機会があって、映画『スティーブ・ジョブズ 1995 ~失われたインタビュー~』の先行上映会に参加してきました。公開は9/28から。
「A級の人材だけでチームを作ること」
映画は約70分で、1995年に収録された幻のインタビューをたっぷりと楽しむことができます。Appleを追放され、NeXT社を率いていた時代のスティーブ・ジョブズです。
Gizmodeが「名言たっぷり!」と報じているように、さすがに痺れる言葉が多数。個人的に特に感銘を受けたのは「Macの開発チームを立ち上げたときは、A級の人材しか集めなかった」という話。
スティーブ・ジョブズいわく、「A級人材」を集めると、彼らはその優秀なチームで働くことに強烈な喜びを感じ、さらなる「A級人材」をチームに引き入れるようになります。
A級人材は、B級以下の人材と働くことにうんざりしていることが多いので、同じようなハイレベルの人材とともに働けるという環境に、魅力を感じ、それを強化していこうとするわけですね。
さらに、A級の人材は「褒めなくても、自分の優秀さを知って」います。ジョブズの仕事は、メンバーたちが十分なパフォーマンスを発揮していないときに、厳しくその品質について追及することだったそうで。
言い換えれば、B級以下の人材は、マネジメントする上で「褒めて、伸ばす」必要があるのでしょう。口ぶりから察するに、ジョブズはそういう「ケア」が苦手だったのかもしれません。
そんなAクラスの人材たちが作ったのが、初代の「Mac」。当時としては爆発的なヒットとなったそうで。
「我々が“最初の100日間で5万台のMacを売る”と宣言した時、人々の中には“非現実的だ”“夢を見ているんじゃないか”と批判する人もいたが、我々はこれを必須条件だとみなしていた。そして当初の目標の2/3の期間でこれを達成した。Mac発表から92日目の現時点で、Macは約6万台出荷している」。
また、ジョブズが率いたチームは、みな「他の時代なら詩人や音楽家になっていた人々」だった、という表現も大変興味深かったです。ジョブズがプロデュースする製品には、リベラルアーツ(教養)のバックグラウンドがあるわけですね。
70分ほどのインタビュー、ジョブズの人柄とAppleの哲学を知る上で、貴重な資料でした。Appleファンはもちろんのこと、抜きん出た存在になりたい人は見ておくと刺激を受けるはず。
ぼくは特に、彼が自分の仕事やウェブの可能性について、とてもワクワクした様子で語っていたことが印象的でした。よく言われる評価ですが、本当に「子どもっぽい」笑 不思議なエネルギーを与えてくれる、すばらしいリーダーであったことを感じさせます。
ジョブズといえば、テルマエロマエのヤマザキマリさんが伝記を漫画化していますね。こちらもオススメの作品です。