9月12日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:円が対ドルで続伸、日本の機械受注横ばいで逃避需要
ニューヨーク外国為替市場では円が対ドルで続伸。7月の機械受注は前月比横ばいにとどまったため、安全な逃避先としての円買いが強まった。消費増税が経済成長に悪影響を与えるとの懸念も円買いの背景にある。
ユーロは対ドルでもみ合い。7月のユーロ圏鉱工業生産の減少が売りを誘った。豪ドルは主要通貨全てに対して下落。オーストラリアの8月の雇用者数減少が売り手掛かりとされた。ニュージーランド(NZ)ドルは上昇。同国中央銀行が過去最低水準にある政策金利を来年に引き上げる可能性を示唆したことが背景。
RBSセキュリティーズの為替ストラテジスト、ブライアン・デンジャーフィールド氏は「日本政府が導入しようとしている追加刺激策の可能性が円上昇の一因だ。日本の財政政策の将来がこの日の円の主な材料だ」と指摘した。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で前日比0.4%高の1ドル=99円54銭。対ユーロでは0.4%高の1ユーロ=132円38銭。ドルは対ユーロで0.1%高の1ユーロ=1.3299ドル。
安倍晋三首相は消費税率を来年4月から予定通り8%に引き上げると、読売新聞が取材源を明示せずに報じた。首相は5兆円規模の経済対策を行うことで、増税による景気への悪影響を最小限にとどめたい考えだという。
機械受注内閣府が12日発表した7月の機械受注統計(季節調整値)によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は前月比横ばい。ブルームバーグ・ニュースの調査による予測中央値は同2.4%増だった。
みずほフィナンシャルグループの法人外国為替セールスバイスプレジデント、ファビアン・エリアソン氏(ニューヨーク在勤)は「日本に多くの課題が残っていることは周知のことだ」と話した。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は年初来で10.9%下落している。ドルは3.8%上昇、ユーロは4.7%上げている。
メルク・インベストメンツの創業者で社長のアクセル・メルク氏はブルームバーグラジオとのインタビューで、日米の金融政策に開きがあるため、円は下落を続ける可能性があると発言した。
欧州指標欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が12日発表した7月のユーロ圏鉱工業生産指数は前月比1.5%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト33人の予想中央値は0.3%低下だった。前年同月比では2.1%低下。6月の指数は前月比0.6%上昇に改定された。
ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査によれば、7-9月(第3四半期)のユーロ圏成長率は前期比プラス0.1%と、第2四半期の同0.3%から減速したもよう。
原題:Yen Advances Second Day as Machine Orders Stagnate; RandFalls(抜粋)
◎米国株:下落、シリア情勢や量的緩和の縮小に注目-資源株が安い
米株式相場は反落。シリア情勢をめぐる懸念が強まる中で資源株が大きく下げ、S&P500種株価指数は8営業日ぶりに下落した。市場参加者は予想される量的緩和策の縮小に注目している。
バリック・ゴールドが安い。金先物相場が7月以降で最大の下げとなったことが手掛かり。産金で米最大手のニューモント・マイニングも下落。カナダのヨガウエア販売会社ルルレモン・アスレティカは、利益見通しの下方修正が嫌気されて下落。一方でウォルト・ディズニーは上昇。最大80億ドル相当の自社株買い実施を発表した。オンラインラジオのパンドラ・メディアは大幅高。同社は、デジタル広告分野で経験豊富なブライアン・マクアンドルース氏を最高経営責任者(CEO)に指名した。
S&P500種 株価指数は前日比0.3%安の1683.42。ダウ工業株30種平均は25.96ドル(0.2%)下げて15300.64ドル。
RBCグローバル・アセット・マネジメントの米株トレーディング責任者、ライアン・ラーソン氏(シカゴ在勤)は「今月これまでの力強い上昇を考えれば、多少の調整があっても驚きはない」と指摘。「向こう数日間は経済指標の発表がそれほど多くないことから、注目されるのはシリア情勢と来週の連邦公開市場委員会(FOMC)だ」と続けた。
S&P500種は今月に入り前日までの時点で3.4%上昇している。
シリア情勢ケリー米国務長官は、シリア反体制派の指導者らに電話をし、米国の軍事攻撃はなお選択肢だと伝えた。ケリー長官はこの日、シリアの化学兵器放棄の提案についてロシア外相と話し合うためジュネーブ入りした。
シリアのアサド大統領は、化学兵器を放棄するための条件として、米国に対して軍事的な挑発と反体制派への武器供与の停止を求めた。
先週の米新規失業保険申請件数は前週比で減少し、2006年4月以来の低水準となった。2州がコンピューターシステムを更新し、その影響で申請件数が通常より少なくなった。
フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式ストラテジスト、フィリップ・オーランド氏(ニューヨーク在勤)は「レーバーデーの祝日があったほか、コンピューターシステムの問題でデータの有効性に疑問が生じていることから、今回の失業保険申請件数は気に掛けていない」と述べた。
量的緩和縮小ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入額を現在の月額850億ドルから100億ドル減らし、750億ドルにすると予想(回答した34人の中央値)されている。
USバンク・ウェルス・マネジメントのシニア株式ストラテジスト、ジム・ラッセル氏は「緩和縮小計画をめぐり市場が求める明確な見通しを示すという意味で、金融当局にとって来週は絶好の機会が訪れる」とし、「来週は市場にとって極めて重要になる」と続けた。
バリック・ゴールドは5.5%安の17.61ドル。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比2.4%安と、中心限月としては7月5日以来の大幅下落となった。ニューモントは4.2%下げた。ルルレモンは5.4%安の65.29ドル。
ディズニーは2.4%高の65.49ドル。ダウ平均で値上がり率トップとなった。同社発表によれば、自社株買いは来年から実施する。
パンドラ・メディアは12%高と急伸し、23.97ドル。マクアンドルース氏は会長および社長にも指名された。
原題:U.S. Stocks Fall as Investors Weigh Fed Stimulus Plans,Syria(抜粋)
◎米国債:続伸、30年債入札を順調にこなす-高利回りが需要誘う
米国債市場では30年債利回りが約1週間ぶりの低水準から戻す展開。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)に注目が集まる中、米財務省はこの日、30年債(規模130億ドル)の入札を実施した。
入札結果によると応札倍率 は2.4倍と、8月入札時の2.11倍を上回った。欧州と日本の経済統計は景気への楽観を弱める格好となり、米国債は入札前は堅調に推移した。13日には8月の米小売売上高が発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、増加が予想されている。
ED&Fマン・キャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の債券トレーディング担当シニアバイスプレジデント、マイケル・フランゼーセ氏は「入札は好調だった」と指摘。「様子見の資金が大量に控えている。FOMCはこれまで思っていたほど積極的な縮小には動かないかもしれない」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、30年債 利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて3.85%。30年債(表面利率3.625%、償還期限2043年8月)価格は1/32上昇して95 31/32。
同利回りは9月5日以来の低水準となる3.81%まで下げる場面もあった。8月22日には2011年8月以来の高水準となる3.94%まで上げた。
10年債利回りは2.91%でほぼ変わらず。9月4日以来の低水準となる2.86%に下げる場面もあった。
最高落札利回り30年債入札の最高落札利回りは3.820%。ブルームバーグ・ニュースがプライマリーディーラー(政府証券後任ディーラー)11社を対象にまとめた予想は3.823%だった。
前日には米電話会社ベライゾン・コミュニケーションズが史上最大規模となる総額490億ドル(約4兆9000億円)を起債。ヘッジ解除の観測が広がるなか、米国債相場は上昇した。
三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏は「売りを出すよりは、むしろ買いを入れる水準だ」と指摘。「ベライゾンの起債は大型だった。投資家はこれに気を良くして、最悪期は過ぎたと考えた。買いが勢いを増しているのはそのためだ」と説明した。
この日の30年債を含め、米財務省は今週、合計650億ドルの中・長期債入札を実施した。
経済統計ユーロ圏の7月の鉱工業生産はエコノミスト予想以上に落ち込んだ。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が12日発表した7月のユーロ圏鉱工業生産指数は前月比1.5%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト33人の予想中央値は0.3%低下だった。前年同月比では2.1%低下。6月の指数は前月比0.6%上昇に改定された。
日本の内閣府が12日発表した7月の機械受注統計(季節調整値)によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は、前月比0.0%減の7772億円となった。ブルームバーグ・ニュースの事前調査による予測中央値は同2.4%増だった。
8月の米財政収支は前年同月から赤字幅が縮小した。雇用市場の拡大を背景に歳入が増加した。
米財務省が発表した8月の財政赤字は1479億ドル。前年同月は1905億ドルだった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は1460億ドルだった。今年度(2012年10月-13年9月)8月までの累計は7553億ドルの赤字と、過去5年で最も小幅にとどまった。
原題:U.S. 30-Year Yield Climbs From 1-Week Low After $13Billion Sale(抜粋)
◎NY金:続落、9週間ぶり大幅安-米金融緩和縮小の観測強まる
ニューヨーク金先物相場は続落。9週間ぶりの大幅安となった。先週の米新規失業保険申請件数が2006年4月以来の低水準に減少したことを背景に、緩和縮小観測が強まった。
米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から3万1000件減少し、29万2000件となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は33万件だった。ブルームバーグの6日のエコノミスト調査によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)は来週の会合で債券購入を100億ドル縮小する見通しだ。米国がシリアを軍事攻撃するとの懸念を背景に金は8月28日に3カ月ぶり高値に上昇したが、攻撃に対する不安が和らいだことから先週は週間ベースで下落した。
インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズ(シカゴ)のヘッドディーラー、フランク・マギー氏は電話インタビューで、「景気改善に関する見方に弾みがついていて、きょうの失業保険統計は緩和縮小が始まると考える新たな理由となった」と指摘。「戦争のプレミアムも低下している」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比2.4%安の1オンス=1330.60ドルで終了。中心限月としては7月5日以来の大幅下落となった。一時は1325.60ドルと、8月15日以来の安値をつけた。
原題:Gold Futures Fall Most in Nine Weeks on Fed StimulusSpeculation(抜粋)
◎NY原油:続伸、シリア危機に関する米ロ外相協議を注視
ニューヨーク原油先物相場は続伸。中東産原油の供給不安につながっているシリア危機について、米ロ外相はジュネーブで解決策を協議する。
ケリー米国務長官はジュネーブでロシアのラブロフ外相とシリアの化学兵器引き渡し計画を協議する。オバマ米大統領はシリア政権が住民への攻撃で化学兵器を使用したと主張し、同国を攻撃する計画を正当化しようとしていた。シリアのアサド大統領は化学兵器を国際管理下に置くことに前向きであると初めて公に発言。実現させるには、米国が挑発的な発言や政権打倒を目指す反体制派への武器供与をやめなくてはならないと述べたと伝えられた。
マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニアマネジングディレクター、チップ・ホッジ氏は「シリア情勢への懸念が続いていることから相場は上げている」と指摘。「この複雑な問題に前向きな解決策が見いだされる可能性は低い。目先の材料としては需給要因よりも中東不安の方が大きい」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比1.04ドル(0.97%)高の1バレル=108.60ドルで終了した。
原題:Crude Rises a Second Day Amid U.S.-Russia Talks on SyriaCrisis(抜粋)
◎欧州株:反落、鉱工業生産の減少で-サノフィ、リシュモン安い
12日の欧州株式 相場は反落。前日は約5年ぶり高値で終了した。この日発表されたユーロ圏の鉱工業生産の減少が市場予想よりも激しかったことが嫌気された。
フランスの製薬会社サノフィが2.6%安。糖尿病治療薬の承認を米当局に求める申請を撤回した。高級品メーカーのフィナンシエール・リシュモンは2.3%下落。売上高の伸びがアナリスト予想を下回った。一方で仏メディア企業のビベンディは2.7%の値上がり。メディア事業から仏電話部門を切り離す案の正式検討を始める方針を示したことが好感された。売上高が予想を上回った英小売りのホーム・リテール・グループは5.4%急伸。
ストックス欧州600指数 は前日比0.1%未満下げて310.74。騰落比率は3対4。前日はオバマ米大統領が対シリア攻撃をめぐる決議案の採決を先送りするよう議会に要請したことから、2008年6月以来の高値で終了した。年初来では11%高。
三菱UFJ投信の欧州株式責任者、マイケル・モリス氏(ロンドン在勤)は「欧州が安定化する局面から抜けたかもしれないが、まだまだ課題は残されている」と指摘。「経済状況の改善は全面的ではなく、失業など深刻に懸念される分野が残っている」と続けた。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が発表した7月のユーロ圏鉱工業生産指数は前月比1.5%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト33人の予想中央値は0.3%低下だった。
この日の西欧市場では18カ国中11カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Decline From Five-YearHigh on Industrial Data(抜粋)
◎欧州債:伊10年債利回り、スペイン債上回る-英独債は上昇
12日の欧州債市場ではスペイン10年債に対するイタリア債の上乗せ利回りが拡大。ここ1年半での最大となった。同日のイタリア入札では3年物の借り入れコストが昨年10月以来の高さに達した。
イタリア10年債利回りは2カ月ぶり高水準まで約5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に迫った。ベルルスコーニ元首相の議員資格剥奪をめぐる上院採決で連立政権が揺らぎかねないとの懸念は根強い。この日の入札では2016年と28年にそれぞれ満期を迎える国債計55億ユーロを発行。比較的安全な域内資産を求める動きで、ドイツ10年債のほか、フィンランドとオランダ国債が値上がりした。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)の欧州金利ストラテジスト、ノーバート・アウル氏(ロンドン在勤)は「スペイン債に比べてイタリア債のパフォーマンスが著しく劣るのは、イタリア市場の方が流動性が高くても政治面で障害を抱えている状況を反映している」と指摘。「ベルルスコーニ氏の政治生命をめぐり上院で続く議論が注目を集めている」と付け加えた。
ロンドン時間午後5時現在、イタリア10年債利回りは前日からほぼ変わらずの4.53%。6日には4.58%と、7月4日以来の高さに達した。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)の価格は100.15。
同年限のスペイン債利回りは2bp下げて4.46%。同国債利回りがイタリア債を下回ったのはこれで3日連続。その利回り格差は2bp開いて6bp。2012年3月2日以来で最大の7bpに達する場面もあった。
イタリア上院のジュゼッペ・クッカ議員によると、上院委員会はベルルスコーニ氏をめぐる採決を18日に実施することを全会一致で決めた。
ドイツ10年債利回りは5bp低下の2%。フィンランド10年債利回りは4bp低下の2.23%。オランダ債利回りも4bp下がって2.37%。
英国債相場は上昇。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁がこの日に議会で、失業率が一段と低下するまでは利上げを実施する計画はないとあらためて説明した。
英中銀が先月導入したフォワードガイダンス(時間軸政策)によれば、失業率が7%に下がるまでは政策金利を引き上げない。前日発表の5-7月失業率は7.7%で、これが7%に下がるのは2016年の遅い時期までないと中銀はみている。
ロンドン時間午後4時29分現在、10年債利回りは6bp低下の2.94%。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は0.53上げて94.07。
原題:Italy Yield Premium Over Spain Reaches18-Month High; Bunds Gain(抜粋)Gilts Rise as Carney Reiterates BOE Policy;Pound Little Changed(抜粋)
更新日時: 2013/09/13 06:53 JST