原発事故で、国が除染を担う福島県の11市町村について、環境省が作業計画を見直した。今年度末までに完了する予定だったが、守れそうなのは、すでに作業を終えた田村市を含めて4[記事全文]
トラブル続きのJR北海道が11月から異例の安全対策に乗り出す。特急、快速の最高時速を20〜10キロ下げてエンジンや車輪などへの負荷を軽くする。運転本数も減らし、車両整備にかける時間を増やすと[記事全文]
原発事故で、国が除染を担う福島県の11市町村について、環境省が作業計画を見直した。
今年度末までに完了する予定だったが、守れそうなのは、すでに作業を終えた田村市を含めて4市町村だけ。7市町村については、インフラの復旧状況などを踏まえ、年内に新たな計画をまとめる。
一度除染した場所の追加的な除染や、縁から20メートルを原則としてきた森林除染の拡大を、個々の場所の状況に応じて認める考えも打ち出した。
当初の計画が破綻(はたん)したのは、除染で生じた廃棄物を運び込む中間貯蔵施設の建設にメドが立たず、市町村ごとに設ける仮置き場も十分確保できていないことが大きい。
除染への不信からカギとなる施設の建設が進まず、避難生活が長びく――。こうした悪循環を断つには、地元との対話を重ね、理解を得るしかない。どこまで除染を進めるか、詰めた議論も必要になろう。政府の責任は重い。
大震災と原発事故から2年半がたち、避難者の忍耐は限界に近づきつつある。
11市町村では、今後の放射線量の見通しに沿って、避難区域の再編が行われた。国が除染を進めているのは、線量が比較的低い避難指示解除準備区域と、それに次ぐ居住制限区域だ。十分な線量低下が見込めない帰還困難区域では実験的な除染にとどまっている。
本当に自宅に戻れるのか。戻れるならいつごろか。戻れない場合や、新たな場所で再出発したい人は、どのような支援が得られるのか。
政府はこれらの点について全体像を示し、避難者が生活再建について判断できる環境を早く整えるべきだ。
とりわけ関心が高いのは、金銭面だろう。自宅などの不動産に対しても東京電力による賠償の支払いが始まったが、古い家屋の所有者を中心に「あまりに額が少なく、今後の青写真を描けない」との声が強い。
賠償の基準を決める政府の損害賠償紛争審査会は上積みする方針を打ち出したが、ほかにも課題は多い。
避難指示が解除された場合、いつごろまで賠償を受けられるのか。帰還困難区域など、なかなか戻れない場合の賠償をどう考えるのか。基準作りを急いでほしい。
汚染水問題などの混乱がいつまで続くのかも、避難者の判断を左右する。政府は避難者の視点に立って、それぞれの課題に向き合わねばならない。
トラブル続きのJR北海道が11月から異例の安全対策に乗り出す。特急、快速の最高時速を20〜10キロ下げてエンジンや車輪などへの負荷を軽くする。運転本数も減らし、車両整備にかける時間を増やすという。
減速ダイヤは、線路の点検などのため旧国鉄が78年に一部路線で実施したくらいだ。鉄道収入が年700億円程度と少なく、国の基金を運用して赤字を埋めているJR北にとって、年16億円と見込まれる減収は痛いだろう。だが、現状を考えれば必要な措置だ。
11年5月、特急が脱線・炎上し、79人が負傷する石勝線事故が起きた。JR北は4カ月後に安全対策をまとめたが、同社側に原因のトラブルは12年度も189件あり、過去最悪を更新した。今年度も、車両から火や煙が出て乗客が避難する騒ぎが7月だけで3件起きた。
原因の細部はまちまちだが、会社の安全管理態勢の甘さや、発生時の対応の鈍さが共通している。経営陣は、企業体質の問題と重く受け止めるべきだ。
トラブル発生率は石勝線事故前からずっとJR旅客6社で最悪だった。だが会社が事故前の10年度、車両や地上設備などの更新に投じたのは58億円で、07年度のほぼ半分。安全性を進んで高める姿勢が欠けていた。
今年6月、野島誠氏が社長に就いた。技術系出身のトップは10年ぶりだ。ただ常勤役員はすべて内部登用で、社外取締役にも鉄道専門家はいない。思い切った改革がどこまでできるか。大きな疑問が残ったままだ。
107人が死亡したJR宝塚線(福知山線)事故を05年に起こしたJR西日本は、社内で考える対策には限界があるとし、専門家6人を安全諮問委員に起用した。2年がかりで現場視察を重ね、乗務員指導の見直しやダイヤ変更などにつなげた。
それでも被害者からは、本当に安全になったのかとの批判が絶えない。同社は昨年から、被害者、専門家を交えた安全フォローアップ会議で再検討を進めている。安全向上に終わりがないことを物語っている。
企業体質を変えるのは、それほどまでに難しいことだ。
JR北も、専門家を広く集め、社内の問題点を洗い直してはどうか。対策の数を増やすばかりでは、効果は上がるまい。
北海道と本州を結ぶ北海道新幹線は2年半後に一部開業する。運行を担うのはJR北であり、一刻も早く、安全運行への信頼を取り戻す必要がある。
崖っぷちに立っていることを強く自覚してもらいたい。