他党に先駆けて法案を提出した公明党(1月)は超党派の調整力を発揮、自民・民主との3党協議会で法案の骨子をつくり(5月)、自民党が過半数割れしていた参議院先議で法案を審議。
参院7会派が法案に最終合意の上、「ダイオキシン類対策特別措置法」は参院、衆院を通過し、成立した(7月)。
猛毒ダイオキシン類の発生を未然に防ぐ観点で、厳しい罰則規定も盛り込まれたダイオキシン規制法は、公明党が現場を回り専門家、市民の声を聞きながら未来世代のために真剣になってまとめ上げた画期的な法律だ。
昨年来、金融不安、経済不安、雇用不安など国難ともいうべき未曾有(みぞう)の不況の中、金融関連法の成立などを通じ、公明党は国の安定に欠かせない存在感を増していった。
ダイオキシン規制法案が参院を通過した7月7日夕、小渕首相が公明党の神崎武法代表に会い、公明党に対し、連立政権への参加を要請。公明党は7月24日、東京・杉並公会堂で第2回臨時全国大会を開き、連立政権に参加する歴史的な方針を決定。「国民のため」を基準に、責任政党としてのリーダーシップへ、いばらの道を決断。また基本政策の中に「ごみ・ゼロ」社会へ、循環型経済社会の構造変革、「循環経済・廃棄物法」の制定を盛り込んだ。
10月4日、自民、自由、公明の3党は「三党政権合意書」を確認、署名。公明党の提唱を受けて、2000年度を「循環型社会元年」とし、法制定、予算、税制、金融面において環境対策に重点的に配慮することが明文化された。翌日、連立内閣がスタート。
福本は、大量消費・大量廃棄の社会を転換し「ごみ・ゼロ」社会をつくるための法案制定に挑む。公明党は、与党のプロジェクトチームの中で、「循環型社会形成推進法」(仮称)の公明党案を12月に発表。2000年の「循環型社会元年」を前に、福本は、自民党の政治姿勢を変える勢いで闘争を開始した。
<1999年1月27日>
公明党ダイオキシン法案を提出
他党にも呼びかけ、今国会成立めざす
公明党は、浜四津敏子代表代行、鶴岡洋副代表、山下栄一、福本潤一、荒木清寛、高野博師、加藤修一の各参院議員が堀川久士参院事務総長と会い、党独自でまとめた「ダイオキシン類対策特別措置法案」を参院に提出した。
<1999年2月20日>
ダイオキシンから生命守ろう
公明党のダイオキシン対策シンポジウム(高知市)
<パネリスト>
高知大学学長/立川涼氏、高知市長/松尾徹人氏、党ダイオキシン対策本部長・衆院議員/大野由利子さん、同対策本部事務局長・参院議員/福本潤一、高知市議/岡部忠孝氏(順不同)
<コーディネーター>前衆院議員/石田祝稔氏
「ダイオキシンから生命を守るために」をテーマに、公明党ダイオキシン対策本部と同高知県本部共催のダイオキシン対策シンポジウムが、高知市内で開かれた。
<1999年3月11日>
ダイオキシン規制法で政府の見解ただす
福本は、参院国土環境委員会で、ダイオキシン類対策特別措置法案及び三党協議会についての政府の見解をただした。真鍋環境庁長官は「三党協議による成案に期待し、閣法よりも議員立法が望ましい」と答弁した。
<1999年3月12日>
ダイオキシン談合調査徹底促す
国土・環境委で福本 参院予算委が委嘱審査
国土・環境委員会で福本潤一氏は、一九九八年度補正予算でダイオキシンと環境ホルモンについて千百五十億円が計上されたことを評価した上で、予算を有効に使い、有害物質処理の新技術が有効に利用されるようにとの観点から、ダイオキシンの検査料金とごみ処理場建設のそれぞれについての談合疑惑について、公正
<1999年3月16日>
福本 小型焼却炉のダイオキシン対策について質問
参院国土・環境委員会
<1999年4月13日>
福本 政府のダイオキシン対策推進基本指針について質問
参院国土環境委員会
同指針のダイオキシンの九割削減目標は、今後発生するダイオキシンについてのみであるとし、公明党の法案に基づく対策や発生源調査の重要性を主張した。
<1999年4月、5月>
ダイオキシン法案 取りまとめ作業大詰め
参院の公明、自民、民主3党 連休明けにも大綱作成へ
参院段階で進められている公明、自民、民主三党のダイオキシン規制法案共同提出に向けての取りまとめ作業が大詰めを迎えている。
去る四月二十一日の第七回協議では、最大の懸案だったダイオキシンの体重一キログラム当たり耐容一日摂取量(TDI=一生涯、毎日摂取しても健康に影響しないとされる量)を、四ピコグラム(ピコは一兆分の一)以下の範囲で政令で定めることで大筋で一致し、今国会中の法案提出、成立に向けて大きく前進した。
ダイオキシン規制法への取り組みは、早くからダイオキシン問題に粘り強く取り組んできた公明党が、他党に先駆けて今年一月、「ダイオキシン類対策特別措置法案」を参院に独自で提出したことが契機となって、法制化を目指す動きが本格化。民主党、自民党との三党でダイオキシン規制法の今国会成立を目指し、参院に法案を共同提出することで合意し、三月から共同提案に向けた実務者協議を続けてきた。一部農林、通産の族議員や一部省庁に法制化反対の動きがある中、公明党は与野党を巻き込んだ形で法制化への合意づくりに一貫して先導役を果たしてきた。
公明党の木庭健太郎参院国会対策委員長は「法案大綱の取りまとめ作業を進め、その上で他党にも呼び掛け、超党派の総意として法案の成立を目指していきたい」と決意を述べている。
<1999年5月14日>
ダイオキシン対策 「総量規制」盛り込む
参院の公明、自民、民主3党 法案骨子に合意
国が環境基準(大気、水質、土壌)設定 違反は直ちに罰則適用 法制化へ大きく前進
ダイオキシン規制法案を今国会に共同提出するため、参院で協議を続けてきた公明、自民、民主の三党は十四日午前、参院議員会館で十一回目の実務者協議を行い、「ダイオキシン類対策特別措置法案」(仮称)の骨子について合意した。
「ダイオキシン類対策特別措置法案」(骨子)
公明、自民、民主三党が十四日の実務者協議で合意した「ダイオキシン類対策特別措置法案(仮称)」の骨子は次の通り。
<1>耐容1日摂取量
耐容1日摂取量は4ピコグラム以下で政令で定める。
<2>環境基準
ダイオキシンに関する大気、水質、土壌の環境基準を定める。
<3>排出ガスおよび排出水に関する規制
(1)排出基準
国はダイオキシン類を排出する特定施設について、排出ガス、排出水に関する排出基準を定める。
(2)総量規制基準および総量削減計画
個別施設毎の排出基準では、大気の環境基準を守れない地域については、知事は各事業場について総量削減計画を作成し、総量規制基準を定める。
(3)改善命令等
知事は、施設設置者に対し、排出基準または総量規制基準を守らないおそれがある時、施設の改善命令等を出すことができる。
(4)罰則
排出基準違反、改善命令違反に対し罰則をかける(法施行一年間の猶予期間を設定)。
<4>廃棄物焼却炉に関する焼却灰およびばいじん等の処理
焼却灰およびばいじん中のダイオキシン濃度基準を定めるとともに、最終処分場における維持管理基準を定める。
<5>土壌に関する措置
知事は土壌に関する基準を満たさない地域を対策地域として指定し、対策計画を定める。公害防止事業費事業者負担法の適用については、汚染の因果関係が科学的知見に基づいて明確な場合になされる。
<6>国の計画
国はダイオキシン類の量の削減計画を作成する。
<7>汚染状況に関する調査・測定義務と結果の公表
(1) 都道府県知事は汚染状況を調査測定する。
(2) 施設設置者は汚染状況を測定し、その結果を知事に報告する。
<8>住民参加
住民は、知事が総量削減地域の指定の申し出を内閣総理大臣に行うよう知事に対し申し出ることができる。総量削減計画、土壌汚染対策計画へ公聴会を開き、住民の意見を聞かなければならない。
<9>国および自治体は食品に関し、ダイオキシン汚染の状況について調査することができる。
<10>小規模施設および、施設によらない廃棄物の焼却(野焼き)についても規制の在り方を検討し、必要な措置を講ずる。
<11>施行期日
公布の日から6カ月以内の政令で定める日から施行する。
<1999年5月26日>
福本 ダイオキシン規制法に政府の見解求める
参院本会議
福本が猛毒物質ダイオキシンに関する公明、自民、民主三党による規制法案作成に対する政府の見解を求めたのに対し、小渕恵三首相は「この重要な問題について政党間で話し合いが進められていることは、高く評価すべきもの」と述べた。
<1999年6月3日>
ダイオキシン規制法案で最終合意
参院の公明、自民、民主3党 全党に呼び掛け早期提出へ
ダイオキシン規制法案を今国会に提出するため協議を続けてきた参院の公明、自民、民主三党の実務者と国会対策委員長は、国会内で会合を開き、三党の実務者レベルで合意している法案骨子の取り扱いを協議した結果、「ダイオキシン類対策特別措置法案(仮称)」の最終案について合意。これを受けて、三党は今国会中の成立に向けて来週中にも全党に参加を呼び掛け、超党派の議員立法で早期に法案を提出することを確認した。これには公明党から山下栄一、福本潤一の両氏と、木庭健太郎参院国対委員長が出席した。
<1999年6月9日>
ダイオキシン対策 法案の成立に全力
緊急集会で福本 予算増額など 公明の取り組みを強調
福本は、東京・千代田区の主婦会館で開かれた「ダイオキシン対策を問う緊急集会」(主婦連合会など消費者団体主催)に出席し、あいさつした。
この中で福本は「公明党は一九九八年にダイオキシン対策本部を設置し、緊急提言、現地調査などを活発に行い、ダイオキシン対策予算を大幅に増加させてきた」と力説した。
また、福本は「公明党は独自に、ダイオキシンの耐容一日摂取量を厳しい基準に定めたり、大気、水質、土壌の環境基準を具体的に盛り込んだ『ダイオキシン類対策特別措置法案』を参議院に提出した」と強調。
<1999年7月5日>
ダイオキシン法案 今国会中に成立へ
参院7会派が法案に最終合意 抜本解決へ画期的内容
1日の摂取量盛り込む 公明が一貫して主導
参院の公明、自民、民主、自由、共産、社民、参議院の会の七会派は、国会内で国会対策委員長会談を開き、ダイオキシンを規制するための法案の取り扱いを協議した結果、公明、自民、民主三党で取りまとめた「ダイオキシン類対策特別措置法案」(仮称)の内容で合意。六日の参院国土・環境委員会で同法案を委員長提案として提出し、採決することを確認した。同法案は七日の本会議で可決され衆院に送付、今国会で成立する見通しとなった。国対委員長会談には公明党から木庭健太郎国対委員長が出席した。
<1999年7月6日>
ダイオキシン法案可決
参院国土・環境委
参院国土・環境委員会は六日、委員長提案のダイオキシン類対策特別措置法案を採決し、全会一致で可決した。七日の本会議で可決され衆院に送付、今国会で成立する見通しとなった。
<1999年7月7日>
ダイオキシン法案を可決 参院通過
今国会成立へ 国が環境基準(大気、水質、土壌)設定
一貫して法制化を主導した 公明党の大きな成果
参院は本会議を開き、ダイオキシン類対策特別措置法案を全会一致で可決し、衆院に送付した。衆院の審議を経て今国会で成立する見通しで、成立後、半年以内に施行される。
ダイオキシン類対策特別措置法案の要旨
【目的】この法律はダイオキシン類が人の生命、健康に重大な影響を与える物質であることにかんがみ、環境汚染の防止などのため、必要な規制、措置を定め、国民の健康保護を図る。
【耐容一日摂取量】耐容一日摂取量は四ピコグラム以下で、政令で定める。
【環境基準】国はダイオキシン類に関する大気、水質、土壌の環境基準を定める。
【排出規制】ダイオキシン類の排出基準は排出ガス、排水に含まれるダイオキシン類に対する技術水準を勘案し、総理府令で定める。
知事は大気の環境基準だけでは基準を守れない地域については、総量削減計画を作成し、総量規制基準を定める。
知事は施設設置者に対し、排出基準などが守られない恐れがある場合、施設の改善命令を出すことができる。
排出の制限、改善命令などに違反した者に罰則を設ける。改善命令違反には一年以下の懲役または百万円以下の罰金。
【汚染状況調査】知事は汚染状況を調査測定し、結果を公表する。
【国の計画】国はダイオキシン類の量の削減計画を作成する。
【住民参加】住民は知事に対し、総量削減地域の指定を内閣総理大臣に申し出るよう求めることができる。住民は総量削減計画などの策定で、公聴会で意見を述べることができる。
【施行期日】公布の日から六カ月以内に政令で定める。
<1999年7月9日>
ダイオキシン規制法案 12日成立へ
衆院環境委、全会一致で可決
抜本対策へ画期的内容 総量規制など盛り込む 公明が一貫して先導
ダイオキシンの排出削減を目的とする「ダイオキシン類対策特別措置法案」は、衆院環境委員会で全会一致で可決された。先に参院を通過しているため、十二日の衆院本会議で可決、成立する見込み。政府は、成立後、半年以内とされる施行までに、大気や水などの環境基準や、廃棄物焼却施設をはじめとする発生源への規制強化策などをまとめる方針。
<1999年7月12日>
ダイオキシン規制法が成立
「生命を守る」公明の大きな成果 環境基準設定や総量規制 来年1月施行
浜四津代行らが街頭で報告「皆様との約束を実現」
衆院は、本会議を開き、ダイオキシン汚染の抜本的解決を可能にする画期的内容を盛り込んだダイオキシン類対策特別措置法が全会一致で可決、成立した。
これを受けて公明党は同日夕、浜四津敏子代表代行らが都内で街頭演説、ダイオキシン類対策特別措置法の成立を国民に報告した。
浜四津代表代行は「国民の皆さまがダイオキシンに抱いている大きな不安を、公明党はいち早くキャッチし、昨年二月に対策本部を設置。以来、調査、提言を重ね、本日の規制法成立にこぎつけた」と強調。また、豊かさ、便利さを追求した物質文明を支えてきた科学物質に、実は人類の未来をも奪うほどの毒性があったことを指摘し、「科学技術は本来、生命を守るため、環境を守るために使うべきであり、規制法成立を契機に、こうした価値観や意識の転換を図っていきたい」と強調した。
大野さんは、公明党が真っ先に議員立法で法案を提出し、成立に尽力してきたことを力説し、山下栄一参院議員は、法成立に至るまでの苦労話や、規制法に盛り込まれた厳しい規制内容や罰則などを紹介した。
街頭演説には、福本潤一、加藤修一、高野博師、但馬久美の各参院議員が参加した。
<1999年7月13日>
人間主義の政治の成果
党対策本部 ダイオキシン法成立を受け今後の取組みを協議
公明党ダイオキシン対策本部(大野由利子本部長=衆院議員)は、参院議員会館内で会合を開き、公明党の大きな成果であるダイオキシン類対策特別措置法の成立を受けて、今後の課題や活動の在り方などについて協議した。これには山下栄一、福本潤一、加藤修一、但馬久美の各参院議員、田端正広、西博義、池坊保子の各衆院議員、石井義修都議会公明党幹事長が出席した。
<1999年8月11日>
市民グループが厚生省、環境庁に公開質問
ダイオキシン類の血中濃度で
国が行ったダイオキシン類の血液中濃度の測定値が疑わしいとして、埼玉県所沢市、茨城県竜ケ崎市などの市民グループの代表らが十一日午後、参院議員会館で、厚生省、環境庁に対しそれぞれ公開質問を行った。参院公明党の加藤修一、高野博師、福本潤一の三氏が同席した。
<1999年8月18日>
焼却炉談合疑惑
公取委調査を後押し 福本 参院委での質問通し
自治体のごみ焼却炉の入札をめぐる談合疑惑で、今月十三日に、大手プラントメーカー五社が、公正取引委員会から独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除勧告を受けたが、この談合疑惑について、公明党の福本潤一参院議員は「環境を食い物にしてはいけない」と訴え、参院国土・環境委員会で公取委による徹底した調査を行うよう求めていた。
昨年九月二十九日の同委員会で福本は「二十数年前から談合が繰り返されてきた疑いが強い」として、「ごみ焼却炉の建設、市場が活性化するのはいいが、談合疑惑で公取委がメスを入れるという事態に、政府としてどう対応するのか」と政府の対応を求めるとともに、今年三月十二日の同委員会で「大手メーカーの談合が進むと、ベンチャー企業などの参入が難しい」とし、談合疑惑に対してさらに踏み込んだ調査を進めるよう訴えた。
<1999年10月27日>
ダイオキシン対策法施行準備の状況聞く
党対策拡大会議 環境庁、厚生省から
ダイオキシンの発生を規制するダイオキシン類対策特別措置法の来年一月施行に向け、政省令の整備など、さまざまな準備が進んでいるなかで、公明党のダイオキシン対策本部(大野由利子本部長=衆院議員)は、参院議員会館内でダイオキシン対策拡大会議を開き、環境庁、厚生省の担当職員から、準備状況を聞いた。
これには福本潤一同本部事務局長(参院議員)のほか、近江巳記夫衆院議員、山下栄一、加藤修一、高野博師の各参院議員が出席した。
席上、環境庁、厚生省側がそれぞれ、大気、水質、土壌などの汚染対策の推進や廃棄物処理施設整備にかかわる自治体への財政支援などについて、政省令の整備や予算案作成の現状について説明。これに対し公明党側から、環境基準値の設定について「徹底した調査を推進し、実効性ある厳しい基準値を示すべきだ」などの意見が出された。
<1999年11月6、7日>
EMフェスタ'99を開催
沖縄 福本が出席 ダイオキシン対策で討議
環境や農業など幅広い分野での活用が注目されているEM(有用微生物群)の研究成果を一堂に集めた「EMフェスタ'99」(同実行委員会主催、沖縄県など後援)が六、七の両日、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで行われ、公明党の福本潤一参院議員(農学博士、党ダイオキシン対策本部事務局長)がパネルディスカッションのパネリストとして出席した。
パネルディスカッションでは、福本のほか、EM研究の第一人者である琉球大学農学部の比嘉照夫教授、埼玉県和光市の田中茂市長、EM研究機構の笹原嘉純特別研究員の四氏が、「EMによるダイオキシン抑制システム」をテーマに討論を繰り広げた。
この中で福本は、ダイオキシン類特別措置法が公明党の主導によって成立した経緯や同措置法の特徴などについて述べるとともに、「一千百五十億円の対策費の予算化に伴い焼却炉の建て替えが進む一方で、自治体レベルでは、文明行動を根底から変える新技術としてEMが注目されている」との認識を示した。
EM研究機構の笹原特別研究員は、沖縄県内二カ所の清掃処理施設で行ったEM資材処理実験によって九九・九%のダイオキシン抑制率が実証されたとした上で、EM導入の効果について(1)コストが抑えられる(2)設備の耐久性が増す――などを指摘。EMの導入を検討している和光市の田中市長は、「焼却炉の建て替えは、財政上大きな負担になる」として、EM導入に対する政府の助成を求めた。
これらに対し福本は、「政府は、新しい技術の導入には慎重だが、実際にEMがダイオキシンを分解するという調査結果がある。与党三党は、来年を『循環型社会元年』と位置づけ、『(仮称)循環型社会法』の制定を目指しているが、こうした流れが、新しい試みを取り入れるきっかけになればと考えている」と強調。
比嘉教授は、「ダイオキシンの問題は、われわれの環境に対する認識を根本から問い直す問題だ」と語った。
同フェスタでは、EMを活用した研究事例の報告やパネル展示、関連製品の即売なども行われ、多くの県民が参加。EMに対する関心の高さをうかがわせた。
<1999年11月9日>
紙ごみ・ゼロ実現へ
最新のリサイクルシステムを視察 党循環社会プロジェクト
公明党・改革クラブの政策審議会に設置された循環社会プロジェクト・チーム(大野由利子委員長=衆院議員)は九日、株式会社明光商会(東京都千代田区、高木禮二社長)を訪れ、最新鋭のシュレッダーを活用した紙のリサイクルシステムを視察した。日笠勝之政審会長代行(参院議員)と田端正広、漆原良夫、並木正芳(改革クラブ)の各衆院議員、弘友和夫参院議員が参加した。
同社は、オフィスの文書類や磁気(じき)テープのついた切符などを焼却せずに裁断・粉砕(ふんさい)して再資源化、再利用する「MSリサイクルシステム」を考案、地球温暖化防止対策の推進に貢献したとして、昨年末に環境庁の地球温暖化防止活動大臣表彰を受賞している。一行は、高木社長や同システムの責任者の高木英治常務取締役らの案内で、感熱紙やカーボン紙など、これまで再生が難しいとされていた紙くずを選別することなく、シュレッダーで綿状に裁断して再生利用する工程を視察。同システムの活用で、年間約四万トンの裁断くずを回収し、約八千万ロールのトイレットペーパーが製造されており、東京都庁をはじめ自治体や企業などが、"紙ごみ・ゼロ"を実現していることが紹介された。
<1999年11月12日>
「ごみ・ゼロ」社会実現めざす
与党のプロジェクトチームが決定
循環型社会法案を提出へ
自民、自由、公明・改革クラブ三党派の「循環型社会の構築に関するプロジェクトチーム」の初会合が、衆院第一議員会館で開かれ、次期通常国会に「循環型社会基本法案(仮称)」を提出するため検討を進めることを決めた。年内には、その法案の骨格を固める方針も確認した。
この日の会合では、ダイオキシンなど有害物質の発生や地球温暖化、ごみ処分場不足など、深刻化する環境汚染を解決するためには、廃棄物問題全般にわたる基本理念や企業、行政の役割分担などを定める法律制定の必要があるとの認識で一致。現在の廃棄物処理法や資源リサイクル法に加え、循環型社会基本法制定を目指すことになった。
同プロジェクトチームは、自民、自由、公明・改革クラブの三党連立の政策合意に、公明党の主張が実り、「二〇〇〇年を循環型社会元年とする」と盛り込まれたのを受けて発足した。公明党は、「ごみ・ゼロ」社会の実現を目指し、大量生産、大量消費型の社会から、ごみの発生を抑制し、資源を有効に再利用していく「循環型社会」への転換が必要不可欠と提唱している。
このほか会合では、今後、毎週金曜日に定例の会合を開き、座長は各党が持ち回りで担当することや事務局の体制などについて取り決めたほか、有識者や関係団体などを招いての勉強会を開催することが了承された。同会合には公明党・改革クラブの田端正広、福本潤一、自民党の山本公一、石井道子、自由党の武山百合子の各氏が出席した。
<1999年11月19日>
枠組み、理念を規定
循環型社会法案で合意 与党プロジェクト
自民、自由、公明党・改革クラブ三党派の「循環型社会の構築に関するプロジェクトチーム」の第二回会合が、衆院第一議員会館で開かれ、来年の次期通常国会への提出を目指している循環型社会法案(仮称)の性格について、循環型社会を形成する上での枠組み、土台となる基本理念を規定することで合意した。
会合では、同法案作成に向けての基本的な考え方について論議。ごみの発生を抑制し、資源を有効に活用する循環型社会へと転換するため、現在の廃棄物処理法や家電リサイクル法などの個別法とは別に、「循環型社会の大きな枠組みを規定する、基本理念を中心に置いた法律に」との考えで一致。各党内の調整や関係団体、企業からのヒアリングを経て年内に法案の骨格を固めることを確認した。
公明党はさらに、(1)生存基盤である地球環境の保全(2)環境効率の良い健全な経済発展――を目的とし、国や地方自治体、企業、国民それぞれの責務を明確化した上で、「七、八年程度の期限を定めたアクションプログラム(行動計画)を盛り込むべき」と主張した。
同会合には、公明党・改革クラブの田端正広、福本潤一の両氏らが参加した。
<1999年11月26日>
各省庁の施策検討へ
与党循環型社会プロジェクト 学識経験者による勉強会も
自民、自由、公明・改革クラブ三党派の「循環型社会の構築に関するプロジェクトチーム」の第三回会合が、衆院第一議員会館で開かれた。
会合では、廃棄物リサイクルの枠組みを固めるための法整備に向けた関係省庁連絡会議が二十五日に発足したことから、各省庁が推進、検討している循環型社会構築に関連する施策や予算、組織、法案について調査・研究することや循環型社会の基本的な考え方を一致させるため、学識経験者を招いての勉強会を行うことで合意した。
同プロジェクトは、三党連立政権合意の中に、「来年度を『循環型社会元年』と位置づけ、基本的枠組みとしての法制定を図る」ことが盛り込まれたのを受けて設置され、年内にも循環型社会法(仮称)の骨格を固める方針で検討を重ねている。この日の会合には、公明党・改革クラブの田端正広、福本潤一、自民党の山本公一、石井道子、自由党の米津等史の各氏が参加した。
<1999年12月3日>
公明、循環型社会法案で提言
与党プロジェクト
自民、自由、公明党・改革クラブ三党派の「循環型社会の構築に関するプロジェクトチーム」の第四回会合が三日、衆院第一議員会館内で開かれた。公明党・改革クラブから田端正広、高野博師の両氏が参加した。
会合の中で田端氏は、「循環型社会法案」(仮称)について、(1)地球環境の保全と環境効率の良い経済発展を両立させるとの基本理念を規定する(2)自然エネルギーの活用や製造者・排出者責任の徹底などの方針を明らかにする(3)個別の施策は、この法律に従って見直すか新たに構築する――とすべきであると強調。さらに、具体的な目標に対する八〜十年程度の長期的な行動計画を盛り込むことなどを提言した。
<1999年12月10日>
公明 循環型社会法案を発表
製造・事業者の責任を明確化
2003年までに推進計画決定
「ごみ・ゼロ」社会の実現を目指す公明党は、自民、自由、公明党・改革クラブ三党派の「循環型社会の構築に関するプロジェクトチーム」の第五回会合で、資源を有効に再利用していく循環型社会構築に向けた具体的な推進計画を盛り込んだ「循環型社会形成推進法」(仮称)の公明党案を発表した。田端正広、福本潤一の両氏が内容を説明した。
同案では、廃棄物を減らして地球環境の保全を図るとともに、資源の再利用で環境効率の良い経済発展を推進する循環型社会の形成を推進することを基本理念とし、国や地方公共団体、事業者、国民の責務を規定している。
具体的には、不用物の排出抑制や中古品市場の発展・活性化、不用物を再利用(リサイクル)する際の無害化処理などの推進をうたっているほか、特に(1)製造事業者が製品設計の段階で、使用後において可能な限り不用物が排出されないようにする(2)不用物を排出する事業者がリサイクルや無害化処理を図る(3)不用物によって住民の健康や環境汚染が生じた場合、排出した事業者が被害の補償や原状回復の費用を負担する――などの責任を負うことを求めている。
その上で、二〇〇三年までに、廃棄物の排出削減やリサイクル、廃棄物処理の費用助成の目標や財政措置などを定めた推進計画を閣議決定するなどのタイムスケジュールを明示。さらに、内閣府(二〇〇一年一月に設置)に学識経験者らからなる第三者機関の循環型社会形成推進委員会を設置し、計画策定のための具体的な指針を首相に勧告するほか、計画の進ちょく状況を監視し、二〇〇八年までに目標を達成することとしている。
なお、同会合では、自民党から、廃棄物の削減、リサイクル推進に限定した法律を制定する考えが表明された。今後、同プロジェクトでは、各党案について議論を重ね、来年の通常国会での法制定を目指していく。
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