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放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論

(4/4ページ)
2013/1/17 7:00
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 ヨウ素の放射性同位体で半減期の短い「ヨウ素131」の食物摂取は、子供や若者の甲状腺で吸収されると甲状腺がんを引き起こすリスクがあることで知られているが、これがチェルノブイリ事故が一般市民に及ぼした唯一の重大な放射線による健康被害だ。旧ソ当局が情報を公開し、迅速に行動していれば、この被害は防げたはずだったが、もちろん彼らは一般大衆のことなど大して気にしていなかったのだ。

 日本ではこうしたことは起こらない。半減期がわずか8日のヨウ素131は事故後の数カ月で崩壊してしまい、大量に摂取した例は1人も報告されていない。

日本人は恐怖ではなく真実に基づき行動を

 報告書によると、福島原発では非常事態に対応していた6人の作業員が0.25Sv(25 rem)を超える放射線を浴び、170人が0.1~0.25Sv(10 ~ 25 rem)を被曝した。このうち健康に悪影響が出た者はなく、おそらく今後も影響は出ないだろう。福島原発で亡くなった6人の死因は、がれきに押しつぶされたり、海に流されるといった事故で、放射能とは一切関係なかった。

 確かに0.1Sv (10 rem)を超える放射線の被曝は健康に影響を与え、それは統計的に1Sv (100 rem)に達するまで増加する。ただこの比較的高い線量域についても、十分に大きな母集団でない限り、影響は観察しにくい。それほどの規模の放射能事件、すなわち大勢が0.1~1Sv (10 ~100rem)の放射能を浴びたのは、第二次大戦中の原爆投下だけである。

 放射線の影響が明らかになりはじめるのは、1Sv (100 rem)以上の高線量を急激に浴びたときだが、そうした状況ですら、考え得る他の要素を排除しない限り、放射能を明白な原因と断定することはできない、とUNSCEARは説く。

 こうした見方が放射性廃棄物の処分にどれほど重大な意味を持つかは、別の機会に譲ろう。

 結局のところ、放射能への恐怖ではなく真実にもとづいて行動するように変わらなければ、われわれは日本、ベラルーシ、ウクライナの人々に責務を果たしたことにならないうえ、今後も見当違いのことに時間とカネを費やすことになるだろう。反核運動家や陰謀説が好きな人々は今回の国連の報告書を受け入れないだろうが、彼らはどのみち国連が嫌いなのだ。

by James Conca, Contributor

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