【ビリニュス=御調昌邦】ユーロ圏17カ国は13日、リトアニアの首都ビリニュスで財務相会合を開いた。1年半に及んだ景気後退を脱し、債務危機も昨年に比べて沈静化しつつあるが、新たにギリシャの追加支援問題が浮上。危機対応でカギを握るドイツの連邦議会選が22日に実施されるのを受け、来月以降に本格協議に入る方針だ。
「ギリシャが今後どれだけ資金手当てが必要なのか正確な数字を言うのは時期尚早だ」。欧州委員会のレーン副委員長(経済・通貨担当)は13日の財務相会合後の記者会見で、ギリシャに追加策が必要なことを認めつつも、現段階で同問題への深入りを避けた。
ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は同日、ギリシャの追加支援問題に関して「どのように対応するかは年末までの話だ」と語った。
ユーロ圏と国際通貨基金(IMF)はギリシャに過去2回で計2400億ユーロ(約31兆7000億円)規模の金融支援を決めたうえで、債務の軽減措置も実施。新たな支援が現実となれば第3次支援となる。
ギリシャ政府は財政緊縮策を実施し、1~8月期には基礎的財政収支(プライマリーバランス)は黒字化している。それでもIMFは2014年以降に110億ユーロ規模の資金不足が発生すると分析している。
当初予定していたユーロ圏の中央銀行によるギリシャ国債の償還時の乗り換えについて、一部の中銀が拒否しているためとみられ、財政再建計画の甘さが露呈した。さらに遅れ気味の政府資産の売却や景気動向次第では、資金不足額が拡大する恐れもある。
追加支援の必要性が判明しているにもかかわらず、13日の財務相会合では同問題は主要議題から外された。ドイツのメルケル首相は議会選で、独国民から非常に受けの悪いギリシャへの追加支援問題が争点になるのを警戒。本格的な支援検討は、選挙後に先送りしたい意向だ。
欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、IMFで構成する「トロイカ」の調査団が来週前半からギリシャに入り、ギリシャの経済・財政状況を点検する方針だ。追加支援に関する検討は、同調査団の報告を受けて実施される見通しだ。ユーロ圏のある政策当局者は「現状は議論の材料がない。10月のユーロ圏財務相会合から集中的に議論する」との考えを明らかにした。
ユーロ圏と二人三脚でギリシャ支援を担うIMFは、向こう12カ月の資金繰りに問題がないと判断できなければ資金支援も見送るとされ、年内に追加支援を固める必要があるとみられる。
ギリシャの追加支援規模は過去2回に比べて少額にとどまるうえ、すでに民間投資家は同国国債などをほとんど保有していないため、国際金融市場を揺るがす事態には発展しない可能性が高い。しかしドイツなど北部欧州では、自らの税金が湯水のようにギリシャに投入されていることに不満が噴出しかねない状況にある。
IMF、メルケル、ギリシャ、ユーロ圏
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