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- MK2
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アルミニウムの錆を含んで、秋の空は硬質だった。もっとも純度の高い夏は、たぶん、逆説的に秋の空に含まれている。証拠を求められたら、このひずみのない日差しの正確さを差し出そう。アスファルトをきっちりと日向と日陰に切り分けるこのラインの明瞭さ。四季が太陽に支配しているなら、この明瞭さはなによりの支配の証明だ。直射日光に照らされた地面は焼けるように暑い。
たぶん。
私は足元に転がっている珪石のかけらを蹴り飛ばしながら思った。
湿度が悪いのだ。あのじめじめとした感じがすべてを曖昧にする。曖昧なものは、いつだってあまりよくないものだ。この肉体がそう。私は、私が11歳だったころの肉体が好きだった。だんだん丸みを帯びていくこの体は、その丸みのぶんだけ曖昧になる。やわらかいものは曖昧だ。たとえば母性。やさしさ。愛情。私の属する性別に還元されがちなそれらの要素を、私はあまり好きではない。それらは私と無関係な場所からやってきて、私の体に意味を与えていく。精神などおかまいなしに。
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「だから」という接続詞は、実はあまり意味がない。私にとっての「だから」は、だれかにとっては違うものだ。けれど、そのときの私はそう思ったのだからしかたない。それで「だから」という接続詞を使おうと思う。
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空はどこまでも透明度が高く、それでいて最後の一線では決して不透明な青だった。その純然たる青い空から降ってきた潔癖な太陽光が曖昧な私を照らした。
だから私は、私の抵抗の記録を書こうと思った。私の意志と無関係に変化していくこの肉体を理性のもとに暴きたてようと思った。解体して、この太陽光の下に並べるのだ。
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そんなわけでこのブログは、16歳くらいのなんかにかぶれためんどくさい文学少女崩れが書いています。まずは村上春樹の小説における文体の透明度と、扱っている内容の抽象性、そしてそこにべったりと糊で貼り付けたかのように不格好にはりついている肉体性の話でもしようと思います(思いません)。