【藤田知也、ソウル=中野晃】韓国政府が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を積極的に検討し始めた。韓国政府高官が明らかにした。韓国は2国間の自由貿易協定(FTA)を重視する通商政策を掲げてきたが、米国から誘いがあったのに加え、日本の交渉参加が転機になった模様だ。しかし、国内世論をまとめられるかなど、ハードルは高く、厳しい。
そもそも、韓国政府は今年6月に発表した「新通商ロードマップ」で、TPP交渉に当面は参加しない方針を示したばかりだった。むしろ、最大の貿易相手国である中国とのFTA交渉を、最優先の課題に位置づけていた。
しかし、その態度は、7月に日本がTPP交渉に正式参加したときから一変したという。韓国は米国や欧州連合(EU)などとFTAを締結済みで、日本に先行していたが、政府関係者の間に「日本は攻撃的なFTA推進策を進めている」との危機感が出始めた。