『喧嘩両成敗の誕生』 清水克行 講談社選書メチエ(2006)
日本人沸点低すぎ。喧嘩両成敗は諍い絶えない日本社会を強制的に慰撫するために生まれた。「喧嘩におよぶ輩、理非を論ぜず、両方ともに死罪に行ふべきなり。(今川分国法)」誰だよ「日本人は穏やかで争いを好まない」とか言ったヤツは!いや、マジで南北朝・室町時代の無法ぶりたまらないっす!室町小説書きたくなってきマス。よく見ると現代のヤクザ社会にそっくりなような。。。とはいえ、自力救済型の中世社会から司法制度が整備される近世への過渡的な法制度という側面もあり、「庶民に法を守らせる」ことがいかに難しいことか実感させられる。
『大飢饉、室町社会を襲う!』 清水克行 吉川弘文館(2008)
室町マジパネぇッス。飢饉が発生すると都市部に人口が流入、今度は疫病が蔓延して路上に死体が溢れかえる。民衆も一方的に抑圧されるのではなく、貴族の没落を見れば襲い掛かって容赦なく掠奪し、借金の帳消しを掲げて徳政一揆を起こす。一揆には武家も加わって商家を襲い、商人は商人で懇意の武家を動員して市街戦を繰り広げる。「従順な日本人」なんて江戸〜明治につくられた虚像だな。
『「城取り」の軍事学』 西股総生 学研(2013)
『戦国の軍隊』の続編。ひたすら城跡を探し回り、設計図や縄張りとにらめっこしながら、実際の城塞設計者たちの意図を考察すると同時に、戦国の城が現実にはどのように使われ、進化していったのかを考え、「山城から平城に進化した」という通説に挑む。全国に数万あると言われる城跡の見方が大きく変わりそう。
『ユーゴ内戦―政治リーダーと民族主義』 月村太郎 東京大学出版会(2006)
一般的にはユーゴ内戦は歴史的な民族意識とナショナリズムの暴走によって引き起こされたと考えられているが、本書はユーゴ各国の指導者に焦点を当て、彼らがいかにナショナリズムを利用し、マスコミも同調して煽り立て、大衆を排外主義に駆り立てていったかを検証している。日本でも橋下・石原氏や安倍氏らに共通の課題を見いだせる。
『モスクワ・ベルリン・東京―外交官の証言』 新井弘一 時事通信社(2000)
1973年の田中訪ソに同行した著者の証言に興味を抱いたが、冷戦構造に染まった安保マフィアの一員が都合の良いことを並び立てただけの代物のようだ
『法窓夜話』穂積陳重 岩波文庫(1980)
大正時代の本だが、日本の民法制度の確立に尽力した著者が、古今東西の法律に関するエピソードを集めたもの。日本の古い法習慣のエピソードが貴重だが、法律用語が翻訳されてゆく過程なども興味深い。
『西郷隆盛と明治維新』 坂野潤治 講談社新書(2013)
西郷を「封建制を打破して議会制度の導入を進めた立役者」として再評価しようという試みだが、200ページの新書では苦しすぎる。西郷好きのあまり「痘痕もエクボ」になってしまっており、ちょっと『日本近代史』と同じ著者とは思えない。。。
「民主社会主義の系譜」 中村勝範 民社党機関誌『革新』に連載
戦前の無産政党の歴史を概観する。小説風の読み物になっているが、戦前期社会主義研究の大家(今ではただの右翼)が書いているだけに内容に深みがあり、読み応えがある。この分野は研究書しかないので全体を把握できる本作は貴重だが、未完に終わった上、出版されていないのは惜しすぎる。
歴史の授業はオブラートで包んで砂糖で極甘な子供
向けのお菓子に過ぎません(中世がヒャッハー全開の
ヤバい時代だなんて教えられませんからね)
そして現在の日本でもユーゴ内戦ばりの純血主義の極右主義者が国民の中にいます(奴らは純粋な日本人意外は「帰化人やチョン、チャンコロはぶち殺せ!」というヤバい連中ばかりです、いつ虐殺をやらかしてもおかしくない)
是非ともリアルな室町大河ドラマをつくってほしいところですが、まぁ視聴率でないでしょうな。
日本の極右は今のところ口ばかりですが、どこまで本気なんですかね。