問題児たちが異世界から来るそうですよ? ━魔王を名乗る男━ (針鼠)
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>今回は連絡代わりに更新なので、オチも何もなし。久しぶりなのに本編でなくてすみません。

>で、報告。
この間からISの二次を書き始めたので、せめてそちらのきりがいいとこまで書いたらこちらの本編書きます。
いよいよウロボロス編に突入です!



おまけ(学園編2)

「いってきまーす!」

「……いってきます」

 満面の笑顔で大手を振って家を出る信長。
 対照的に、不機嫌なのを隠そうともしない仏頂面のペスト。
 そんな二人を母である幼児姿のレティシアは玄関で見送ったのだった。

 学校へと向かう道すがら、通りがかる人に全員に挨拶をする信長。知っている人、知らない人全員に。

「まきおこーせよ、ワン・ツー・スリー! のるかそるかの――――」

「うるさいわ」

 おまけに大きすぎる声で歌まで歌ってる。
 それにはさすがに堪えかねたのか、極限まで気配を消しながらその後ろをついて歩いていたペストは断じる。

「なにが?」

「存在そのものかしら」

 やっぱり不機嫌だった。

「なら一緒に歌う?」

「本当に、少しでいいから、黙って!」

「ようよう、朝からお熱いね御両人」

 二人が振り返る。そこに立っていたのは信長達と同じ学校の制服を着る、頭にヘッドフォンを着けてニヒルに笑う少年だった。

「おはよう、十六夜」

 彼の名は逆廻 十六夜。
 信長達と同じ高校に通う極々平凡――――とは言い難すぎるスーパー高校生。どれくらいスーパーかというと、高校生のくせに世界を一度や二度くらい救ったりしてる。悪魔や天使や魔王や神様と殴りあって。しかも彼の趣味で。

「おう。お前もな、斑ロリ」

「気安く頭を撫でないで」

 十六夜が腰を曲げて目線を合わせ、頭に手をおいてくる。
 明らかに子供に対する扱いに苛立ちながら手をはたく。

 刺々しい対応にも十六夜は気にした風もなく、ヤハハと笑った。
 そうして信長を見やり、

「にしてもお前は相変わらず人生楽しそうだな」

「当たり前だよー」ヘラヘラ笑って「可愛い母親と可愛い妹と毎日暮らしていて、今日から可愛い女の子達がいる学校に通えるんだから楽しくないわけないよ」

「悩みなんてなさそうだもんな」

「ないない。あるわけないよー」

 あはははー、とお花畑でも見えていそうな信長。呼応するように笑う十六夜。もう帰りたい、とぼやくペストだった。

 そんなとき、着信音が十六夜のポケットから鳴った。

「――――ん? ああ、わかったわかった」

「どうかしたのー?」

「なんか駅の近くで、頭が三つある竜のエンブレムの暴走族が暴れてるらしい。俺を探してるんだとよ。そういや昨日、ちょっとコンビニ行ったとき路上にバイク並べて邪魔な奴等がいたから……」

「殴ったの?」

「んにゃ。バイクごと山に捨ててきてやった」

 さすがスーパー高校生。暴走族程度、彼にかかればコンビニ行くついでに壊滅させることは容易い。むしろその一度で壊滅しなかった暴走族の方が凄いと言ってやるべきかもしれない。
 しかし悲しいかな。そのチームも今日で解散するだろう。正確にはあと数時間で。

「ちょっくら行ってくる」

「先生に遅れるかもって言っておこうか?」

「いやいい。一限には間に合うだろ」

 いや、あと数十分の命なのかもしれない。

「それじゃあな」

 言うなり地面を蹴って天空を舞う十六夜。一瞬の間ですでに彼の姿は遠く彼方へ離れていた。

「それじゃあ行こうか、愛しの妹よ。……あれ?」

 振り返ったそこにすでに少女はいなかった。

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