて信号や停留所などを整備し、民間事業者が運行する。

 みゆき通りと建設中の環状2号を通って、四・二キロを十二分ほどで走るルートが最有力。二百円の均一料金で一日片道二百九十本を運行すれば、一億二千七百万円の黒字が出るとの試算もある。

 晴海地区ではマンションの新築が相次ぎ人口が十年で二千人増加。五輪後はさらに一万人以上が増え、既存の都バスは飽和状態になるとみる。区は、五輪が来なくとも、将来的にBRTは必要との考えで、五輪開催決定はBRT導入の好機。望月秀彦環境政策課長は「この機にぜひ実現したい」と鼻息も荒い。

 一般車両の進入を防いで専用レーンを確保するための警視庁や都との協議、十八億円に上る初期投資の捻出などが課題になる。

 五輪開催計画では、選手村は都有地四十四ヘクタールを予定。うち居住部分は公募した民間事業者が建設する。五輪中は組織委員会が事業者から借り、最大で一万七千人の選手たちが生活。五輪後は事業者が改装してマンションとして分譲、賃貸して、建設費を回収する。

 <バス高速輸送システム(BRT)> BRTは「バス・ラピッド・トランジット」の略。ガードレールなどで一般車両用の道路と区切ったり、高架などで分離したりした専用道路にバスを走らせ、信号や渋滞の影響なく定時運行で大量の乗客を運ぶことができる交通システム。専用高架を走る名古屋ガイドウェイバスや、被災したJR気仙沼線、大船渡線の不通区間の軌道を利用したバスの例がある。

 

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