シリア:核疑惑も再燃? 米が調査要求…IAEA理事会
毎日新聞 2013年09月14日 20時51分
【ウィーン樋口直樹】化学兵器の廃棄が喫緊の課題になっているシリアに対し、国際原子力機関(IAEA)の加盟国から核関連活動の透明性などを求める声が再び強まっている。内戦下で未申告の核物質がテロ組織などに流出する可能性も指摘されており、化学兵器だけでなく核関連活動の扱いも今後の焦点になりそうだ。
IAEAは、2007年9月にイスラエル軍に空爆された東部デリゾールの施設について「原子炉だった可能性が極めて高い」と判断。首都ダマスカス東部マルジスルタン▽中部マシヤフ▽同イスカンダリヤの3施設が、原子炉とみられる施設と「機能的に関連していた」とみる。
IAEAによると、08年6月にデリゾールで行われた現地調査で未申告の天然ウラン粒子が検出されたのを最後に、シリアはこれら核関連疑惑施設に関する実質的な情報提供を行っていない。
12日のIAEA理事会では、マクマナス米大使がシリアに対し、疑惑施設の現地調査や関連人物への面接などを要求。「理事会はさらなる行動を準備すべきだ」と述べ、11年6月の国連安保理付託決議に続き、新決議も辞さない考えを示した。
米シンクタンク「科学・国際安全保障研究所」(ISIS)によると、疑惑施設にはテロ組織や核の闇市場に流出する恐れのあるウランなどが残されている可能性がある。空爆時にデリゾールにあったとみられる大量の核燃料もどこに保管されているか分からないという。