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読者からの反応が今一つだと、わかっちゃいるのに書いてしまうお題と言えばUFOである。
先日、UFOについてのテレビ番組に出演してきた。
「緊急検証!宇宙人地球侵略史 ふり返れば宇宙人(ヤツ)がいた!!」
そこにバンドマンがなぜ出る必要があるのか皆目わからないタイトルなわけだが、出演者がすごかった。どこがどう“すごい”のかは各自で検索お願いします。
オカルト研究家の山口敏太郎さん、サイエンス・エンターテイナーの飛鳥昭雄さん、そして矢追純一さんである。
三大怪獣そろいぶみみたいなお三方が、最新のUFO情報を各自プレゼン、それを、オーケンと辛酸なめ子さんが聞く、という番組構成。
注目すべきはスタジオに、オカルト否定派が一人もいないということだ。オーケンもなめ子さんも面白がり派というか、肯定派でも否定派でもない。
止める者がいないから、が然、お三方が水を得た魚のように熱く語りまくる。一人ノンストップで三十分ずつはしゃべっていたであろうか。思わず飛鳥昭雄さんのプレゼンが終わった後、司会者に感想を求められた僕が「…真偽の程はともかく…話長いス」と本音をもらしたほどだ。
UFO番組に必ず否定派が登場して肯定派とやり合うのは、あれは真偽の程はともかく、番組の尺を短くするためのタイムウォッチャーの役割を担っているのだなと気がついたものだ。
各自のプレゼン内容であるが、山口さん「日本史は宇宙人に支配されていた!」飛鳥さん「宇宙人は実は空洞である地球内部から来ていた!」矢追さん「ナチスがUFOを作っていた!」という、最新情報だというのに『あれ、その話しオレ、ガキのころに学研のムーで散々読んだような気が…』クラクラ来るそのUFOデジャブ感はまるでクラシック・スタイルのプロレスを見るようで個人的にはしびれたんだが、スタッフがどこかでみつけて来た謎のオジさんのコメント証言が実はこの日一番面白かった。
宇宙人の地球侵略に詳しいという中年の彼氏、仮名、サングラスでインタビューに応じていわく「人類の多くは爬虫類型宇宙人(レプティリアン)によってシュメール文明時にDNA操作で創作されたものである」とのこと。
山口敏太郎さんによればこの都市伝説はアメリカのSFドラマ「V」シリーズがきっかけとなって流布されたらしい。
だがサングラスの彼氏はそこに彼なりのサムシングを加えた。
「…に対し、恐竜型宇宙人(ドラコニアン)がシュメール文明時にDNA操作で創作した人類もいる」現在、レプティリアンとドラコニアンが人類の支配権をめぐって激烈な抗争をくり広げている、のだそうな。
スタッフが「その抗争、どんなところで起こっているのですか?」と尋ねたところ、彼氏は「そりゃアレだよ」言わずもがなだろといった調子で述べたものだ。
「駒沢3丁目だよ」
戦地は駒沢3丁目であったか!人類の存亡をかけた超局地戦と言わざるを得ない。ホットスポット!!今すぐカーナビに入れたいものだ。
たっぷりUFO話しを聞いて帰宅、本を読んでいたらまたUFOの話しが出てきて驚いた。
オカルト関係の本ではない。80年代ニューウェイブを牽引したバンド、プラスチックスとメロンについてメンバー中西俊夫さんが記した「プラスチックスの上昇と下降、そしてメロンの理力・中西俊夫自伝」の中にである。
UFOとまったく関係の無い本を読んでいて、ふいに突然UFOについての記述にぶつかることはたまにある。不意打ちであり、まさにUFOを突然空に見たように虚を突かれる読書体験で、僕は大好きだ。
たとえばユーミンさんの初期エッセイには、ユーミンが町で宇宙人を見た、なんてことがヘロッとふいに書いてあったりする。
中西俊夫さんの場合は、89年ころ、「2メートルくらいある、背の高いブロンドのスーパーモデルみたいな知性体」に出会った時のことをロックバンド、しかもあのプラスチックスについての本の中でいきなり語り出すのだ。
「タオ」と自分を名乗った宇宙人に中西さんは会うなり「それから小一時間説教された」「いわく『あなたは役目を忘れてる』なんたらかんたら、『このままだと地球は…』まぁ、ありがちな話。」
さらに中西さんは後日「ミシェル・デマルケというフランス人のおっさんがアブダクションされた話」を著した「超巨大宇宙文明の真相」という本を読んで驚愕することとなる。
なんと、その本の中に中西さんの会った「タオ」が登場するのだ。
「しかもこの本には、3回読めと書いてある。普通の人であれば、そんなこともあるかな?信じる信じないっていう話なんだが、本当に3回読んだら、知ってる人は知ってるはずだというメッセージが入っていた。あ、すみません、僕、知ってますみたいな…。」
僕が中西さんのUFO談で特に面白いと思うのは、中西さんが自身の体験を「まぁ、ありがちな」と、昔からよくある、それこそムーで何度も読んだようなクラシック・UFOストーリーであるとの認識を持っている点だ。
まぁ、ありがちな、と、わかりつつ、ありがちな、ありえない事件に遭遇している自分の状況を、否定することができないジレンマ。受け入れてしまう結果。宇宙大戦争が駒沢3丁目に集約していくかの、無限と個が結びついてしまう時の、まさに上昇と下降のような運命の混沌。
ちなみにプラスチックスのメンバーである「まーちゃん」も「UFOを見ていて」それは、まーちゃんにとっては「やーな感じ」であったのだという。「僕がUFOには精神的なものと物理的なものと2種類あるみたいよ、と言ったら、精神的なもんだと思う」と、まーちゃんは中西さんに答えたのだそうだ。
精神的なUFO、と言えば、と学会の新刊「タブーすぎるトンデモ本の世界」の中に、う〜ん…とうなりたくなるような一文を見つけた。
「UFO 未確認淫行映像」というAVについて唐沢俊一さんが書いている文章の中にだ。
アキバ系アイドルになりたくてAV女優になったという、うるるまみさんを主演女優とするこのAVは、「史上初、UFOの映り込んだAVを製作する、という強引な目的を持って(中略)スタッフとAV女優を連れて4泊5日の旅をする、というロードムービー風」企画ものAVなのだという。
結果、見事「AVの画面中にUFOを映りこませるという快挙」を成し遂げた監督を「ビギナーズ・ラックというにはあまりに大きい」と賞讃した後、唐沢さんはこう書く。
「この一本のAV作品の方に、“なぜ人間はUFOを見るのか”という本質が示されているような気がしてならない(中略)UFOを見てしまう、という行為は、アイドルになりたくてAV女優になってしまう、という方向性の倒錯と、どこか似ているように思うのである。」
僕は全然うまいこと説明できないのだけど、僕の思う、精神的なUFO、それを見てしまう人間の未知の機能、不思議、そこら辺のこと、これ実に、この文に同感である。全然うまい説明の仕方が見つからなくて申し訳ないのだけれどね。でも、そういう方向性の倒錯だと僕も思います。
…ところで、プラスチックスの「まーちゃん」とは、ボウイやグレイなどのプロデューサー、佐久間正英さんのことである。筋肉少女帯もプロデュースしていただいたことがあった。「UFOと恋人」というアルバムであった。そんなタイトルつけちゃって、あの頃まーちゃんに「やーな感じ」に思われていたら悪かったな〜、と、中西俊夫さんの本を読んでいて思いました。