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【愛知】一宮市役所本庁舎の天井裏に大量石綿 昨春判明
新庁舎建設に伴い解体される一宮市役所本庁舎の天井裏で、大量のアスベスト(石綿)が見つかった。調査した市建設部は、天井裏は密閉されているため、職員や市民のいる空間に影響はないと説明している。ただ、一年半前の調査で判明していながら公表していなかったことを問題視する声も出ている。 アスベストが見つかったのは、本庁舎五〜十階の天井裏。断熱効果のため、壁面などに使われた吹き付け剤に含まれていた。 吹き付け剤に占めるアスベストは重量比で29%あり、現在の国の規制基準0・1%を大きく上回る。一〜四階の天井裏は吹き付け剤が使われていなかった。 市建設部によると、五〜十階は国の規制ができる前の昭和四十年代に増築。天井裏には建物の梁(はり)や排気管などがあり、「通常は人が立ち入らない」と説明する。 解体工事の設計をした二〇一〇年ごろ、市が天井裏も含めてアスベストの有無を調べ、この時は目視の確認で「アスベストはない」と判断していた。 一四年五月からの庁舎解体を前に昨年四月に市が再び調査したところ、天井裏の吹き付け剤の分析でアスベスト使用が分かった。 このため、市側は除去費九千二百万円を庁舎建設の契約金額に追加する議案を市議会九月定例会に追加上程、最終日に採決される。十一日の市議会企画総務委員会でこの問題を質問した細谷正希市議に、建設部の担当者は「調査でいったんアスベストがないと判断したことについてはおわびする」と陳謝した。 一方、建設部は取材に、公表しなかったのは「無用な不安をあおるから」と説明。業務空間への飛散の有無も「人のいる場所とは隔離され、目視でアスベストも飛散していなかった」との理由から今後も調べない方針。 市によると、これまでに庁舎内でアスベストによる健康被害は把握されていない。 アスベスト問題をめぐっては、市が〇五年度に公共施設全体を調査したが、当時、庁舎の天井裏は対象外にしていた。 市職員の労働組合は「危険はないとのことだが、分かった時に知らせてほしかった」と市の対応を疑問視。細谷市議は「命や健康に関わること。公表せず、調査で安全性を確かめない姿勢はおかしい」と主張している。 (安福晋一郎) <アスベスト(石綿)> 繊維状の鉱物。断熱性や耐火性に優れ、昭和40年代以降、建設資材や工業製品で大量に使われた。しかし、空気中に飛散した繊維が人の肺に入ると、中皮腫や肺がんを引き起こすことが判明。国は1975年に建材の含有量(重量比)5%超の建材を規制。2006年には0・1%超に引き下げた。ただ、年月を経て発症するため、現在も各地でアスベストによる健康被害の訴訟が相次いでいる。 PR情報
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