大槻ケンヂ 連載エッセイ「オーケンの、このエッセイは手書きです!」

大槻ケンヂ 連載エッセイ「オーケンの、このエッセイは手書きです!」

プロフィール

大槻ケンヂ(筋肉少女帯・特撮)

1966年2月6日生まれ

1982年 筋肉少女帯結成、1988年 メジャーデビュー、バンド活動と共に執筆その他活動は多岐にわたる。作家としては94年、95年日本SF大会日本短編部門「星雲賞」受賞。代表作に『ロッキンホースバレリーナ』『グミ・チョコレート・パイン』等。
筋肉少女帯は数年の活動休止を経て2006年に復活。
2011年、筋肉少女帯、特撮、大槻ケンヂと絶望少女達など複数のバンドで活動中。著作も多数発売中である。
「オーケンの、このエッセイは手書きです」
好評発売中!!!
!!!!!
大槻ケンヂ、最新エッセイ集!笑って、笑って、ちょっぴりせつない、もはや芸と言えるオーケン流のほほんエッセイ、 2011年からの約2年間分を収録。
アイドルの名前を必死におぼえたり、格闘本を読みふけったり、弾き語りのライブに挑戦したり、アラフィフ・ミュージシャンの日々の記録はこんなにも地味?だからこそ笑えて共感できるアングラ徒然草。
私的カルト・ムービー BEST150も発表!
表紙はバカドリルのタナカカツキ氏。



『オーケンの、このエッセイは手書きです』
大槻 ケンヂ (著)
出版:ぴあ
価格:¥1,575(税込)
リリース情報

筋肉少女帯
アルバム「公式セルフカバーベスト 4半世紀」
発売中
LIVE DVD「筋肉少女帯メジャーデビュー25周年記念「4半世紀 LIVE」 at 中野サンプラザ 2013.6.22」
10/1(火)発売予定

特撮
配信限定リリース「パナギアの恩恵」
発売中



ライブ情報

筋肉少女帯
メジャーデビュー25周年記念「4半世紀」追加公演
9/22(日) 横浜BLITZ

LIVE DVD発売記念ツアー「四半世紀中」
10/19(土)赤坂BLITZ *vs アーバンギャルド
10/31(木)名古屋BOTTOM LINE *vs すかんち
11/2(土)大阪BIG CAT *ワンマン
11/3(日)大阪BIG CAT *vs 人間椅子
11/16(土)Shibuya O-EAST *ワンマン
11/24(日)名古屋BOTTOM LINE *ワンマン

筋肉少女帯/JUN SKY WALKER(S)
25年目のバンドブーム!
12/21(土) Shibuya O-EAST

中二病の神ドロシー
メンバー:Vo. 大槻ケンヂ/Gu. 橘高文彦/Gu. 本城聡章/Ba. 内田雄一郎
サポートDr. 河塚篤史
筋肉少女帯 拡散波動砲2013 FINAL
9/28(土) 渋谷CLUB QUATTRO


大槻ケンヂ公式ウェブ
第五十一回

UFOと恋人

2013年9月13日(金)

 読者からの反応が今一つだと、わかっちゃいるのに書いてしまうお題と言えばUFOである。
 先日、UFOについてのテレビ番組に出演してきた。
 「緊急検証!宇宙人地球侵略史 ふり返れば宇宙人(ヤツ)がいた!!
 そこにバンドマンがなぜ出る必要があるのか皆目わからないタイトルなわけだが、出演者がすごかった。どこがどう“すごい”のかは各自で検索お願いします。
 オカルト研究家の山口敏太郎さん、サイエンス・エンターテイナーの飛鳥昭雄さん、そして矢追純一さんである。
 三大怪獣そろいぶみみたいなお三方が、最新のUFO情報を各自プレゼン、それを、オーケンと辛酸なめ子さんが聞く、という番組構成。
 注目すべきはスタジオに、オカルト否定派が一人もいないということだ。オーケンもなめ子さんも面白がり派というか、肯定派でも否定派でもない。
 止める者がいないから、が然、お三方が水を得た魚のように熱く語りまくる。一人ノンストップで三十分ずつはしゃべっていたであろうか。思わず飛鳥昭雄さんのプレゼンが終わった後、司会者に感想を求められた僕が「…真偽の程はともかく…話長いス」と本音をもらしたほどだ。
 UFO番組に必ず否定派が登場して肯定派とやり合うのは、あれは真偽の程はともかく、番組の尺を短くするためのタイムウォッチャーの役割を担っているのだなと気がついたものだ。
 各自のプレゼン内容であるが、山口さん「日本史は宇宙人に支配されていた!」飛鳥さん「宇宙人は実は空洞である地球内部から来ていた!」矢追さん「ナチスがUFOを作っていた!」という、最新情報だというのに『あれ、その話しオレ、ガキのころに学研のムーで散々読んだような気が…』クラクラ来るそのUFOデジャブ感はまるでクラシック・スタイルのプロレスを見るようで個人的にはしびれたんだが、スタッフがどこかでみつけて来た謎のオジさんのコメント証言が実はこの日一番面白かった。
 宇宙人の地球侵略に詳しいという中年の彼氏、仮名、サングラスでインタビューに応じていわく「人類の多くは爬虫類型宇宙人(レプティリアン)によってシュメール文明時にDNA操作で創作されたものである」とのこと。
 山口敏太郎さんによればこの都市伝説はアメリカのSFドラマ「V」シリーズがきっかけとなって流布されたらしい。
 だがサングラスの彼氏はそこに彼なりのサムシングを加えた。
 「…に対し、恐竜型宇宙人(ドラコニアン)がシュメール文明時にDNA操作で創作した人類もいる」現在、レプティリアンとドラコニアンが人類の支配権をめぐって激烈な抗争をくり広げている、のだそうな。
 スタッフが「その抗争、どんなところで起こっているのですか?」と尋ねたところ、彼氏は「そりゃアレだよ」言わずもがなだろといった調子で述べたものだ。
 「駒沢3丁目だよ
 戦地は駒沢3丁目であったか!人類の存亡をかけた超局地戦と言わざるを得ない。ホットスポット!!今すぐカーナビに入れたいものだ。
 たっぷりUFO話しを聞いて帰宅、本を読んでいたらまたUFOの話しが出てきて驚いた。
 オカルト関係の本ではない。80年代ニューウェイブを牽引したバンド、プラスチックスメロンについてメンバー中西俊夫さんが記した「プラスチックスの上昇と下降、そしてメロンの理力・中西俊夫自伝」の中にである。
 UFOとまったく関係の無い本を読んでいて、ふいに突然UFOについての記述にぶつかることはたまにある。不意打ちであり、まさにUFOを突然空に見たように虚を突かれる読書体験で、僕は大好きだ。
 たとえばユーミンさんの初期エッセイには、ユーミンが町で宇宙人を見た、なんてことがヘロッとふいに書いてあったりする。
 中西俊夫さんの場合は、89年ころ、「2メートルくらいある、背の高いブロンドのスーパーモデルみたいな知性体」に出会った時のことをロックバンド、しかもあのプラスチックスについての本の中でいきなり語り出すのだ。
 「タオ」と自分を名乗った宇宙人に中西さんは会うなり「それから小一時間説教された」「いわく『あなたは役目を忘れてる』なんたらかんたら、『このままだと地球は…』まぁ、ありがちな話。」
 さらに中西さんは後日「ミシェル・デマルケというフランス人のおっさんがアブダクションされた話」を著した「超巨大宇宙文明の真相」という本を読んで驚愕することとなる。
 なんと、その本の中に中西さんの会った「タオ」が登場するのだ。
 「しかもこの本には、3回読めと書いてある。普通の人であれば、そんなこともあるかな?信じる信じないっていう話なんだが、本当に3回読んだら、知ってる人は知ってるはずだというメッセージが入っていた。あ、すみません、僕、知ってますみたいな…。」
 僕が中西さんのUFO談で特に面白いと思うのは、中西さんが自身の体験を「まぁ、ありがちな」と、昔からよくある、それこそムーで何度も読んだようなクラシック・UFOストーリーであるとの認識を持っている点だ。
 まぁ、ありがちな、と、わかりつつ、ありがちな、ありえない事件に遭遇している自分の状況を、否定することができないジレンマ。受け入れてしまう結果。宇宙大戦争が駒沢3丁目に集約していくかの、無限と個が結びついてしまう時の、まさに上昇と下降のような運命の混沌。
 ちなみにプラスチックスのメンバーである「まーちゃん」も「UFOを見ていて」それは、まーちゃんにとっては「やーな感じ」であったのだという。「僕がUFOには精神的なものと物理的なものと2種類あるみたいよ、と言ったら、精神的なもんだと思う」と、まーちゃんは中西さんに答えたのだそうだ。
 精神的なUFO、と言えば、と学会の新刊「タブーすぎるトンデモ本の世界」の中に、う〜ん…とうなりたくなるような一文を見つけた。
 「UFO 未確認淫行映像」というAVについて唐沢俊一さんが書いている文章の中にだ。
 アキバ系アイドルになりたくてAV女優になったという、うるるまみさんを主演女優とするこのAVは、「史上初、UFOの映り込んだAVを製作する、という強引な目的を持って(中略)スタッフとAV女優を連れて4泊5日の旅をする、というロードムービー風」企画ものAVなのだという。
 結果、見事「AVの画面中にUFOを映りこませるという快挙」を成し遂げた監督を「ビギナーズ・ラックというにはあまりに大きい」と賞讃した後、唐沢さんはこう書く。
 「この一本のAV作品の方に、“なぜ人間はUFOを見るのか”という本質が示されているような気がしてならない(中略)UFOを見てしまう、という行為は、アイドルになりたくてAV女優になってしまう、という方向性の倒錯と、どこか似ているように思うのである。
 僕は全然うまいこと説明できないのだけど、僕の思う、精神的なUFO、それを見てしまう人間の未知の機能、不思議、そこら辺のこと、これ実に、この文に同感である。全然うまい説明の仕方が見つからなくて申し訳ないのだけれどね。でも、そういう方向性の倒錯だと僕も思います。
 …ところで、プラスチックスの「まーちゃん」とは、ボウイやグレイなどのプロデューサー、佐久間正英さんのことである。筋肉少女帯もプロデュースしていただいたことがあった。「UFOと恋人」というアルバムであった。そんなタイトルつけちゃって、あの頃まーちゃんに「やーな感じ」に思われていたら悪かったな〜、と、中西俊夫さんの本を読んでいて思いました。

次回更新:9/30(月)予定