特集 週刊文春 掲載記事
消えた女 消された事件

前原誠司 京都地検に呼ばれた献金在日女性

 三月の大震災発生直前、前原誠司氏は外国人献金問題で外相を辞任した。政治資金規正法は、故意に外国人から寄付を受けることを禁じているが、告発を受けて捜査していた京都地検は十二月二十一日、「献金を受け取ったと認識していたと認められる証拠がない」と不起訴処分にした。

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「もう終わったことやろ。何を聞きにきたんや。アホちゃうか」

 十二月下旬、在日韓国人である木村順子さん(72)が経営する京都市山科区の焼肉店を訪れると、木村さんは、そう毒づきながらも取材に応じてくれた。

「ほんま今年はよう勉強になった。たくさんマスコミが来てな。話聞かせてくれって土下座した記者もいたし、隠し撮りもされたな」

 木村さんは韓国で生まれ、一九四四年に来日。七四年にこの地に焼肉店を創業した。店内はこぎれいで、総勢四十人ほどは入れるであろう、なかなか大きな店だ。前原氏の国交相時代に、大臣室で一緒に撮ったという写真もまだ飾られている。

息子二人も献金

 前原氏は中学二年の時に父を自殺で失い、それを機に家族でこの近くに引っ越してきた。木村さんとはその時からの付き合いだ。

「お母さんに連れられてな。松下政経塾に入るまではしょっちゅう来てた。私が韓国人いうのは、あの子は知ってるよ」

 姿を見せなくなったと思ったら、政治家になっていたという。

「京都府議になったんも知らんかった。国会議員になってから、新党さきがけにいるんやって挨拶に来た。結婚式には呼ばれんかったけど、その後、奥さんを連れてきてな。まだ引き出物は大事に取ってあるわ。国会議員では京都が選挙区の松井孝治(参院議員)や北神圭朗(衆院議員)が来た。民主党代表の時に、私の母親の葬儀に来てくれてな。SPがいて大変やった。息子の結婚式にも出席してくれた」

 家族ぐるみの付き合いで、木村さんが献金しようと思ったのは自然の流れだった。〇五年以降、合計二十五万円、息子二人も一〇年に一万円ずつ献金していた。

「あかんて知ってたら、献金するかいな。京都地検に一回だけ呼ばれて、そういう説明した。献金したことをわざわざあの子に言うこともないし。息子の献金も知らんかった。結婚式に来てもらったお礼に少し寄付しとこか、いう感覚やろ」

 外相を辞任する時には「迷惑かけてごめんなさい」と連絡があり、八月、代表選に立候補した際にも電話がかかってきたという。

「『またマスコミが行くと思いますが、迷惑かけます』いうてな。私は『がんばりやあ』と言うたけど、本音をいえば総理には若い。それに順序がある。先に先輩の野田さんになってもらったらええと思った。だから落ちてよかったんや。総理になるのは五十五歳を過ぎてからや」

 不起訴の発表があった日、前原氏は八ツ場ダム工事再開を阻止すべく総理官邸に乗り込んでいた。だが、政府は工事再開を決め、前原氏のメンツは丸つぶれ。五十五歳まであと六年。“言うだけ番長”の不名誉な称号は、それまでに取れているだろうか。

「週刊文春」編集部

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2012年1月5日・12日 新年特大号
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