２００７年、仕組債の販売募集時に男性に交付された資料は以下の通りである。
１．商品概要
→Ａ４サイズの用紙１枚に概要が記載されたもの
２．ＮＫ新聞の切り抜きコピー
→多くの大学が仕組債で運用していることを紹介している記事
今年、駒沢大学などがデリバティブ取引で大損したことが報道されている。厚顔にも、ＮＫ新聞は２００７年の記事を忘れているのだろう。
「２００７年に仕組債で資金運用する大学について記事を載せましたが、その後、これらの大学は大きな損失を出しました」、などと記事を載せればジャーナリストとして評価できるのだが、それは無理な注文だ。所詮、財界の御用新聞に過ぎない。
＊＊＊
商品に関する募集資料はまるでチラシのような紙が１枚だけである。目論見書や商品説明書は無いのか？と訊ねたところ、投資信託などの商品とは異なり、私募債なので無いと言う。ムジナは私募債の購入経験が無いので、「そういうものですかねぇ・・・」との曖昧な一言を出すのが精一杯であったが、どうも納得がいかない。
私募債だとチラシだけで販売できるものなのだろうか？
重要事項を説明する資料も未交付だ。ムジナの記憶では、リスク、クーリングオフなどの重要事項を文書によって説明する義務が販売者側にある筈なのだが、こちらは説明を受けていないし、説明書も受け取っていない。
相手は「渡しませんでしたかねぇ」と曖昧に答えたり、「私募債の場合は必要ない」と一貫性のない返事をしてくる。その一方で、「適正な販売をした」と言い切る支店長。アホか！！
＊＊＊
様々なやりとりをしたが、結論としては、相手は「男性に適合性はある」、「適正な販売をした」、「契約の解除はできない」との言い分を変えることはなかった。
徹底抗戦するつもりだな。よかろう。こちらは素人だが、できるだけのことはやるつもりだ。ムジナは非力だが、男性は真剣に悩んでムジナに支援を依頼してきた。
ゲリラ戦法でも何でもやってやる。渡世の義理、無償の奉仕だ。
債券の直近の既発債としての取引価格を調べてもらうことは確約を得た。責任者たる支店長が約束をしたのだ。逃げ隠れはしないだろう。
取引価格がわかれば、第２ステージに移れる。「債券を○○円で買い取れ」、と。
＊＊＊
約３時間のやりとりをして、どっと疲れが出た。
支店長が帰り際に「名刺をいただけませんか？」とムジナに言ってきた。仕事ではないので、「今日は個人的な立場で立ち会ったので、本業の名刺は出せない」と断った。
依頼者の男性がご丁寧にも支店長を玄関の外まで見送りに出た。外には運転手付の高級車が停まっていたという。さすが、大手証券会社である。
支店長は、男性にムジナの職業を何度も訊いたらしい。「弁護士ですか？、公務員ですか？」相手はムジナの素性を知りたいようだ。
「普通のサラリーマンですよ、気にすることはございません」、依頼者の男性はこのように答えたそうだ。
＊＊＊＊ 第一幕 おわり ＊＊＊＊
１．商品概要
→Ａ４サイズの用紙１枚に概要が記載されたもの
２．ＮＫ新聞の切り抜きコピー
→多くの大学が仕組債で運用していることを紹介している記事
今年、駒沢大学などがデリバティブ取引で大損したことが報道されている。厚顔にも、ＮＫ新聞は２００７年の記事を忘れているのだろう。
「２００７年に仕組債で資金運用する大学について記事を載せましたが、その後、これらの大学は大きな損失を出しました」、などと記事を載せればジャーナリストとして評価できるのだが、それは無理な注文だ。所詮、財界の御用新聞に過ぎない。
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商品に関する募集資料はまるでチラシのような紙が１枚だけである。目論見書や商品説明書は無いのか？と訊ねたところ、投資信託などの商品とは異なり、私募債なので無いと言う。ムジナは私募債の購入経験が無いので、「そういうものですかねぇ・・・」との曖昧な一言を出すのが精一杯であったが、どうも納得がいかない。
私募債だとチラシだけで販売できるものなのだろうか？
重要事項を説明する資料も未交付だ。ムジナの記憶では、リスク、クーリングオフなどの重要事項を文書によって説明する義務が販売者側にある筈なのだが、こちらは説明を受けていないし、説明書も受け取っていない。
相手は「渡しませんでしたかねぇ」と曖昧に答えたり、「私募債の場合は必要ない」と一貫性のない返事をしてくる。その一方で、「適正な販売をした」と言い切る支店長。アホか！！
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様々なやりとりをしたが、結論としては、相手は「男性に適合性はある」、「適正な販売をした」、「契約の解除はできない」との言い分を変えることはなかった。
徹底抗戦するつもりだな。よかろう。こちらは素人だが、できるだけのことはやるつもりだ。ムジナは非力だが、男性は真剣に悩んでムジナに支援を依頼してきた。
ゲリラ戦法でも何でもやってやる。渡世の義理、無償の奉仕だ。
債券の直近の既発債としての取引価格を調べてもらうことは確約を得た。責任者たる支店長が約束をしたのだ。逃げ隠れはしないだろう。
取引価格がわかれば、第２ステージに移れる。「債券を○○円で買い取れ」、と。
＊＊＊
約３時間のやりとりをして、どっと疲れが出た。
支店長が帰り際に「名刺をいただけませんか？」とムジナに言ってきた。仕事ではないので、「今日は個人的な立場で立ち会ったので、本業の名刺は出せない」と断った。
依頼者の男性がご丁寧にも支店長を玄関の外まで見送りに出た。外には運転手付の高級車が停まっていたという。さすが、大手証券会社である。
支店長は、男性にムジナの職業を何度も訊いたらしい。「弁護士ですか？、公務員ですか？」相手はムジナの素性を知りたいようだ。
「普通のサラリーマンですよ、気にすることはございません」、依頼者の男性はこのように答えたそうだ。
＊＊＊＊ 第一幕 おわり ＊＊＊＊
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