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都市交通の礎に思い 大阪市電開業110年

2013年9月13日

 日本初の公営路面電車である大阪市電が開業して110年となる12日、大阪市営交通局110周年記念式典が大阪市港区の海遊館ホールで開かれた。市や市議会、関西私鉄の代表者ら約200人が集まり、110年の歩みをまとめた映像や子どもらの合唱などを通して節目の日を祝った。

「地下鉄大好き」と元気に歌う野田小の児童ら=12日午前、大阪市港区

 大阪市電は1903年9月12日、花園橋〜築港桟橋(5キロ)で開業。市民の人口増加に伴い拡張を続け、33年には市営地下鉄が梅田―心斎橋間(3・1キロ)で開業した。市電は戦後も走り続けたが、自家用車の増加による市内の渋滞問題などを背景に69年、全廃となった。

 式典では京極務副市長が「安全の確保や乗客サービスの向上、沿線と一体となったまちづくりなど交通事業の発展に向けて大阪市として一層努力したい」とあいさつ。DVD映像で開業時の市電や、車体の色から「銀バス」として親しまれた市バス、太平洋戦争中に登場した木炭が燃料の市バスなどの写真を交えながら、当時の市営交通を振り返った。

 また今年創立110周年を迎える野田小(大阪市福島区)の1年生約120人が参加し、交通局職員が作詞、作曲した「地下鉄大好き」を合唱、祝福ムードを盛り上げた。

 市交通局は現在、民営化を目指して組織体制の強化やサービス改善を進めており、市議会でも民営化に関する審議が続いている。

 藤本昌信局長は「公営の長い歴史を痛切に感じた1日。人へのやさしさは公営の最大のポイントで、民間会社にしっかり引き継ぎたい」と話していた。

 また110周年を記念して募集していた市営交通に関する「110話(いいおはなし)」の受賞作品を表彰。大阪府内外から424件の応募があり、局長賞の松原慎一郎さん(34)=吹田市=らに賞金や賞状が贈られた。主な入賞者は次の通り(敬称略)。

 局長賞=松原慎一郎(吹田市)▽運輸部長賞=又吉可奈子(大阪市都島区)▽自動車部長賞=佐野達磨(大阪市旭区)▽特別賞=中村由実(奈良県香芝市)、藤原初枝(大阪市北区)、山本恵子(枚方市)