婚外子家庭への独自制度陳情09月06日 17時23分
婚外子への相続差別を憲法違反とする最高裁の決定が出たことを受けて、東京・府中市の女性たちが6日市議会に対し、保育料や市営住宅の家賃などが軽減される制度を婚外子の家庭にも独自に導入するよう求める陳情を行いました。
陳情を行ったのは、東京・府中市に住む20代の女性などで、6日市議会を訪れました。
母子世帯などの税金が軽減される「寡婦控除」は、配偶者が死亡したり離婚した場合が対象で、婚外子の母親である未婚の「シングルマザー」は含まれていません。
しかし最高裁が4日、婚外子に対する相続差別を憲法違反と判断したことから、陳情では婚外子の家庭にも、寡婦控除があったとみなして保育料や市営住宅の家賃を減免する『みなし控除制度』を導入するよう求めています。
6日の議会では「子どもの貧困につながっている」と導入に前向きな意見のほかに「慎重に判断すべきだ」という意見も出た結果、どのような対応が可能かさらに検討する必要があるとして、継続審査となりました。
日弁連などによりますと首都圏では東京・八王子市や千葉市などで、すでに「みなし寡婦控除」の制度を独自に行っていて、今後も自治体の導入が広がることも予想されます。
陳情した女性のひとりは「親が結婚しているかどうかで子どもに不自由な思いをさせたくはありません。できるだけ早く認めてほしい」と話していました。
陳情をした東京・府中市の20代の女性は、ひとりで小学生の娘を育てています。
娘はいわゆる「婚外子」です。
父親の男性とは結婚せずに出産したため、寡婦控除の対象にはなりません。
対象となった場合と比較すると住民税は年間6万円近く高くなるほか、市営住宅の家賃も月数千円程度多く負担することになります。このため、自治体の裁量で費用を決められる市営住宅の家賃だけでも『みなし控除制度』で減免してほしいと訴えています。
女性は「親の事情に関わらず子どもの成長にはお金がかかるので、親が結婚しているかどうかでこどもが不自由な思いをするのはおかしいと思う。市にはぜひ対応してもらいたいし、国にも一刻も早く寡婦控除の制度そのものを見直してもらいたい」と話しています。