首都圏ネットワーク

9月10日放送
五輪開催で経済の波及効果は

首都圏放送センター 井口 貴雄
首都圏放送センター
井口 貴雄

東京での開催が決まった2020年のオリンピックとパラリンピック。56年ぶりとなるオリンピックの開催で東京の経済、産業はどう変わっていくのでしょうか。
すでに動いているのが株価です。
10日の東京株式市場は、オリンピックの東京開催決定で景気の先行きへの期待感が続いていることなどから9日に続き、株価は値上がりしました。

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東京の招致委員会の試算では、オリンピック・パラリンピックの東京開催で経済波及効果は、3兆円に上るとしています。
本格的に動き出すのはこれからですが、期待は早くも高まっています。

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東京での開催が決まったオリンピック。1964年に開会式が行われたのが国立競技場です。
7年後の大会でもメインスタジアムとなる予定で、1300億円をかけて、建て替える計画です。

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37の競技会場のうち、新たに整備するのは22施設。
選手村を含めた建設工事費は4554億円に上ります。

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およそ1万7000人が宿泊できる選手村の建設予定地です。
オリンピックが終わったあとは、マンションとして分譲、賃貸される予定です。

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こうした施設の建設が湾岸部全体の開発が進むきっかけになるという声もあります。
周辺で建設中の高層マンションのモデルルームには、買うのを検討している人が相次いで訪れているということです。

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不動産調査会社の井出武主任研究員は
「選手村になるわけですから資本投下がなされると思います。ですから、非常に暮らしやすい環境に変化していくというふうになることが考えられます。そうなると、選手村のベイエリアを中心にですね、全体の土地の価値自体が上がっていくと」話します。

さらに東京での開催が追い風になると期待されているのが観光面です。

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宿泊客の7割が外国人というこちらのホテル。ベッドのサイズを外国人向けに大きいものに変え、外国の旅行代理店への売り込みも強化してきました。
オリンピックの開催で、さらなるビジネスチャンスをつかもうと営業活動を強化することにしています。

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ここに宿泊するポーランド人客は
「2020年にも日本に来たい」と語り、早くも7年後のオリンピックに期待を寄せています。

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ホテルの今井明男社長は
「オリンピックを見て来るお客さんがどんどん増えるだろうと、それはありがたいことだし、われわれの希望でしたからね」。
「外国の人が来ても満足するようなことをやってあげたい」と期待します。

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東京の新名所、東京スカイツリーも外国人客の獲得に力を入れています。
より多くの外国人客を取り込もうと7月、翻訳したパンフレットの種類を増やし、18の国と地域の人たちに対応できるようにしました。親会社の東武鉄道も、海外にネットワークがある旅行会社を傘下におさめ、外国人観光客の獲得に力を入れています。

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スカイツリーの運営会社の高梨博武課長は
「非常に期待感を持っています、日本に来られる外国人のお客様が増えていくと。しっかりとお客様をお迎えする準備をたてていきたい」。

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こうした観光やビジネスを後押しするインフラの整備なども加速する可能性があります。
政府内では、成田空港と羽田空港を結ぶ「直結線」を検討しています。

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東京・丸の内の地下に新たに「新東京」駅を設けて羽田空港と成田空港を結ぶ構想で実現すれば、東京と羽田空港が10分から20分程度、東京と成田空港では20分近く短縮できます。
また、成田空港と羽田空港の発着便数のさらなる拡大を検討することにしています。

東京開催で高まる経済の波及効果、専門家は成長戦略との相乗効果が期待される一方、注意が必要だと指摘しています。

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野村証券の田村浩道マネージング・ディレクターは
「日本経済のこの状況での東京オリンピック招致決定は大きな意味を持っていると思います。成長戦略の成功確率も高まると思っています。留意点と致しましては、過剰な設備投資に陥ってオリンピック終了後に逆に不況になるというリスクも考えられなくはない」と話しています。

経済への波及効果はさらに大きくなるという見方もありまして、オリンピックをきっかけにビジネスチャンスをつかもうという動きが活発になるとみられます。
ただ、施設の整備などには巨額の投資が必要となるだけに、東京都などには、いかに財政規律を保っていくかという視点も求められると思います。

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