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大日本水産会
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大水ニュースレター
第637号

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永持理研ビタミン名誉会長が進出促す

大水が主催する『中国進出基本戦略特別セミナー』が2月10日に大会議室で開催され、業界一の中国通である理研ビタミン(株)名誉会長、永持孝之進氏が講演を行った。開会に際し中須勇雄会長は、「今日は中国に対して実践面で最も経験ある永持さんに話していただけるということで、中国に関心がある方には大変役立つことと思う」と述べ、永持氏は「大水の賀詞交換で中須会長が挨拶の中で日本の水産物の積極的な輸出マインドの話をしたが全く同感です」とし、中国進出の攻略について講演に入った。講演概要は以下の通り。

私が初めて中国を訪問したのは1992年で、93年には青島の国営工場を買収、94年には大連に理研の子会社を設立し4工場持っている。日本の10倍の人口、20倍の土地の中国に日本の経営者はもっと関心をもってほしい。中国との貿易は10年間で10倍になり、2008年の北京オリンピック開催と2010年の上海万国博覧会開催を控え、経済成長は補償されている。中国政府は2020年の全国民の小康社会を目標に掲げており、あと15年は7〜8%の経済成長を持続する決意だ。

日本国民の中国に対し食わず嫌いのところがあり、中国についての勉強が足りない。人口13億の6割は農民籍で、今後も安い労働力がなくなることはない。農民は20年経っても賃金は上がっていないし、食品加工業が進出したのはこれが理由だ。今までは安い農産品・労働力だったが、一部の高所得者層を対象に「中国に売ろう」という環境もあり、日本からどういう風に進出するかを考える必要がある。中国は外資導入が至上命令で「第10次5ヵ年計画」の筆頭に「外国企業の導入政策の推進」をあげている。外国企業は中国にとって大変なお客様で、窓口も親切に対応してくれるし食品加工・水産加工については条件も緩和され進出しやすくなっている。

進出希望先の地方政府のホームページを見れば中国の状況や進出要領が分かる。青島市政府情報公衆ネットワークは日本語版もあり、投資条件や手続き、会社設立申請・審査手続きも書いてある。企業のトップに強力な意思決定があればコンサルタントや銀行などの協力も得られる。しかし、民族性が違うので日本のやり方は通用しない。郷に入れば郷に従えの心構えが必要だ。できれば日本で行われる投資説明会等に出席し現地の実情を勉強するとともに、政府要人との名刺交換も人脈づくりの第一歩だ。

私が知っている中国の水産加工事情では、外国産の魚の委託加工により操業度を上げている。日本の発明であるカニカマボコの中国メーカーは欧州やロシアに輸出しているが、日本のメーカーが進出していないのは悔しい思いだ。ノルウェー、チリの漁業展での売り込みは大変なものだが、日本の輸出マインドは全く弱い。日本は岸壁で売りっぱなしだが、中国は岸壁では売らず1〜3次加工をする漁業者であり加工業者でもある。日本は日本市場に安住していないか。