【ジュネーブ=原克彦】厳格な守秘義務で知られるスイスの銀行が、顧客情報を米当局に提供するようになる。スイス政府は29日、米国人顧客の隠し資産に関する口座情報の提供に関して、米司法省と合意した。スイスの銀行は顧客情報を提供し一定の罰金を払えば、脱税ほう助罪で米当局に起訴されることを免れ、厳しい刑罰を回避できる。両国は脱税資産の情報提供を巡って激しい攻防を繰り広げていたが、決着に向かう見通しだ。
スイスは銀行法で、国外の捜査当局を含む第三者への顧客情報の開示を禁じている。このため、銀行が脱税ほう助容疑で捜査を受けても、司法取引に応じて当局に協力することはできなかった。
米当局は金融危機の後、スイスの銀行にある脱税口座の追及を強化。今年1月には、米当局に脱税ほう助を認めたスイス最古のプライベートバンクが、巨額の罰金を科されたため廃業に追い込まれた。
スイス政府は5月、捜査を受けた銀行が米当局に情報を提供することが可能になる法案を発表した。しかしスイス議会は、司法取引に応じても破綻に至るような巨額な罰金を科される可能性があるとして、同法案を廃案にした。
このためスイス政府は、現行法の枠組みで米国の要求に応じることが可能な仕組み作りを進めていた。米司法省によると、スイスの銀行が脱税ほう助を認めた際に払う罰金は、隠し資産の口座が設けられた時期によって、隠し資産額の20~50%まで変わる。
今回の合意により、米当局もスイスの銀行の脱税ほう助に関する証拠を個別に収集する労力を省ける。ただ、すでに脱税ほう助で捜査を受けた大手クレディ・スイスなど14行には合意を適用せず、新制度を利用できる銀行の大半は中堅以下の金融機関だ。
米司法省は2009年以降、国外の資産隠しや脱税の容疑で、30人以上の銀行関係者と68人の米国人顧客を起訴したという。特に、顧客情報を厳格に守ることで知られるスイスに強硬姿勢で臨み、米国民に海外への資産逃避を断念させる狙いがあるとみられる。
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